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SPARK!!SOUND!!SHOW!!

Skream! マガジン 2020年02月号掲載

SPARK!!SOUND!!SHOW!!

Official Site

2020.01.11 @渋谷WWW

Reported by 沖 さやこ Photo by KAWADO

会場が暗転すると、客入れBGMに乗せてステージ前のプロジェクターがおもむろに下がり始める。BGMが止まり流れるのは、英語のアナウンスとSPARK!!SOUND!!SHOW!!のライヴ映像。"今まで感じたことのないスリルをお楽しみください"――こちらの期待をかき立てるには充分すぎるほどの煽り。そして、このあとステージに現れた4人は、この言葉をこれでもかと立証するのであった。

1曲目「GODSPEED」から、不穏でありながらも、ユーモアに溢れるミクスチャー・サウンドが観客の熱気を巻き上げていく。タナカユーキ(Vo/Gt)、タクマ(Key/Gt/Cho)、チヨ(Ba/Cho)の前衛3人がマイクを持ちラップをかます「感電!」では、レーザーが入り乱れるなか3人が一斉にフロアに突っ込み、タナカはひしめく観客の上を伝って階段状のフロアを軽々と上っていった。転げ落ちるように彼がステージに戻ると、「ゴジラのテーマ」を導入に「かいじゅうのうた」へ。ドープでポップなサウンドを放ちながら、メンバーは定位置という概念が崩壊したがごとく縦横無尽に動き回り、タクマはシンセとギターを巧みに使い分ける。気だるくも隅々まで鋭利な音像は、脳天に突き刺さりこちらの思考を奪い、トランス空間へと誘うようだ。1秒たりとも目が離せない。

チヨの"俺らも自分たちをどういうジャンルと言っていいかわからない"というMCの通り、彼らの音楽はハードコア、パンク、メロコア、メタル、ヒップホップやR&B、ニュー・ウェーヴ、レゲエ、ラテン系など様々な音楽性を内包している。いかついながら、どこかコミカルで、熱量の中にどこか冷めた面も持っているなど、ひと言で言い表せないサウンドが常にこちらを翻弄し続ける。それが非常に小気味よい。2017年に現在の4人が揃い、バンドにとっての初ワンマンであるこの日。7曲目に演奏した「BRUSH UP」中の"ワクワクさす"という歌詞はお誂え向きだった。

"スター・ウォーズ"のテーマが流れると、ムードメーカーであるイチロー(Dr/Cho/169)が光るサングラスを装着し、単身ステージへ登場。「イチロック☆だもん」をソロ・パフォーマンスすると、会場も笑いを堪えられない様子で彼の勇姿を讃えた。その直後にCreepy NutsのR-指定がサプライズ登場すると、イチロック(イチロー)の比にならない歓声が巻き起こり、タナカが"あんまり盛り上がらないで"と笑わせる一幕も。5人で客演曲「Swinga!」を披露して会場をかき回し、ライヴの前半戦を華々しく締めくくった。

「アワーミュージック」、「ミッドナイトサイダー」といった甘酸っぱいロック・ナンバーから、バンドの持つロマンチシズムが明確に出たセクションへ。甘美で切ない「good sleep」では、観客のスマートフォンのライトで明るく照らされた会場が、4人の姿を克明に浮き上がらせた。「蜜」のメンバーが少しずつ影になっていく照明演出も、繊細な楽曲の雰囲気をより引き立てる。タナカのシリアスなフリー・スタイルからヘヴィな「MARS」に繋ぎ、爆発力の強い「スサシのマーチ」へなだれ込むと、再びひりついた音像を炸裂する。"この曲をやるためにツアーを回ってきたと思っています"、"この曲を演奏した途端に俺たちは次のフェーズに入っていく"とタナカが前置きし、最後に演奏したのはライヴ初披露の「ソウルナンバー」。胸の前に両手で器を作ったり、胸に手を当てたりするなど、大切に歌っている様子が仕草からも伝わるタナカの姿は、素朴でありながら、とても凛としていた。

アンコールは、PaleduskのKAITO(Vo)がゲストとして登場した「ヘビーローテンション」のあと、"終わりたくねーっていう今日みたいな日のために書いた曲"(タナカ)という「still dreamin'」で、晴れやかに全国ツアーと記念すべき初ワンマンを締めくくる。それは同時に、新しい世界へ駆け出していくようなエネルギーにも溢れていた。2020年、今の4人で土台を固めた10年バンドの行先を注視したい。

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