Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

SPARK!!SOUND!!SHOW!!

2019年10月号掲載

SPARK!!SOUND!!SHOW!!

Member:タナカユーキ(Vo/Gt) チヨ(Ba/Cho) タクマ(Key/Gt/Cho) イチロー(Dr/Cho/169)

Interviewer:秦 理絵

-他のアルバム曲の話もできればと思いますけど、「ヘビーローテンション feat.YUKITERO(空きっ腹に酒),KAITO(Paledusk)」も突き抜けた曲ですね。いろいろとツッコミどころがあるというか、怖いものなしというか(笑)。

タナカ:これもダンス&バイオレンスですよね。タクマがギターのリフだけをいっぱい溜めてたから、"これいいやん"っていうのをパクッて、イチローとスタジオに入って作ったリズムの上に乗せて曲にしたんです。そこにAKB48の「ヘビーローテーション」をモジって。ヘヴィでローっていう重心の低いサウンドとローなテンションっていう、アイドル・ソングの真逆みたいな曲にしようと思ったんです。

-これに空きっ腹に酒のYUKITERO(田中幸輝/Vo)さん、PaleduskのKaito(Vo)さんが参加したのは、どういう経緯だったんですか?

タナカ:タクマの家で作業してるときに、空きっ腹(空きっ腹に酒)のYUKITEROに"遊び来いや"って呼んだんです。"暇やったらラップせぇや"って言ったら、その場でリリックを書き始めて、その場で録音したんですよ。で、アイドルの真逆にいきたかったから、ギャーギャーうるさい声も入れたくてKaitoにも入ってもらいましたね。

-タクマさん、自分のリフからこういう曲ができあがったことに関してはどうですか?

タクマ:実はたくさん作りすぎて、もともと自分が作ったリフだって覚えてなかったんですよ。最近まで"このリフ難しいな"と思って弾いてたら、俺が作った曲やって言われて。

チヨ:"またユーキが変な曲を作って"みたいなことを思ってたんでしょ?

タクマ:そうそう。

チヨ:だいたい弾くのが難しいと思うとユーキの曲ですからね。

-そうなんですね(笑)。「蜜」は、オルタナティヴR&Bをスサシ流のアプローチで解釈した曲ですけども、「GODSPEED」と同じバンドの曲とは思えないです。

タナカ:あ、この曲の話は聞いてもらいたかったやつですね。前回椎木との対談で、メロウな曲もあったけど、前回のアルバムからはハズしたっていう話をしたと思うんですよ。

-ええ、覚えてます。ライヴ寄りのアルバムだから外したって言ってましたね。

タナカ:それがこの曲なんです。ちょうど前のメンバーがいたときに、フューチャー・ベースとかオルタナティヴR&Bとかを聴いてて、そういう曲を作ってみたかったんですけど、なかなか実現できなかったんですよね。で、タクマが入ってきたタイミングで完成したっていう。こういう曲はやってて気持ちいいんですよ。

-スサシみたいなバンドがこういう音楽をサラッとやっちゃう面白さはありますよね。

タナカ:そう、声がね。"お前歌うんかい"っていう声ですから(笑)。

チヨ:自分でも自覚があるんですよ。

タナカ:普通にそういうジャンルの人が歌ったらかっこいいと思うんですけど、俺らがやるといい感じの違和感として残るんだろうなと考えてます。

-たしかに。歌詞に関しては意味のない曲も多いけど、「ミッドナイトサイダー」とか「MARS」、「ソウルナンバー」あたりにユーキさんの想いが込められてそうな感じがしました。相変わらず自分の気持ちを歌うのは照れがありますか?

タナカ:前回のインタビューではそんな話もしたんですけど、「アワーミュージック」(『火花音楽匯演』収録曲)みたいな曲ができて、ライヴで自分の想いを歌うのが気持ち良くなったんですよね。こういう曲をライヴで歌ってるときは、お客さんが盛り上がってようが盛り上がってなかろうが関係なく、自分の気持ちで歌えるんです。

-そういう心境の変化もあって、「MARS」ではバンドへの想いをビッグマウスでラップをしたり、「ソウルナンバー」ではストレートに自分の心境を綴ったりしたんですね。

タナカ:そうですね。「ミッドナイトサイダー」は、結構昔の曲で"自分に自信ないな"っていうことを歌ってたけど、どっちかというと今はそんなことなくて。もう過去の曲として歌ってる感じなんです。で、「MARS」は、そこから自信がついてきたから一気にビッグマウスになるっていう(笑)。これは、もともとバンドのライヴがなくて、俺がひとりでライヴをやりたいときに作ったリリックなんです。完全にアカペラの曲だったんですよ。で、後半から入ってくるバンドの演奏は、もともとタクマが作ってたインストで。それを安易に合体させてできた曲ですね。

-面白い作り方ですね。じゃあ「ソウルナンバー」のほうが、ユーキさんの今の心境に近かったりするんですか? "笑いに変えて逃げるのはもう飽きた"って、バンドで歌い続ける決意みたいなものも歌ってますけど。

タナカ:オラオラのビッグマウスを経た、感謝系ギター・ロックですよね。

チヨ:ヤンキーが"おかん、ありがとうな。今まで苦労かけた"って歌ってるような曲ですよね。

タナカ:そうだね。俺らは非行系のイメージがあるから、こういう曲がきたら胸ジーンかなと思って(笑)。ズルいですよね。

-でも、本当に思ってることでもあるんでしょう?

タナカ:そう、嘘は歌ってないですね。

-"ミッドナイトサイダーはもうとうに飲み干した"とか、あの自信のない時期を越えた今の歌っていうことですもんね。

タナカ:そういうストーリーも楽しんでもらいたいなと思うんですよ。他にも、さっきの「MARS」は、前作アルバムに入れてた「Still dreamin'」っていう曲のAメロで歌ってた、"目が覚めても ここにまだ立ってる"っていうフレーズで歌い出すんです。そうやって伏線を回収して、それが「スサシのマーチ」に繋がって、自信がなかった時期の「ミッドナイトサイダー」を消化した「ソウルナンバー」に繋がってる。っていうのは、自分的に"スター・ウォーズ"を観てるみたいって思ってます。

チヨ:ジェダイ滅びたのに、また出てきたっていうね(笑)。

-あはは(笑)。スサシって、イメージからするとおバカなノリでドカーンってやるようなバンドにも見えるけど、節々にそういう繊細さもあるんですね。

タナカ:計算高いんです(笑)。

-"クレバー"と言い換えておきます。最後に、アルバムのタイトルを"NU BLACK"にしたのは、どういう意味があるんですか?

タナカ:"ブラン・ニュー・ブラック(新しい黒)"みたいな意味と、"knew black"で"もう黒を知っていた"っていう意味で、このふたつの意味を持つ新しい言葉として"NU BLACK"にしたんです。みんなが知った黒は過去形なんだぜっていうか、自分らの新しい黒を塗りつぶしていくっていう感じですね。今年からこの名前の自主企画イベントをやってたんですけど、そのままアルバムもこれでいこうぜっていうことです。