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INTERVIEW

Japanese

カノエラナ

2019年03月号掲載

カノエラナ

メンバー:カノエラナ

インタビュアー:渋江 典子

2018年、弾き語りツアーで全国を駆け巡り、ちびっ子から大人まで多くの人の心を掴んできたカノエラナ。その勢いのまま、"カノエワールド"の両端と言える2曲で勝負を挑む1stシングル『ダンストゥダンス』をリリースする。自分と対極にある音楽に挑戦し変化を続けてきた彼女は、様々な経験を経た今、境界線を飛び越え原点に戻り、変化や成長を探っているという。そんな分岐点に立つ彼女が作り上げた新作や、開催を控える約1年ぶりのバンド・ツアーと弾き語りツアーへの想いに迫る。

-上京して何年目ですか?

もう6年目になりますね。

-上京当時と比べて最近は音数が増えたり、楽曲の雰囲気が変わってきたりしているなと思うのですが、カノエさん自身が感じる変化はありますか?

今は、もともとの上京前の作風に戻りつつあるなと感じています。円を描くように......山手線ゲームみたいな感じでぐるぐる回っている最中ですね。今までは行けるところまで行ってみようって感じで、自分と対極にある音楽にチャレンジしていたんですけど、境界線を飛び越えたから、地元の駅戻ってみるか~って。通ってきた道を踏み越えて戻ってきた今、どう変化して、どう感じるかっていうのを探っている最中です。

-少し意外ですが、全国流通のシングルは1枚目になるんですね。この作品を1stシングルにした理由はありますか?

"リリースが決まったよ"ってTwitterとかでファンのみなさんにお伝えしたときに、"アルバム楽しみにしています!"って声をたくさんいただいて。アルバムのイメージが強いんだなぁと思いました(笑)。今回は初のシングルなので、初々しい感......もないんですけど、出していきたいなと思って作りましたね。

-収録されている2曲は、いつごろできた楽曲なのでしょうか?

「ダンストゥダンス」は、前回のツアー"全国弾き語りぼっちツアー「カノエ襲来~また来たヨ!勇者全員集合!~」"終了後の昨年10月ごろにできました。カップリングの「猫の逆襲」は、ライヴではやってたんですけど、リリースはせず、ずっと寝かせてた曲です。

-シングルは収録曲数が少ないぶん、アルバムとは勝負の仕方が変わってくると思いますが、いかがですか?

アルバムでは起承転結が簡単に作れてたんですけど、シングルではそれができずに始まってすぐ終わるって感じなので、この2曲でどう勝負すればいいんやろうなって悩みながら曲の編成を考えました。

-苦労したことやこだわったポイントはありますか?

2曲とも真逆のキャラクターを持った曲なので、この2曲をどう近づけたらいいんだろうって、サウンド面で結構苦労しましたね。聴こえ方に統一感を持たせるために楽器の硬さを変えないとか、声は全然違うけど質感を同じにするとか、かけ離れすぎないように意識しました。

-この作品のアートワークの衣装は、カノエさんプロデュースなんですよね。

マネージャーさんとああだこうだ言いながら探してきました。やっぱりリードの「ダンストゥダンス」っぽさを出していきたいなと思って、昭和な感じをイメージしました。私の中で昭和は、いい感じのくすみ具合って印象があるんです。いい感じのバーでタバコふかしてる、みたいな。1枚フィルターがかかってる感じの、派手だけど派手じゃないカラフルさも出したかったので、ポップになりすぎない色合いを探しましたね。とはいえ金髪が一番目立つので背景は黒にして、いかに遊べるかをこだわりました。今までの衣装を掘り起こして見つけたベルトを肩から巻いてみて、"ちょっとカッコ良くないですか、戦えそう!"みたいな(笑)。

-今までは爽やかな印象が多かったので、新鮮でした。

完全に私の好きな方向にもっていきましたね。

-「ダンストゥダンス」は、東京駅で迷子になった経験から生まれた曲だそうですね。

度が過ぎる方向音痴なんです。現在地すらどこなのって。そんな自分がしんどいなと思いますね(笑)。

-普段から日常の出来事はメモされているんですか?

何か変なことが起こったらメモしておいて、曲を作るときに"なんの曲にしようかな~"って選ぶ感じ。その日の気分とか、聴いた曲、観たライヴに影響されることも多いです。いろんな引き出しからアイディアを繋げていくイメージですね。

-ということは、このメモ自体はかなり前のもの?

そうですね。上京したてのころだと思います。

-東京の街には慣れてきましたか?

全然です! まだ基本的に迷子ですね~。どっか行くってなったら、いちいち地図を見て――まぁ見てもわかんないから、"左だろ!"って感じで謎の自信を持って歩いて失敗してます(笑)。

-「ダンストゥダンス」は昭和歌謡っぽい曲にしようと思って制作されたのでしょうか?

いや、まったく思ってなかったです。もともとジャズが好きで、ジャズっぽい曲とかばっかり聴いてきたので、逆にロックをやろうって気持ちはまったくなかったんですよね。ウッドベースがガンガン鳴ってるような曲が好きで、自分もそれがやりたくて。でも声を褒めてもらえたことがなかったので、自分には無理だって思ってたんです。

-それは本格的に音楽活動を始める前ですか?

そうです。自分で曲を作るようになったときに、"あんまりジャズ系には声が合わないから、ポップなロックに寄せていった方がいいよ"って言われたり、自分でもそう思ったりしていたので、"1回好きなものをお休みしておこう"って閉じ込めてたんです。で、いろんな旅をしてきたなかで、自分の声の高さとかを変えることができるようになってきたので、今回は自分の好きな感じの曲調でやってみたいなって思ったんですよね。それで自分が納得できる曲を作って音源を送ってみたら、"ええやん!"って言ってもらえて"え、いいのか!? ありがてぇ......"って。

-後ろで鳴ってるシンバルとかはジャズ感ありますね。

ベースのラインも完全にジャズだし、管楽器は入ってないですけど、オルガンを使いました。自分のやりたい音楽に近づけたかな。この癖のあるオルガンとか、しつこく飾り音を弾いてるピアノとか、ウォーキングしているベースとか、それぞれの楽器が違うことをしているので、そこは聴いてて面白いと思うし、"次はこの音に注目しよう"って何回でも楽しめるんじゃないかなと思います。

-ということは、アレンジのなかでこの昭和歌謡感が生まれたんですか?

もともと私が作っていた音源は完全にジャズだったんですけど、そっちに寄せすぎるのもなぁと。そのなかで、和風が好きなので和を入れてみようってことになったんです。和から昭和、レトロな感じって連想して、リクエストしていってあの音源ができあがりました。

-なるほど。思ったよりも紆余曲折していたので驚きました。

意外とぐにゃぐにゃしながらたどり着いたんです。