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INTERVIEW

Japanese

め組

2025年06月号掲載

め組

Member:菅原 達也(Vo/Gt) 富山 京樹(Gt) 久佐賀 麗(Key) 寺澤 俊哉(Ba)

Interviewer:山口 哲生

-再録繋がりで言うと、第9位だった「あたしのジゴワット」も、「あたしのジゴワット 2.0」として収録されています。この曲をやるならもう再録でしょうと。

菅原:歌っている人が違いますからね。あと、どの曲にもわりとあるんですけど、アレンジ面でこうすれば良かったって個人的に反省してたところがあって。「あたしのジゴワット」も大いにあったので、ちょっと見直したいなと思っていたところとも合致したので、ラッキーと思って再録させてもらいました。

-「あたしのジゴワット」のアレンジで、もう少し直したかったところというと?

菅原:もっとキラキラしたいなとか、落ちサビを作ったらもっとのっぺりせずに聴けるよなとか。細かいところなんですけどね。そういったところをやれたらなと思いましたし、それが似合うヴォーカルだと感じたので。当時歌っていたヴォーカルに関しても、空気を読んであのアレンジにしたと思うんですけど、今は彼女(久佐賀)が歌っているから、もっと似合うアレンジがあるだろうなと考えたのもありました。

久佐賀:私もこの曲が大好きで、組員(※め組ファンの呼称)さんにも、"「ジゴワット(あたしのジゴワット)」の麗ちゃんバージョンってまだ音源にならないの?"みたいなことを言ってくれる方もいたので、ついにできた! って(笑)。それが10周年のベストに入るのも、自分の中ではちょっと特別感があるというか。自分はバンドに入ってまだ4年ちょっとなんですけど、これからもこの曲を大事にしていくよっていうのが、組員さんにも届いたらいいなと思ってます。あと、新しいアレンジがおっしゃっていたようにすごくキラキラしてるんですよね。歌詞にも"街にキラリ落ちる星が"とあるように、もともとすごくキラキラしたイメージもあったので、それを今後ライヴでも表現できたらいいなと思ってます。

-久佐賀さんは、3rdミニ・アルバム『LOVE』(2022年リリース)に収録されている「あの恋をなぞれば」を選曲されていて。先程途中から加入したというお話もありましたが、ちょうどそのタイミングの曲ですよね。

久佐賀:そうですね。私がめ組に加入した瞬間の曲です。メンバー・セレクトをしようとなったときに、いちファンとしては過去曲ももちろん愛しているので、好きな曲がいっぱいあったんですけど、やっぱり自分が参加している曲を選んだほうが、意味のあるものになるんじゃないかということで、『LOVE』か『七変化』(2024年リリースの4thミニ・アルバム)から選びたいなと思って。まぁ、「あの恋をなぞれば」は、(投票結果を発表した)20位よりも......ちょっとね(笑)。でも、惜しいところにはすごくいたんですよ。やっぱり自分の加入曲をベストに入れたいという強い思いがあったので、メンバーのみんなをつついて(笑)、飲んでもらえたっていう感じでした。

-菅原さんの歌と久佐賀さんの鍵盤から始まる形になっていますけど、そういった楽曲を加入のタイミングで出すというのもいいですね。

久佐賀:当時はめちゃくちゃ緊張感がありましたね。この曲は『LOVE』以降そこまで数はやってきていなかったので、このタイミングでまたお届けできるのも嬉しく思っています。

-菅原さんはこの曲を作っていた当時のことって覚えていますか?

菅原:曲をたくさん作っている時期にできた中での1曲ではあるんですけど、曲としてはまぁちょっと、裏切り行為みたいなことを歌ったので(笑)。自分で自分を傷つけながら作っていた感じではありましたね。

-裏切り行為ですか。

菅原:裏切られたのか裏切ったのかっていうグレーな感じというか。自分も悪かったし、向こうも悪いし......みたいなところを最終的にどんなふうに調子合わせをしようかというのを曲にしたんですよ、きっと。そういう独り言の曲ではありますね。

-寺澤さんは「故愛(ゆえあい)」を選曲されています。2ndミニ・アルバム『ユエアイ』(2019年リリース)に収録されていて、ファン投票では第14位でした。

寺澤:この曲は、アレンジをメンバーでたくさん話し合って作ったんですよ。最終的にはストレートなバラードになったんですけど、アップテンポでノリノリなアレンジを1回経てこの形になったので、結構時間がかかっているんです。だから、みんな頑張ったなぁって(笑)。そういう意味で思い出のある曲だったので選びました。あと、ランキング的にはギリギリ10位には入らなかったけど、自分の思いとファンの方の思いが、ちょうどバランス良く反映できるかなと思ったのが大きな理由ですね。

-ちなみに、『ユエアイ』をリリースする1年前ぐらいに寺澤さんは加入されていて。

寺澤:そうですね。『ユエアイ』からレコーディングで参加してるんですけど、それこそ自分の音が入っているアルバムというのは特別な思いがあるので、そこから選びたいと思っていたところもあります。

-菅原さん、アレンジが結構難航したそうですけども。

菅原:最初はモータウン・ビートな感じだったんですよ。でも"違くない?"って散々言われて。

寺澤:ライヴで1回やったんですけど、そのときはアップテンポだったのに、リリースしたら全然違う曲になっていたから、お客さんもびっくりしただろうなって(笑)。

富山:シンプルにしていこうっていう目標が定まって、じゃあどれを抜いていこうみたいな。その作業が結構大変だったような記憶はうっすらとありますね。とりあえず好き放題付け足してみて、どれを抜いたら、どれを残したら良くなるんだっていう取捨選択が難しかったような、そんなような......(苦笑)。

寺澤:まぁ結構前だしね(笑)。

富山:ちょっと記憶が朧げではあるんですけど。

菅原:でも、最終的にはこの形で納得してます。そうやって時間をかけたのもあって、みんなとの交ざり方を模索していた曲の代表のような気もしますね。コミュニケーションの取り方というか。そういうことをすごくしていたし、曲的にもすごく面倒くさいこと言ってるし。"好きだ"とか"愛してる"とか素直に早く言えばいいのに(笑)、回りくどいし長いし。

久佐賀:なかなか言わないですよね、菅原さん。ほんとに言わない(笑)。

-"好きだ"とか"愛してる"とかをどう表現するかで、その人の個性が出ますよね。そういう点でも、出だしの"世界中で散らかり放題の/"さよなら"を集めて/花束にして差し出したら/ねえ どう?"はすごく素敵だなと思うんですけど。

寺澤:すごいですよね。

久佐賀:うん。すごいと思う。

菅原:意味が分かんないですよね(笑)。

-いや! 分かりますって(笑)!

菅原:まぁ、わざわざ説明する感じでもないとは思うんですけどね。もう本当にその通りというか。自分はきれいだと思っているものを、気を使って"きれいだね"とは言ってくれるんだけど、でもそういったものを勘違いしながら探していくとか。僕等は出自が全然別なので、やりたくもない探り合いとか(笑)、そういうところがあるんだなって。まぁ、ラヴ・ソングではあるんですけど、人間関係にも通じてるのかなと書いてみて思ったりもしました。

-"ドレミファソラシド介して/心をわしゃわしゃし合いたい"とか。

菅原:バンドっぽいですよね。たぶん、この頃は文学的な気分になってました(笑)。すごくいいこと言ってやろうというのが滲み出ていて、ウワーッ! てなりますね。すごく汗かきます。

-今だったらこういう表現にはならなさそう?

菅原:いや、意外とすんなりなります。「あの恋をなぞれば」は、手紙を書いて封をしてもうどこかに送ったので僕には関係ないって感じなんですけど、「故愛(ゆえあい)」に関しては、そんなことはないという感じですかね。