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INTERVIEW

Japanese

majiko

 

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Interviewer:秦 理絵 Photo by マサ(@masalivephoto)

-今回のアルバムで、majikoさんが作詞作曲を手掛けた新しい曲というと、「ワンダーランド」と「MONSTER PARTY」ですね。どちらも華やかなサウンド・アプローチが印象的です。

「ワンダーランド」は、私はバンドじゃないからもうバンド・サウンドに縛られなくていいと思いながら作ったんですよ。

-いわゆるギター、ベース、ドラムの音だけじゃなくていい、と?

そう。もともと私はバンドが好きだったから、そういうところにとらわれていたんですけど。別にそうじゃなくてもいい、なんでもできるんだ、みたいなフリーダムな感覚で、電子音とかも入れて作ったのが「ワンダーランド」ですね。今回もてっちゃん(木下 哲)に手伝ってもらって、私が作った拙いギターをかっこ良くしてもらったりして。この曲では私なりにサビを結構キャッチーにしたんです。今まで、歌いづらい曲が多かったから(笑)。

-majikoさんが作るデモの段階では、どの程度サウンドのイメージを固めてるんですか?

結構音を入れてますね。アコギと歌だけでは作れなくて。自分の中で見えてるというか、聴こえてきちゃうんですよ。で、"この音を入れたい"ってなる。それが楽しかったりもするんです。だからMIDIのクラリネットとか弦、リズム・パターンも自分で入れてみて、あとはアレンジャーの方と相談して差し引きというか。どれが必要で、どれがいらないかみたいなのを選定する、審美眼的な部分で考えてくださってますね。

-ちなみに「ワンダーランド」だと、どんな景色が浮かんでたんですか?

なんて言うのかな......遠くはないんですけど、近くもない未来なんですよ。遊園地みたいな。でも、ディズニーランドみたいにきれいな感じじゃなくて、もっと空気が汚くて、ごちゃっとした景色が見えてましたね。

-薄汚れた場末感ですよね。そこで何か美しいものを探し求めてるような。

そうですね。

-「MONSTER PARTY」のほうも絵が見えるサウンドですよね。ダーク・ファンタジーというか、怪しげなサーカスっぽい雰囲気で。

これは本当におかしい世界にしようと思ったんです。"モンスター・ホテル"っていうアニメ映画があるんですけど、ああいうカートゥーン・ネットワークみたいなふざけた感じを入れたくて。てっちゃんと、すがちゃん(菅原一樹)の3人で話し合いました。すがちゃんは、いろいろなアレンジのお仕事をしてるから、莫大な音の素材を持ってるし、こういう感じの音が欲しいって言うと、作ってくれましたね。すがちゃん、無双です(笑)。

-吸血鬼とかゾンビが出てくるような世界観って、もともと好きだったりするんですか?

あぁ、好きですね。ディズニーが好きだから、そういうのには影響されてると思います。あとは暗いものが好きだし。だから、結構素の私で歌ってる感じはあるんです。ただ、「MONSTER PARTY」をレコーディングするときに、笑い声を入れなきゃいけないところがあって、あそこはすごく頑張りました。"そんなに笑ったことないんだけど"って(笑)。

-今までのmajikoさんって、どちらかと言うと、シンガーとしての存在感を語られることが多かったけど、今作では音楽家としての成長を感じるし、それが純粋に楽しそうですね。

楽しかったです。「ワンダーランド」ではクラリネットと弦の掛け合いが入ってるんですけど、頭のねじを外さないと浮かばないというか。本当に頭がおかしくならないと作れないようなリフだったんですけど、それを考えるのも楽しくて。

-レコーディングでは、管弦楽器を生で演奏してるのもこだわりですか?

そう、そこはこだわりたいところだったんです。MIDIは絶対にダメでしょと思ってたから。無理を言って、生音を入れてもらいました。

-そのこだわりを感じるのが、「マッシュルーム」ですね。アレンジャーにバイオリニストのNAOTOさんを迎えて。

NAOTOさんは、"ROCKIN' QUARTET"(※NAOTO率いる弦楽四重奏がロック・バンドのフロントマンをゲストに迎えて行うライヴ・シリーズ)でホリエ(アツシ/ストレイテナー/Vo/Gt/Pf)さんのゲストとして出させてもらったときから仲良くしてくださって。今回、快く受け入れてくださったんです。王道ってこうなんだっていう感じですね。

-NAOTOさんって、クラシカルなイメージもあるバイオリンっていう楽器を、王道のロックとかポップスとして聴かせることのできる人ですもんね。

そう、すごい美しい旋律でしたね。

-「マッシュルーム」は、作曲はmajikoさんで、作詞が蝶々Pさんで、そこにNAOTOさんが加わるっていう組み合わせも新鮮でしたけど。

この曲は、スタッフから"王道っぽいバラードを作ってみてほしい"っていう話があったから、私も......まだそんなに大したものじゃないですけど、作曲家魂みたいなものが燃えたというか、"やっちゃるわ!"みたいな感じで(笑)。こういう引き出しもあるよ、みたいなものも見せたかったんですよ。

-実際、自分なりの王道が作れたという手応えはあります?

いや、結局自分でメロディを書いたので、王道にはならなかったんですよね。アレンジは素晴らしいんですけど。作曲が私だから、最終的には王道にならなかったなと思ってて。そりゃあ、プロが書いたほうが王道になるというか。

-12曲目の横山裕章さんが手掛けている「WISH」のほうが王道っぽいですよね。

そうなんですよね。

-歌詞を蝶々Pさんにお願いしたのは?

これは、私が書けなかったんです。王道の歌詞は書けない(笑)。だったら、ちょぴ(蝶々P)しかいないなって思って、書いてもらいました。ちょぴ節が出てますよね。女々しさみたいな。この、ちょぴ特有の女々しさが私は大好きなんです。

-これ"マッシュルーム"っていうタイトルなのは、どうしてですか? 歌詞からは、なかなか連想しづらいんですけど......。

これは、ちょぴがおふざけで付けたものだから採用しないでくださいって言ってたのを、そのまま付けたんです。MASHには"すり潰す"っていう意味があるらしくて、"すり潰す部屋"みたいな。あと、スペルが違うんですけど、MUSHには"ドロドロとした"っていう意味もあって。私は"マッシュルーム"っていう言葉の語感も好きなので、いろいろな意味を想像できるのがいいなと思ったんです。

-心がすり潰されるような曲ですしね。

そんな感じです。