Japanese
インナージャーニー / 黒子首 / daisansei
Skream! マガジン 2021年10月号掲載
2021.08.11 @下北沢LIVEHOLIC
Writer 稲垣 遥 Photo by 清水舞
トップバッター、daisanseiは脱力感のあるギター・リフから「ラジオのカセット」でライヴをスタート。どこかレトロな雰囲気を持ちながらも、ひと言で"懐かしい"とは言えない独特の展開で、不思議な空気を醸し出していく。この日はキーボードの脇山 翔が体調不良のため、急遽彼を除く体制での出演となったが、彼らはそこに触れることなく、ただいけしゃあしゃあと4人の音を重ねる。それは、そこに生まれるものを楽しんでみようじゃないかという好奇心からなのだろうか。
1曲目を終え、"こんなときに音楽を聴きに集まるあなたこそ、ライヴホリックだと思います"と安宅伸明(Gt/Vo)はどや顔でライヴハウスの名称にかけて感謝を伝えた(が、フロアの反応が微妙だった結果、このあともMCのタームごとに繰り返し同じ台詞を発し、笑いを誘うことに)。ポップで温かなサウンドに乗せ、男女ツイン・ヴォーカルで、大人になるために生き急ぐ想いを青く描く「体育館」、トリッキーなリズムと歌の乗せ方、和の趣のある言葉を取り合わせた「急須」、また秋田出身の安宅の郷愁が牧歌的に表れた「北のほうから」とカラーの異なる曲を連投し、オーディエンスを翻弄しつつも惹き込んでいく。
daisanseiの音楽は、安宅自身も音楽を始めたきっかけにくるりを挙げている通り、そこに通ずる、日々のシーンに馴染むもので、聴く者の心に風景を描かせてくれる。それが特に顕著だったのが「ざらめ、綿飴」。川原徹也(Dr)が風鈴のようなベルの音を鳴らすイントロから、聴き手それぞれの"あの夏"に連れていく。最後は"君は全然笑わないし"というサビが耳に残る、ちょっぴり情けなくもいとおしい恋の歌「ショッポ」でぬくもりのある余韻を残していった。
2番手の黒子首は「Champon」で幕開け。サポート・ギターに江渡大悟を迎えた初の4人体制で、アコギとエレキのアンサンブルを奏でる。みとのウォーキング・ベースでジャジーな空気にすると、そこに少しハスキーな堀胃あげはのヴォーカルを乗せ、"あっかんべー"の詞の通り厭世感も込めながらクールに決めていく。続く「Driver」はディスコ感満載のリズムで、情熱的なサウンドと涼しい歌声の対比がユニーク。かと思えば、「マーメイド」では人懐っこいミドル・テンポでメルヘンな詞を紡ぎ、堀胃の歌声も透明感のあるピュアなムードに表情を変えるのに驚いた。
"今日はホリック(LIVEHOLIC)さん6周年でおめでとうの日でもあるんですけど、私たちも(1stアルバム『骨格』の)リリース・ツアーなので、おめでとうなんです"と堀胃。さらに、UNISON SQUARE GARDENの自主企画に呼ばれ、Zepp Tokyoに立つことが決定したことを報告するなど好調ぶりを窺わせる。また、シリアスなラヴ・ソング「エンドレスロール」、ピアノの同期やマーチング・ドラムで気高さを感じさせた「夜の下」と繋いだあと、落ち着いたトーンで語った堀胃の言葉が印象的だった。
"私は自分のために曲を作ってたんです。とんでもない嫉妬心とか、何かを破壊しそうな狂気とか、どうしようもない孤独とかの処理をするために、麻酔を打つように曲を書いてたんです。でもみなさんの顔を見て、届けたくてやっちゃってる、繋がりたくてやってると気づきました。自分の恐ろしい感情がきれいな笑顔や涙に変わるのなら、届けていい理由ができました。ありがとうございます"
そこからこの日のステージで最も明るいナンバー「あなうめ」、そして「静かな唄」を投下。バンドが新たなステージへ進むための決意の歌は、弾き語りから始め、バンドインした瞬間に一気にトップギアへ。ラストはフル・パワーで激しく駆け抜けていった。
トリはインナージャーニーが登場。軽やかなギターと性急なリズムが印象深い「夕暮れのシンガー」からそのステージを始めた。素朴で優しい、だけど内面的な強さも孕んだカモシタサラの声と、前をまっすぐ見据え歌う佇まいがリスナーの心を捉えてゆく。続けて「Fang」で爽やかな風を吹かせ、"インナージャーニーです。今日は下北沢LIVEHOLICおめでとうございます"と手を振るカモシタ。すかさず"おめでとーっ!"ととものしん(Ba)が"声を出せないみんなの代わりに"と大声で叫ぶなど、和やかな空気の中、ニューEP『風の匂い』からの曲を続々披露。その中で、彼らの名を知らしめた「グッバイ来世でまた会おう」も演奏した。温かく染み入るグッド・メロディにカモシタの死生観――"別れ"に対する寂しさと、それと決別しようとする前向きな気持ちの両方が乗ったこの曲。彼女たちの曲は耳馴染みのいいサウンドと、日常で使う言葉を紡ぎつつも、よく聴くとその並びがユニークで、どんな想いが込められているのかと考えさせてくれるところが魅力だ。
フィードバック音から、この日EPより先行配信された「ペトリコール」。ロック・バンド然としたサウンドでボルテージを上げ、"もうすぐ僕ら大人になるけれど/さよなら/また明日会えるさ"と瑞々しさと冷静さが入り交じる歌を聴かせた。そして、"最後の1曲! また会いましょう!「会いにいけ」!"とそのままアップテンポな「会いにいけ」へ。"ギター、本多 秀!"と紹介された本多のソロも気持ち良くキマり、フロアから拳が上がる。最高潮の盛り上がりのまま最後は全員がステージの真ん中を向き、大きな音をジャーンと鳴らした。
そのラスト・ナンバーが終わるやいなや湧いたアンコールの拍手に、"用意してたのはここで終わりなんですけど......"と急遽追加で、この日のコラボ・ドリンクにちなんで、観客からリクエストがあった「クリームソーダ」を披露。カモシタと本多は顔を見合わせながら演奏し、Kaitoも白い歯を見せて頭を振りながら力強いドラムを叩き、とものしんはそんなメンバーたちを嬉しそうに見て揺れる。バンドで音を鳴らすことに対する純粋な楽しさを溢れ出させて迎えた大団円は、観ているこちらもとびっきりの爽快感があった。
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