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INTERVIEW

Japanese

SPARK!!SOUND!!SHOW!!

2019年10月号掲載

SPARK!!SOUND!!SHOW!!

Member:タナカユーキ(Vo/Gt) チヨ(Ba/Cho) タクマ(Key/Gt/Cho) イチロー(Dr/Cho/169)

Interviewer:秦 理絵

ついにSPARK!!SOUND!!SHOW!!の時代がやってきた。ヒップホップ、ハードコア、レゲエ、ダンス・ミュージック、ポップスなど、あらゆる音楽を呑み込んだ攻撃力の高いロック・ナンバーで、ライヴハウス・シーンを荒らしまくる4人組が、いよいよメインストリームに大腕を振って歩き出そうとしている。昨年リリースされた初の全国流通フル・アルバム『火花音楽匯演』を経て、今年開催された自主企画東名阪ツアーは全箇所ソールド・アウト。今夏は全国のフェスやサーキットに引っ張りだこの彼らが、前作から1年3ヶ月ぶりのニュー・アルバム『NU BLACK』を完成させた。今作のテーマは、"ダンス&バイオレンス"。これでもかと音ネタ、伏線を盛り込んだ彼らの音楽を解剖するべく、メンバー全員に話を訊いた。

-前作『火花音楽匯演』(2018年リリースの1stフル・アルバム)のときは、タナカさんとチヨさんが椎木さん(My Hair is Bad/Gt/Vo)との座談会(※2018年6月号掲載)で登場してくれたので、Skream!でメンバー全員のインタビューは初になります。資料によると、イチローさんの担当楽器がドラムと"169(イチロック)"なんですけど、これはどういう意味ですか?

タナカ:お、いきなりメイン議題(笑)。

チヨ:彼の持ちネタがあるんですよ。

イチロー:どうもっ! イチロックこと、イッーチローでーす!

チヨ:っていうやつなんですけど。

-あぁ......わかりました(笑)。最近のスサシ(SPARK!!SOUND!!SHOW!!)はかなりの本数、夏フェス、サーキットに出演してますね。"SATANIC CARNIVAL'19"、"京都大作戦2019"、"BAYCAMP"、"RUSH BALL 2019"、"TOKYO CALLING 2019"などなど。引っ張りだこじゃないですか。

チヨ:ありがたいことに。フェスってこんなに簡単に決まるんやと思ってます。普通にホームページのお問合せフォームからメールが来るので、ビックリしました(笑)。

-どんどんオファーが来る状態なんですか?

チヨ:そうなんですよ。前作の『火花音楽匯演』を出したあと初めて東名阪(自主企画"NU BLACK")をソールドできて、そこからどんどん決まるようになったんですよね。

タナカ:前回のSkream!のインタビューの反響が良かったんです(笑)。

-あはは、上手ですねぇ(笑)。じゃあ、結成10年で今が一番いい状況?

タナカ:超最高です(笑)。これが続けばいいなと思いますね。

タクマ:僕はこのバンドに入ってからはまだ3年ぐらいなんですけど、バンドを始めてからは10年ぐらいやってるから、感慨深いものがありますよね。

-イチローさんはどうですか?

イチロー:みんなが言った通りです。最高だなって。

チヨ:0点の回答ですね(笑)。

-(笑)2009年の結成からライヴハウスを中心に活動してきたスサシですけど、結成10年でこういう状況になっているのは、自分たちでは何が理由だと思いますか?

タナカ:2017年にタクマが加入して、この4人になったことが大きかったですね。

チヨ:タクマはバンドを客観的に見られる人だから、ユーキが作ってきた曲の意図を汲み取って一番いいアレンジを考えてくれるんですよ。

タナカ:俺が頭の中で描いてることをちゃんと形にしてくれるんですね。今までは、みんながやりたいことを出し合うっていう民主主義的な感じで曲を作ってたんですけど、タクマが入ってくれたことで俺が無理なく伸び伸びやれるようになったんです。

-タクマさんは、加入するならば、それが自分の役割だと思ってたんですか?

タクマ:そうですね。スサシのことは加入する前から知ってたんですけど、"演奏が上手くてかっこいいんだから、もっとこうしたらいいのになぁ"って思うところもあって。

チヨ:あと一番はアレやんな。イチロックの扱い方を俺らに教えてくれたんですよ。

タナカ:あぁ、そうだね(笑)。

チヨ:イチロックは、タクマが入る少し前に加入してたんですけど、当時一番寡黙で気難しいキャラやったんです。僕らもどう絡んでいいんかわからんみたいな。タクマはもともと(イチローと)一緒にバンドをやってたのもあって、"こいつはポンコツやから、こうやってイジったらいいんやで"っていう取扱説明書になってくれたんですよね。

-メンバーがイジることでイチローさんのキャラが開花したんですね。

イチロー:今が一番やりやすいです(笑)。

タクマ:昔のイチローは気難しくて、クールなほうがかっこいいと思ってたんですよ。

イチロー:......その話する?

-ははは(笑)。メンバーは仲が良さそうですよね。

タナカ:イチローが加入するまでは、メンバーの関係性もビジネス・パートナーっぽかったんですけど、今のほうが友達とか部活っぽい感じなんですよ。

タクマ:俺が入る前にメンバーに女の子がいたのも少し違和感があったんですよね。別にその女の子たちがどうとかじゃなくて、たぶん俺らは男同士でつるんでるのが楽しいメンバーなんです。そういうのもあって、男同士いいよなって感じですね。

チヨ:うんち、ちんちんで笑える。そんな楽しいことはないですからね(笑)。

-会う前にイメージしてた通りの4人です(笑)。音楽的なところで言うと、スサシの音楽ってカオスじゃないですか。ヒップホップ、レゲエ、ハードコア、ダンス・ミュージックみたいなものが混然一体になってて。どうやってそこに行き着いたんですか?

タナカ:俺は、最初サビのない音楽をやりたかったんです。昔のデモ音源は、サビなしでFメロまでいくっていう。ライヴで観てる人からしたら"今何曲目?"みたいな状態だったんですよ。その中にいろいろなジャンルを混ぜたのが初期でしたね。で、女の子のキーボードが入った5年前ぐらいのタイミングから、初めて流通盤(2015年リリースの1stミニ・アルバム『Chemical X』)が出るんですけど、そのあたりから展開とかジャンルとかを減らすようになって。前回の『火花音楽匯演』もそうですよね。ライヴっぽい曲を多くして、徐々にシンプルになってきていて。

-一般的に言うと全然シンプルじゃないですけどね(笑)。

タナカ:そうですよね(笑)。でも、俺の音楽のもとを話すと3つの要素なんですよ。ひとつが、インディーズ・ロックとかメロコア。ハイスタ(Hi-STANDARD)とかを追って辿り着いたロックですね。それと同時にメディアではJ-HIP HOPが流行ってたから、RIP SLYMEとかキック(KICK THE CAN CREW)を聴いてて、それがブラック・ミュージックとかクラブ音楽に辿り着いたんです。それがふたつ目。で、3つ目はJ-POPですね。サザンオールスターズとか好きで聴いてたんです。バンド名の由来はTHE YELLOW MONKEYだし。

-あぁ、「SPARK」と「LOVE LOVE SHOW」?

タナカ:そうです。

-一見スサシって悪そうでアンダーグラウンドなイメージもあるけど、J-POPも好きだから、中毒性のあるキャッチーさもあるんですね。

タナカ:そうですね。それが時期ごとに変化していってるんですよ。

チヨ:そのときのユーキのマイブームが曲に出るんですよね。でも、最終的に軸として残ってるのは、ハードコアとかメロコアっぽいところが強いのかなと思います。

-なるほど。今回のアルバム『NU BLACK』も相変わらずジャンルを縦横無尽に縦断してますけど、いつもより筋が通ってるというか、まとまってる印象なんですよ。

タナカ:あ、そうなんですよ。それもタクマの加入が大きいところなんです。もともとタクマは0を1にするのは苦手で、俺が作ったものを膨らませていくほうが得意やって言ってたんですね。でも、今回はタクマが作ってきたものを、俺が1に膨らますっていう曲も多くなって。タクマのエッセンスが増えたことで、今までより重心低めの悪めな音楽が強く出てきたっていう感じなんですよね。

-タクマさんが0から1にするのに加わろうと思ったのは、どうしてだったんですか?

タクマ:"こういうのをやろうぜ"っていうよりも、自分で作るほうが早いからですね。今回は、"アルバムを作ろうぜ"っていう感じで作ったわけじゃなくて、基本ずっと曲を作ってるから、それを自然に収録した感じなんですよ。

チヨ:ただ、ライヴでこういう曲がほしいなっていうのは意識してたよね。それもあって、作り手はふたりに増えたけど、重心重めにまとまったアルバムになったんだと思います。