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INTERVIEW

Japanese

インナージャーニー

2024年10月号掲載

インナージャーニー

Member:カモシタサラ(Vo/Gt) 本多 秀(Gt) とものしん(Ba)

Interviewer:石角 友香

-インナージャーニーがやってるからなのかもしれないんですけど、ガレージっぽさもあるけどフォーキーな部分もあるという、ちょっと不思議な感じになっていて。

とものしん:俺の中ではわりと「ラストソング」(2023年7月リリースの3rd EP『いい気分さ』収録曲)と地続きなのかなと思いながらやったけど。

本多:「Mary」はどっちかって言ったら「きらめき」に近い印象かも。作った印象としては。

カモシタ:私はTHE YELLOW MONKEY(笑)。

とものしん:お前がLOVIN(吉井和哉/Vo)さんだったことあったか(笑)?

カモシタ:心はLOVIN。

一同:(爆笑)

-そしてもう1つの書き下ろしが「陽だまりの夢」なわけですが、映画"とりつくしま"の主題歌で。普通に"取り付く島がない"って言い方しか知らなかったんですが、この映画ではものの名前なんですよね。

カモシタ:いや本当に。

とものしん:文字だけ見たときマジでなんの意味か分かんなかった。

-この曲は特に前半がバンド・サウンドではなくて。どんなアイディアから作っていったんですか?

カモシタ:これは監督サイドの要望で、アコースティックの温かさのあるものがいいなっていう、どっちかって言ったらバンド感は減らしたものがいいと最初に聞いてたんで。でも私たちはバンドなので、いかにバンド・サウンドにできるか、擦り合わせてこうなりましたね。

-ヴァイオリンを入れたのもそういうイメージですか。

カモシタ:監督の東(かほり)さんがギターと弦が鳴ってるのがいいって言ってて。それは私もすごくいいなと思ったし、3人になって新しいことをしてみるチャンスかなっていうので入れてみたらめちゃめちゃ良かったっていう感じですね。

とものしん:たぶん今回からインナージャーニーじゃない人がレコーディングに参加するようになった。

カモシタ:たしかに。

とものしん:サポート・ドラムもそうですし、なんか不思議な感覚だった。めっちゃ大変なんだなと思いましたけど(笑)。

-ゲスト・ミュージシャンがいるレコーディングはどうでしたか、体験として。

カモシタ:気が引き締まりますね。メンバーはさすがに5年も一緒にいるので、私が変な日本語で適当に喋ってもなんとなく汲んでくるんですけど(笑)、それはたぶん伝わらないなと思って。日本語をどうしたらいいか(笑)、すごい難しかったけど汲んでくれましたね。

とものしん:メンバーだったらどれだけ拘束しても全員できなかったらやれないんですけど、(ゲスト・ミュージシャンは)2時間でできなかったら8時間やっちゃえばいいっていうわけにもいかないから、ある程度自分たちの中でヴィジョンが見えてないと人には頼めないんだっていうのは分かりました。

-例えばこの「陽だまりの夢」に関して、編曲の部分ではどういうアイディアを出したんですか?

とものしん:ヴァイオリンが入るっていうのと、あとバンド感をあんまり出さないでほしいっていうことで、普段使わないフレットレス・ベースを使って、アンプも使わないでどこまで馴染ませられるか? みたいなことをやって。曲っていう意味だと最初はバンドでいっぱいにしたけど(笑)、進めて行くなかではどっちかと言うと抜く作業だったのかなって感じがします。

本多:やっぱアコースティック感がいいじゃないですか。でもバンドだからエレキを入れたいと思ってアコギをカモシタと僕とで2本鳴らしてるんですけど、それによってエレキがあんまり聴こえてこなくて、温かい感じの音になるっていうか。それくらいじゃないかな?

-でもギターはアレンジ上重要な曲ですよね。

カモシタ:うん。それで最後のギターとヴァイオリンの、抜きながらのソロの掛け合いみたいなのが意外に上手いこと合うんだなっていうのが発見でしたね。入れてみて気付いたことですけど。

-歌の内容的にはどうですか?

カモシタ:内容的には、本当にこの映画が好きすぎて、脚本だけ来た段階でもう曲を作ったんですけど、1発目の文章だけで泣いちゃって。"とりつくしま"っていう映画は、この世に未練がある人がその対象の人のそばにいるためにものに取り憑いて、そこから周りを観察するみたいな話なんですけど、もの視点でもありつつ、こっち側に残った人の感情も無視したくないなと思って、どっちからでもいけるような曲にしようと考えました。これも結構力が入ったんですけど、映画が良すぎるあまりメロディと歌詞がパッと一緒に出てきて、わりとすぐできましたね。

-亡くなった人が例えばマグカップになるとかですよね。しかも別にずっとじゃない。

カモシタ:そうなんですよね。消耗品だとわりとすぐいなくなっちゃうらしくて、その感じもいいなと。未練もありつつ、生きてる人のこれからを願ってるよっていうふうに終われたらいいなと思って"いつまでも君のこと願ってる"って締めたら、監督がすごい褒めてくれました。

-そしてラストの「トーチソング」はすごくラストっぽいというか、ライヴで聴きたいなという曲でした。

カモシタ:あー、ライヴでやりたい。まだ1回もやってないから。

とものしん:今日(※取材は9月下旬)時点ではたぶん「きらめき」と「予感がしている」以外やってないんじゃない?

カモシタ:そうかも。

-「トーチソング」で面白かったのが、カモシタさんの日本語フォーク的なメロディと、それこそちょっとOASIS的なバンド・アレンジが融合しているところで。これはあんまり悩まずに全体像ができた曲ですか?

とものしん:これは悩まなかったんじゃない? ベース・ソロ削ったぐらいでしょ。マジでなくて良かったなって今思う(笑)。俺が勝手にベース・ソロを弾いてたんですけど、それを途中で削ったぐらいで、あとは結構スムーズにできた気がする。この曲はあんまり変わってないんじゃないかな。というか、今回のEP全部スッとできた気がするんだよね。

本多:一回もうちょっと大人しい感じのアレンジを持ってったんですけど、違ぇなとなって。やっぱカモシタが作ってたデモに戻してってのがあったかも。

カモシタ:あとCメロは一回コードが全然違うものになって返ってきて(笑)、"なんかすごいことになってる"と思って。

本多:やりすぎた(笑)。これも僕がぐちゃぐちゃにしてるんです。

カモシタ:一回ぐちゃぐちゃにして、でも練り直してお互いのいい部分の妥協点で練り合わさっているかもしれない。

-3人の共通言語っていうか、呼吸がかなり阿吽になってきたんじゃないですか。

とものしん:今年の春くらいまではこれ喧嘩するかも? ってぐらいできないときも別にあったんで。それは、限られた時間の制約の中で、締め切りに間に合わせないといけないからだったと思うんですけど、今はそこまで厳しくなくて、納得できるまでゆったりできてたからかなと。

カモシタ:あとみんな"なんか惜しい!"って言って、"あっ、これ来たね"とちゃんと全員が一致するタイミングまでやるというか、そういうのがあるから。そこまで突き詰めようみたいなのがあるかもしれない。

-それはやっぱりライヴの本数が増えたりとか、日常的に聴いているものが共有されたりみたいなこともあるんですかね。

とものしん:一回やったね。

カモシタ:一回やった(笑)。

とものしん:1人2曲ずつ出し合ってプレイリストを作って全員で聴こう、みたいなのをやってたんですよ。あと遠征だと誰かしらが音楽を流してたりするから、それもちょっとだけもしかしたらあるかもしれないです。

-今回のEPは人との関係がテーマになってる曲が多いなと思って。

カモシタ:あー、たしかに。あんまり意識はしてなかったんですけど、やっぱり外に出る機会というか、この1年、結構外で飛び回ってたというか。バンドでもそうだし、個人的には一人暮らしを始めたり、環境がガラッと変わった年でもあったんで、人の感情とかどうなってんだろうな? みたいなのが表れてるんじゃないかなと、今言われて思いました(笑)。

-では最後に、初めての東名阪ワンマン・ツアー"インナージャーニー 東名阪ワンマンツアー2024「きらめき」"はどんなものにしたいですか。

本多:セトリがストイック。

とものしん:今までだったら、ワンマンは毎年周年ライヴとして東京で1回やるだけだったのが今回3ヶ所回る、1回きりじゃないっていうのでこんなに変わるんだなと。場所ごとにセトリもちょっと変えるし、MCも決め打ちとかもできないんで、そういう意味で挑戦なんだろうと思ってます。あと、どんなに長くても名古屋と大阪は50分弱とかだったんで、1時間半~2時間ぐらい人に観てもらえる機会が増えるっていうのはすごいもんだなって感じてますね。