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INTERVIEW

Japanese

トゲナシトゲアリ

2025年09月号掲載

トゲナシトゲアリ

Member:理名(井芹 仁菜役/Vo) 夕莉(河原木 桃香役/Gt) 朱李(ルパ役/Ba)

Interviewer:宮﨑 大樹 Photographer:Yuma Totsuka
©東映アニメーション

2025年9月23日に、初の日本武道館ワンマン[トゲナシトゲアリ LIVE in 日本武道館 "奏檄の叫"]の開催を控える、"トゲトゲ"こと"トゲナシトゲアリ"。彼女たちにとって、そして彼女たちが演じるキャラクターにとって、日本武道館は大きな目標としていた場所である。そんな夢の舞台へ向けて準備を進めている理名(井芹仁菜役)、夕莉(河原木桃香役)、朱李(ルパ役)に、日本武道館ワンマンへの想い、意気込みを語ってもらった。

-トゲトゲにとって日本武道館はどんな場所ですか?

理名:アニメの中のトゲトゲとして、そしてリアルの私たちとしてずっと掲げてきた大きな目標です。漠然と"すごい場所"というか、"日本武道館"という名前だけで圧を感じるくらいにすごい場所だと思っています。

朱李:私と夕莉の2人は、好きなアーティストさんのライヴを観に行ったことがあるんです。やっぱり盛大というか、演出も普段と違っていたり、"夢が詰め込まれたようなライヴをする場所"という印象がすごく強いです。

夕莉:自分たちだけの目標じゃなくて、自分たちが演じるキャラクターも目標にしていた場所。まさかそこにこんなに早く立てるとは思っていなかったです。

-これで"(日本)武道館アーティスト"という肩書きになりますが、そこに対して思うところはありますか?

理名:武道館に立つことで、"卵から産まれたて"くらいにはなれたかなって(笑)。

-まだ卵だったんですか(笑)。

理名:まだ3年目で産まれてすらいないというか(笑)。3年間温められて、ちょっと殻を破れたかな、という感じです。先はもっともっと長いと思いますし、いつか武道館よりもさらに大きなステージにも立ちたいと思うので、場所負けしないくらいに良いライヴができたらいいなと思います。

夕莉:"武道館アーティスト"という響きがすごいので、私たちがそうなることにプレッシャーはありました。でも、ここ最近でいろいろな方に話を聞いていただいたり、武道館を経験したアーティストさんと対談させていただいたりしたら、プレッシャーよりも楽しみな気持ちのほうが増してきたんです。今は重圧というよりは、"1つの称号を得られる"という感覚で、この先にもっともっと大きく成長していくためのステップ・アップとして、いい機会を与えていただけたと感じています。

朱李:"武道館でライヴをする"という事実に身が引き締まります。いちアーティストとして認められたような感覚にもなれると思っていて、よりいっそう音楽を極めていきたいですし、"1人の人間としてもちゃんとした人間になれるように"と考えています。

-トゲトゲの歴史はこれからももちろん続いていきますが、この武道館ライヴはバンドの歴史の中でどんな位置付けになりそうですか?

理名:トゲトゲのライヴで印象深かったライヴの、トップ3には入るんじゃないかなと思っていて。年表を作るとしたら、たぶんほかよりも大きい文字で"武道館ライヴ開催!"って書かれるんじゃないかな。みんなの記憶に残って、忘れられないような大切な思い出になると思います。

-武道館は通過点のイメージが強いですか? それとも到達点?

理名:最初は"到達点、1個のゴール、夢が叶いました"という感じだったんですが、最近はライヴが近付くにつれてどんどん実感が湧いてきて、"一旦の終わり"というイメージだったのが、"次の活動に向けてのステップ・アップだな"と思えてきたんです。なので、今は通過点だと考えています。

夕莉:"武道館ライヴを開催します"と聞いたときは、スケジュール的に先の話だったこともあって、"そこまで走り続ける、1つのゴール"という感覚だったんです。でも、1ヶ月前ぐらいになってくると、"あと1ヶ月で終わる"という気にはなれなくて。きっと武道館でもこの先のいろいろな発表ができると思いますし、武道館が終わっても、いろいろな場所へライヴをしに行きたい。武道館を機にもっと活動の幅も広がっていくんじゃないかなと勝手に期待しているので、私も通過点だと思っています。

朱李:私はどちらもで、到達点でもあり、通過点でもあるかなと思っていて。武道館はやっぱり大きな場所で、目標にしていた場所なので、一旦ここで一区切りというか。"第1章が終わって、ここから第2章が始まる"というような感覚に近いです。今までのライヴはアニメに関連する演出等も多かったんですが、リアルなバンドをもっと表に出す、新たな自分たちを表現していくこともやってみたいです。

-そんな、"武道館に関する記憶"を掘り起こしていただきたいんですが、どういった状況で開催を知ったんでしょうか。

朱李:スタッフさんとZoomでの打ち合わせ中で、"今後のスケジュ-ルについてお知らせがあります"という感じで、直近の予定のお話があってから、"新しいライヴが決まりました。日本武道館でライヴが決まりました!"って。

理名:ビックリしすぎて、"へぇ......"みたいな。

夕莉:現実感がなさすぎて、みんな薄いリアクションだったんです。不思議な感じだった。

-武道館が決まったことを真っ先に誰に伝えましたか?

理名:家に母がいたので、Zoomが終わってからすぐに報告しました。母に伝えたことは覚えているんですが、どういう反応をされたかはビックリしすぎて記憶がないんです(笑)。

夕莉:私もたぶんお母さんに電話した気がする。Zoomが終わって、"ママ、武道館決まったー!"、"えーおめでとー!"みたいな。普段はワンマンが決まっても電話まではしなくて、"この日ライヴあります。来る人!?"みたいに家族LINEしていたんですが、武道館は電話で伝えようと。

朱李:私はたしか家族LINEで報告した気がします。"武道館、決定しました!"って報告したら、"あー、おめでとう"みたいな、家族もビックリしすぎて私たちみたいな反応をしていました(笑)。もうちょっと喜んでほしかったんですけど(笑)、私の家族は何かあっても冷静なフリをしがちなので、たぶん喜んでもらえていたんじゃないかなと思います。

-発表されたときは皆さん別の場所にいたと思うんですが、その後に会ったタイミングで武道館について何か話しましたか?

夕莉:不安についてはいっぱい喋った気がする。

理名:楽しみっていうよりは、みんな不安のほうが最初は大きくて。

夕莉:"お客さんいっぱいになるかな"とか。

理名:まず、埋まるかどうかが心配だったのがいちばん大きいよね。

-皆さんが知らされた時点だと、それまでの最大キャパはどのくらいでしたか?

理名:2ndワンマン(2nd ONE-MAN LIVE "凛音の理")のキャパが1,300人くらいだったので、一気に10倍の会場が決まりました。

-それは現実味がないですよね。いろいろ不安もあったと思いますが、それにどう向き合ってきましたか?

夕莉:今月(※取材は8月下旬)に入るくらいまでは不安に勝てていなくて、"はぁ......武道館心配だなぁ"と思っていました。"会場が埋まるか"という心配はもうなくなったんですが、自分の技術面、"武道館でどれくらい良いパフォーマンスができるんだろう"という不安は、先月くらいまでずっとありました。でも、ベガス(Fear, and Loathing in Las Vegas)さんと対談でお話ししたり、ギターの先生とお話ししたりしていたら、皆さん"重圧を感じすぎなくていい"と言ってくれて。武道館は通過点だし、"ここから成長していくためのステップ・アップの場所"だと自分で感じてきてからは、大丈夫になりました。"自分で乗り越えた"というよりも、いろいろな方からのアドバイスを吸収して乗り越えてきた感覚かもしれないです。

理名:私は、座右の銘にしている"東京喰種トーキョーグール"のセリフがあって。

夕莉:座右の銘があったんだ、初めて聞いた。

理名:"東京喰種トーキョーグール"に"この世のすべての不利益は当人の能力不足"という言葉があって。不安はあるけど、武道館を成功させたいんだったら自分が努力すればいいし、もし失敗したらそれは自分の努力不足だと私は思っているので、"自分次第、頑張るぞ!"と思って毎日を乗り越えています。

-その座右の銘は、逆にプレッシャーがかからないですか(笑)?

夕莉:ヤバい! 怖い! その言葉もう頭から離れない......(笑)。

朱李:失敗は......自分のせい......(笑)。

理名:ごめんごめん(笑)。私が勝手に思ってるだけ! 私の座右の銘だから(笑)!

夕莉:よくやってるよ......。偉い。