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INTERVIEW

Japanese

カノエラナ

2019年12月号掲載

カノエラナ

インタビュアー:吉羽 さおり

前アルバム『「キョウカイセン」』以降『ダンストゥダンス』『セミ』と2作のシングルで自身の持つ奥深く複雑な妙味を持った曲を、より幅広いサウンドやアレンジでもって繊細且つ色彩豊かに表現したカノエラナ。カノエラナ・サウンドというものを確立すべく、アレンジャーとの作業や自身でもアレンジを手掛けるなど、徹底して音楽と向き合うなかで完成したのが2ndアルバム『盾と矛』だ。ここにはカノエ自身のひねくれた心や、仕掛けを施さずにいられない遊び心を存分に解放した、一筋縄でいかない含みや欺き、驚きがある曲がたっぷり詰まった。キャッチーだが、厄介に聴き手を翻弄するアルバム。そんなソングライターとしての個性や旨みをじっくりと抽出した制作となったようだ。

-2ndアルバム『盾と矛』を聴かせていただきましたが、まず思ったのがカノエラナさんの全方位が入った作品だなということで。

そうですね、いろいろ暴れまくったなと。昨年2月に『「キョウカイセン」』というアルバムをリリースして以降自分を見つめ直して。そこから出したシングル2作『ダンストゥダンス』(2019年3月リリース)、『セミ』(2019年8月リリース)でそれぞれ違う世界を見せられて、その集大成がこのアルバムということだったので。変化球をたくさん入れて今までのスパイスもまぶしながら、これから先の展開を考えていこうかという意思表示のアルバムだなと思います。

-アルバムへの構想や、自分のヴィジョンというのはシングルをリリースする段階でもできていたものだったんですね。その今作1曲目のタイトルが"1113344449990"という謎めいたものですが、これはどういう意味合いの数字なんですか?

これは、わかりづらくしてあるんですけど、携帯とかで文字をババババって打って変換すると"愛してるわ"になるんです。そういう遊び心というか。1曲目にしてなんて読むかわからないタイトルっていうインパクトを持ってきた感じです。

-アルバムを幕開ける曲としてぐっと引き込む曲になりました。1stミニ・アルバム『「カノエラナです。」』(2015年リリース)は「カノエラナです。」、1stフル・アルバム『「キョウカイセン」』は「カノエラナです。改」という自己紹介ソングでスタートしましたが、また全然違った雰囲気のある1曲目ですね。

そうですね。この曲は、「カノエラナです。」よりもちょっとおしゃれな自己紹介ソングみたいなところがあります。1曲目というのがいいなと思うし、ライヴで積極的にやっていきたい曲にもなったなと。

-この和風で妖しいロック・アレンジにするのには、アレンジャーさんとどうやりとりしていったんですか?

シングル曲「ダンストゥダンス」のような振り切り方で、もう少しロックなイメージで新しい世界観を見せられるようにというのは話し合いました。使っている楽器を変えるとか、そういうこともできたんです。この曲はアレンジが上がってくるのが一番遅かったのかな。なので、アコギがどう入るのかとかもレコーディングの前々日くらいまでわからなかったんですよ。歌もですけど、大変だったなという思い出が一番詰まっている曲かもしれないです。

-何かキーワードはあったんですか?

ヴォーカルがすごく動くというか、めちゃくちゃ歌うのが難しい曲なんです。このアルバムで、技術的には一番難しいのかもしれない。止め、跳ねみたいなところがすごく大事だったり、声を変える部分があったりとか、地味にいろんなものが詰まっている曲で、その難しさをいかに後ろのオケと絡められるかが大事なポイントでした。オケと歌との立ち位置の隣り合わせ感をうまく調整していくのが難しい曲でしたね。あとはライヴでやるならこうするから、ここはこうしてほしいなというのがありました。今回はライヴを前提にしたものというのが最初に持ってきたキーワードだったので、そこからのひもときというのが大きかったです。

-これだけサウンド的にはいろんなことをやっていながら、ライヴが念頭にあるっていうのは、そこに"矛盾"みたいなものがありそうですね。シンプルでダイナミックじゃない、サウンド的な遊びはふんだんに詰まっている。

あまり弾き語りではやらないようなアコギの弾き方もやっているので、めっちゃ難しかったんですけどね(笑)。でも、やりがいがあったし、これも勉強かと思いながらレコーディングをちまちまと頑張りました。

-はい、ライヴのハードルがかなり上がるということですしね。

そうですね、めっちゃ練習しなきゃって今めちゃくちゃ焦ってます(笑)。

-という導入でグッと引き込んでいくロックで緊張感のある始まりでありつつ、「タピオカミルクティーのうた」のようなキャッチーでかわいらしい曲もあって、聴き手がすっかり心を許してしまう、油断してしまう感じがあって(笑)。

かっこ良さげに振り切っているくせに、そういうところもあるんかーい! みたいな(笑)。そういうところはカノエラナとして必ず見せてきた部分だったので、変えたくないなと考えていました。いくらこれからどんな道に行こうが、そういう小細工はかましていこうと思っています。それが一番わかる曲が新曲で言うとこの「タピオカミルクティーのうた」かなと思います。

-シングル(『ダンストゥダンス』)にも収録された「猫の逆襲」と並ぶことで、それがより強調されるパートになっているなと。

はい、ここはちょっと変なゾーンだぞっていう。

-このあたりはカノエさんのキュートな声のキャラクターというのを、存分に生かしたところでもありますし、洒落たエレクトロ・チューンにもなっていて。ただ、アルバムのタイトルが"盾と矛"という相反するものを抱えているという意味では、「タピオカミルクティーのうた」も、タピオカという語感やイメージにあるポップなかわいらしさと、実は高カロリーであるという矛盾とかもかかっているようにも感じます。猫も然りで。

そうですね、だまされるなよというか(笑)。実際は猫ちゃんがしゃべるわけではないですけど、という矛盾とか。ひとつひとつがめちゃくちゃ矛盾しているというのも面白いところだと思いますね。

-そこも書いていて意識的だったんですね。

意識的でした。自分の曲の書き方がひねくれているので、意識しなくても、全部矛盾しているように聞こえてくるんですよね。私の中のひとつのテーマが矛盾なんだなって。アルバムのタイトルを付けるときも、矛盾してるなと思って、このタイトルになったんです。