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INTERVIEW

Japanese

majiko

 

majiko

Interviewer:秦 理絵 Photo by マサ(@masalivephoto)

自分の好きなものをやってる人のほうが勝ってることが多いんですよ。何かを諦めたりする時代は終わったと思ってるから


-話を聞いてるなかで、「マッシュルーム」では"王道のバラード"を目指したり、「ワンダーランド」ではキャッチーで歌いやすい曲を目指したりしていて。今、majikoさんの中で、王道や大衆性を意識する部分が強くなってるのかな? と思いましたけど。

たしかに強くはなってますけど、ただ、私が歌うから意味がある曲のほうが、好きだなとも思っていて。誰が歌ってもいい、みたいなものは嫌なんですね。もともと、私に王道は必要ないと思ってるんです。王道って、廃れないものっていう意味じゃないですか。でも、それは"過去の王道"であって、"今の王道"ではない。そこに、結構ぐるぐるしちゃうんですけど。やっぱり自分をなくさないことが、今の時代の王道には合ってるんじゃないかなとは思いますね。今必要なのって、この時代に合った音楽性と、自分の個性だと思うんです。自分の好きなものをやってる人のほうが勝ってることが多いんですよ。何かを諦めたりする時代は終わったと思ってるから、誰に何を言われても、そういう自分でいたいとは思いますね。

-なるほど。今回のアルバムは、そういう大衆性の部分と、自分自身のエゴを貫くっていうところで、majikoさん自身がせめぎ合いながら作った部分もありそうですね。

本当にそのとおりですね。これをずっと続けていくんだろうなと思いました。だから、一歩踏み出せたなっていう手応えはあるんです。いろいろ言ってくる人はいるけど、この心構えというか、スタンスを忘れないでいようっていうのはありますね。

-わかります。アルバムの収録曲の話に戻すと、「グラマー」も素晴らしかったです。やっぱりharuka(nakamura)さんとmajikoさんの相性はすごくいい。

それ、思いました。個人的にすごくウルッとくる曲になったなと思っていて。今回、harukaさんに、私とてっちゃんにアレンジをやってほしいって言われて、3人で作ったんですけど。これ、harukaさんの思い出の曲らしくて。harukaさんが10代のころに、青森で小さな大会に出て、優勝した曲なんです。

-そんな大切な曲をmajikoさんに提供してくれたんですか。

そう、ありがたいなと思って。harukaさんの若かりし頃の風景が見えるんですよね。この曲は、なんで"グラマー"なのかっていうと、当時、harukaさんのおじいさんが亡くなってしまったらしくて。そのときに遺されたおばあちゃんに向けて作った曲なんです。それを、私に楽曲提供するにあたって、少し歌詞を変えてるんですね。もとは"グランマ"だったんですけど、この響きは残しておきたくて"グラマー"にしたんです。グラマーだと、"魅力的な女性"っていう意味もあるし、いいかなって。

-harukaさんとの共作は「声」(『AUBE』収録曲)以来でしたっけ?

そうですね。最初作るときに、harukaさんは"「声」を超す"って言ってたんですよ。でも、「声」とは違うベクトルのいい曲になったので、すごくいいなと思いました。作るときに、教会が見えてたんですよね。

-たしか、「声」の取材のときも、教会のイメージって言ってました。

harukaさんって教会のイメージがあるんです。神様と近いところにいる、みたいな。この曲は映画の"ノートルダムの鐘"のイメージなんですよ。ラストの3拍子になるところとか。で、実はこの曲を録っている日が、ちょうどノートルダム(聖堂)で火災がおきてしまった日でした......。

-そうだったんですか。今回、収録するにあたって歌詞を変えたと言ってたけども、この曲を聴いたときに、どこか「声」の続編のようなイメージもありました。

あ、そうですね。アレンジの面で、てっちゃんと私でそう仕向けたところもあるんです。ドンドンドンっていう(バスドラの)音も必要だなって話もしてて、どこかで「声」と似せようとしたのは、アレンジャーの仕業ですね。

-で、最後を締めくくるのが、「WISH」ですね。これこそ王道のバラードですけど、この曲の歌詞をmajikoさんが手掛けていることも衝撃でした。

これは"7SEEDS"っていうアニメのエンディング・テーマなんですけど。オファーを受けたときに、原作を全部読んだんですよ。番外編も買って読んだんですけど、すごいハマっちゃって。自分の人生で3本の指に入るぐらいの漫画だったから、自分で歌詞を書きたかったんです。伝えたい言葉が多すぎて、すごく時間がかかったけど、登場人物の花と嵐の関係性とか、未来のことも入れたいなと思って書きました。

-どうして、そこまでこのアニメに惹かれたんですか?

設定が好きなんですよね。世界が崩壊したあとの未来の話なんですけど、5つの季節に分かれたチームがあって、7人ずつ選ばれた人間だけがその未来に送り込まれるんです。都市は崩壊してるし、めっちゃデカい虫が襲ってくるし、みたいな。そこにある人間関係がエモくて、すごい泣いちゃって。この曲がそのアニメの救いになればいいなと思って書いたんです。

-アニメの救いであると同時に、このアルバムの救いにもなっていると思います。寂しさとか孤独が全体のテーマにあるけど、最後に収録されたこの曲で、誰かと共に生きていくんだって歌ってることに意味があるというか。

たしかに。それは無意識でした。そう言われると、私すごいな(笑)。

-いつもインタビューでは、majikoさんの歌のことを語るとき、闇っぽいとか言うじゃないですか。

そうですね(笑)。それが嬉しいんですけど。

-でも、この曲では光になろうとしてるようにも思うんですよね。この作品を受け取った人が、少しでも一歩前に踏み出していけるような。

たしかに、光に向かってますよね。自分でも自分のことがあんまりわかってないんですけど、こういう作品ができあがると、そういうシンプルな想いも自分の中にはあるのかなって、言われてから気づくんですよね。

-曲を作るとき、聴き手にどんなふうに受け取ってほしいとか想像しますか?

私のように感動してほしいなと思います。曲を作るときに、すごく感動しながら作ってるんですよね。だから、それと同じような感動を味わってほしいなって。自分で、自分の曲で泣くんですよ。"あぁ、最高じゃん......"って。だから、みんなにもそうなってほしいっていうのはありますね。あと、今回のアルバムができて、どういう人がどの曲を好きになってくれるのか知りたいです。

-それは今まで以上に思うこと?

そうですね。今ほど思うことはなかったです。さっきも話したように、今回は自分の中で王道を目指した曲と、自分の世界観を貫いた曲があると思ってて。聴く人がどういうのを好きになってくれるのか、知りたいんですよね。

-なるほど。今回のアルバムを作ることで、今までにない感情に気づけたり新しい自分を発見できたり、というところは多そうですね。

でも、やっぱり私はメンヘラだったって思いましたけどね。

-ははは(笑)。それが音楽を生み出す原動力なんでしょうね。

そういうことなんだと思います。そうやって、これからも音楽を作り続けていきたいなって、儚くも強く感じましたね。