Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

カノエラナ

2019年03月号掲載

カノエラナ

Interviewer:渋江 典子

-また作詞作曲に加えて、編曲もカノエさんが手掛けられたんですよね。

はい。これまでもリミックスで1曲参加したりとか、『キョウカイセン』というアルバム(2018年2月リリースの1stフル・アルバム)の「エスカレーターエレベーター」という曲くらいから、なんとなく自分で"こういう感じでやりたいな"って思うことをやり始めたりして。今回、まさかリードの曲を自分でやってって言われるとは思ってもなかったので、びっくりして転がり落ちました(笑)。"無理ですぅ~"って言っても、マネージャーさんは"いけるって! 大丈夫やから!"みたいな。謎の関西人の自信、なんなんでしょうね......(笑)。

-(笑)ご自身で編曲をするようになって楽曲制作に何か変化はありましたか?

とにかくめっちゃ難しいんですよ。ベースがどういうルートを行ってるのか、ドラムのハイハットはどこで入れるのか、まだ全然わかってないので。バンド・ツアーもやったとはいえ、まだ全然回数を経験できてるわけじゃないし......なんならもう1年くらいやってないんです。前の弾き語りツアーは長くてずーっとひとりぼっちだったから、環境を思い出すところから始めました。バンドさんのライヴとか観に行ってもわかんないんですよね、正直。バンドとしてひとつの音楽を一緒に追求するのと、私みたいなひとりのアーティストについていくのは違うじゃないですか。まず、そのついていく感じを知らないから勉強しなきゃって。昔の音源とかわーっと聴いたりして、"私もこうしてみよう"みたいな感じでやってます。

-バンドのライヴを観に行っても観るところが変わってきたんじゃないですか?

そうなんですよ。今日はずーっとベース観る、みたいな(笑)。

-これからもっと音楽の幅が広がりそうな予感がしますね。

今までヴォーカルしか聴いてこなかったので、後ろで鳴ってる音を聴く面白さは新しい発見ですね。

-「猫の逆襲」は、物騒なタイトルと平和なストーリーのギャップにほっこりしました。

"猫っていいなぁ"と思って。もともと、"動物に例えるなら?"って聞くと高確率で猫って言われてたんですよ。だから、ずっと猫の曲を作りたいなと思っていて。でもただかわいい曲だと面白くないから、猫側の立場に立ってみようと思って作りました。

-どうやって猫目線の詞を書いたんですか?

猫と一緒にひなたぼっこしながら、半日くらいずーっと観察したり、メモを思い出したりしながら書きましたね。地べたとかも全然転がれるので、ゴロンってしながら"何考えてるんだろう"とか考えたり、映画の"猫の恩返し"みたいに猫が歩いていく先についていったりもしました。"あ、別の猫に会いに行ってたんか"とか。猫の世界に取材しに行った感じですね。

-この曲のこだわったポイントを教えてください。

この曲は暗くならないように、でも軽すぎずに重さを残せるようにこだわりました。スネアの音がパンって抜けるところも、チューニングで硬さを出してもらったり。今まではなんのこっちゃわかってなかったんですけど、自分でアレンジをやるようになって、"もうちょっとこうした方がいいのかな"っていうこだわりも出てきたので、オーダーして詰めていきました。地に足はついてるけど、上半身はふわふわしているイメージで。

-このシングルは真逆と言える楽曲が2曲収録されていますが、選曲の理由はなんですか?

今までは、どのアルバムでも自分の端っこと端っこを見せていて。ふざけた曲もありながら、まじめにもやってます、みたいな。もちろんふざけた曲もまじめにやってるんですけど(笑)。できるだけ自分の好きな音楽を届けたいなと考えているんです。小さいころから、ひとりのアーティストさんが好きというよりは、いろんな人のいろんな曲が好きなんですよね。あとは自由なアニソンが好きなので、"自由になりたい"って思いもあります。"いろんな曲があって何がしたいのかわかんないよ"って言われることもあったんですけど、"別に良くね?"と思うんです。自分がやりたいことをやりたいし、自分が普段カラオケで歌ってるような、いろんな曲をやりたい。洋楽も歌うし、演歌も歌うし。そういうところも自分の音源で出していきたいなと。今回は2曲勝負だから両方同じような曲だと楽しくないし、自分が聴いていても飽きるので、全然違う曲にしようって思ってこの選曲になりました。

-この2曲は飽きがこないというか、交互に聴き続けられますね。

良かった~。どんな世界に連れていかれるんだろう、って感じですよね。

-「猫の逆襲」はもともとライヴでは披露されていて、音源化を望む声も多かったんですよね。

そうですね。この曲をライヴでやったときに、ちびっ子たちは"「猫の逆襲」が一番好き!"って言ってくれるんですよ。でも大人の方からも"「猫の逆襲」めっちゃいいね"って声もいただいて。幅広く好きになってもらえて、みんなで楽しめる曲ってなかなかないだろうし、シングルってバッチリ決めるところで音源化した方がいいのかなと思ったんです。アルバムに入るよりはいいんじゃないかなと。

-しかも、2本のツアー(3月21日より開催する"カノエラナ 猪突猛進~ひとりじゃないよバンドツアー~"、4月から6月にかけて開催する弾き語りツアー"カノエラナ 猪鹿超絶ぼっちツアー")を行う前のシングルですしね。

やっぱり覚えてほしいし、手元で聴いてほしいなと思ったので、絶好の機会でした。

-バンド・ツアー、弾き語りツアーも決定していますね。

「ダンストゥダンス」のヴォーカルはメロディがすごく難しいんです。自分で作ったけど、結構苦労して。さらにバンドも難しいことをガンガンやってるんですよね。この曲のレコーディングは、ドラムとベースをツアーのサポート・メンバーの方にお願いしたんです。実はツアーのサポート・メンバーの方とレコーディングするのは今回が初めてで。おふたりとも初期からバンド編成のライヴでお世話になっていた方なんですけど、"めっちゃ練習した、大変だった"って言ってました(笑)。

-長く一緒に演奏している方だったらカノエさんの好みも理解されてるんじゃないですか?

"ラナちゃんやったらこっちの方が好きかなぁ"とか言いながらやってくれてました。

-それは頼もしいですね。バンドと弾き語りではアレンジも違ってきますよね。

そうですね。やっぱり空白はアコギでは埋められないからガチャガチャやってみたりとか、逆にバンドだとそこが自由になるので、"アコギ弾かなくていいぜ~"ってマイクだけで歌えたりするので全然違うと思います。

-ではどちらのツアーにも足を運ぶと、もっと楽曲が楽しめると。

(※深く頷く)

-無言ですがすごく思いが伝わってきました(笑)。

弾き語りツアーは、なんだかんだいっぱいやってきたので......。去年はツアーだけで46本やってるんですよ。意味わかんないですよね(笑)。もはや記憶も曖昧なんですけど、今までの感じも残しつつ、前のライヴと同じってわけにもいかないので、セットリストも大幅に変えたいなと思ってます。あとは自分のペースでやっていけたらいいなと。

-では最後に、2019年第1弾作品ということで、今年はどんな1年になりそうですか?

2018年は私にとっていい1年だったんですよね。ライヴ会場限定のオール・セルフ・プロデュース・アルバム(2018年6月リリースの『ぼっち2』)を作ったことが自分を変えたなと思っていて。その1年を引き継いで、自分が今何をしているのか、どこに向かっているのか、ちゃんと理解しながら地に足つけてやっていきたいですね。あと、2018年よりも派手な1年にしたいです。