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INTERVIEW

Japanese

チリヌルヲワカ

 

チリヌルヲワカ

Member:ユウ(Gt/Vo) イワイエイキチ(Ba) 阿部 耕作(Dr)

Interviewer:山口 智男


ダメだと言われても、"その人とは合わないんだな"って割り切れるぐらいの満足感が、今までで一番ある


-レコーディングはいかがでしたか? 前作はエンジニアの南石聡巳さんと――

イワイ:今回も同じです。

阿部:岡山にある南石さんのスタジオに行って。

イワイ:1枚目(2005年リリースの1stアルバム『イロハ』)のエンジニアが南石さんだったんですけど、それからずっとやってなくて、前回お願いしたら、やっぱりいいよねという話になって。

阿部:個人的には、年齢も近いし、聴いてきた音楽も近いし、僕の中ではざっくり言うとオルタナ感がある人だなという印象があるんです。一個一個細かいことはこっちから言わないんですけど、自然と出てくるものにそういう印象がある。そういうところがいいんですよ。

-言葉で伝えなくてもお互いわかり合えているわけですね。

阿部:録りのときもミックスでも、こうしてくれとは1回も言ってないですね。向こうから"これぐらいにしてほしい"っていうのはありましたけど。

ユウ:南石さんに委ねているというか、南石さんが作る音が好きだから邪魔したくないんです。南石さんの感じでやってもらいたいというのは最初からありました。自分としては意図したことはそんなになかったんですけど、南石さん的には今回すごくゴリゴリなイメージがあったみたいで、"そういう感じのサウンドにしました"と言われて、"あ、そうか。今回はそういうイメージか"って思いましたね。

-僕もそういう印象でした。

ユウ:めっちゃ大満足の仕上がりで。私は南石さんが録るヴォーカルの質感が好きなんです。歌うときもすっごく歌いやすくて、自分が思っている通りになるというか。レコーディングって、自分ではこういうつもりで歌ったけど、聴いてみたらイメージと違うってときもあると思うんですけど、南石さんは自分のイメージ通りそのまま表現してくれる感じがするんです。だから、レコーディングもすごくスムーズで、相性がいいと私は勝手に思ってます。こちらの思いを汲み取ってくれるからとてもありがたいです。

-ジャケットの話もそうなんですけど、周囲にいる人たちが、思いを汲み取るというか、深掘りせずにいられない魅力がチリヌルヲワカにはあるんでしょうね。

ユウ:ジャケット・デザインの岡崎直哉さんからも、"こんなにお任せって人たちはいない"っていつも言われます(笑)。

阿部:逆に"1個ぐらいなんか要望ないですか?"って言われるよね(笑)。

ユウ:でも、岡崎さんは"こんなに任されることってないから一番楽しい"って言ってくれるんですよ。もしかしたら南石さんもそうかもしれないし、"何も言わないから好き勝手やるよ"っていう楽しさが、それぞれに出ているかもしれないと思うんですよね。

-岡崎さんにはできあがった音源を聴いてもらうんですか?

ユウ:デモのときから渡してます。

イワイ:リハスタでやったぐらいの音質のものから、だんだんバージョンが上がっていくんです。

-今回のジャケットは、4曲目の「因果関係」のイメージですよね?

ユウ:歌詞が重なったってことですよね?

-そうです。"二分の一の果実みたいに"という歌詞があるから、その世界観なんじゃないかと思いました。

ユウ:そういう部分もあるかもしれないですけど、今回は赤というイメージから、赤=リンゴというテーマがあったみたいです。結果的には、赤いリンゴが太陽にも見えるし、その融合された感じがすごく合っていると思います。

-タイトルの"太陽の居ぬ間に"って、どういうイメージなんですか? 我々は太陽がないと生きていけないし、太陽は希望の象徴として使われることが多い。その"太陽が居ぬ間に"ユウさんは何をしようと考えているんでしょうか?

ユウ:"太陽の居ぬ間に"っていうのは、夜のイメージなんですけど、"鬼の居ぬ間に洗濯"ってことわざから閃いたんです。鬼って怖い存在じゃないですか。

-つまり、太陽はユウさんにとって怖い存在?

ユウ:ってことでもないんですけど、例えば子供が、お母さんがいない間に悪いことをするみたいなことじゃないですか、鬼の居ぬ間に洗濯っていうのは。それと同じで、明るいとバレるようなことも夜だったらできるみたいなイメージはありますよね。

-何か後ろめたいみたいな?

ユウ:そうかもしれない。「太陽の居ぬ間に」って曲は、夜にドライブしているというか。

-そういうイメージですよね。

ユウ:でも、そのドライブは夜逃げかもしれないし、逃避行かもしれないし。

阿部:次の朝に向かっているっていうのもあるんだよね。

ユウ:そうですね。過去を振り返っても、結局今を生きるしかない。そういう感じというか。

-「因果関係」の歌詞の生々しい感じもいいですよね。"恋という字の下半分に/振り回されているの"ってすごくないですか?

ユウ:深い意味はないんですけどね。言っていることも大したことないし(笑)。

-そうですか? "昭和も平成もその次も同じこと"も、"そうだよな。令和令和って騒いでいるけど、人間の営みは変わらないよな"って聴きながら頷いていました。

ユウ:こういうときしか言ってもらえる機会がないから、そう言ってもらえると嬉しいです(笑)。

-さて、6月1日から、"During The Night Tour 2019"と題して全国10ヶ所を回るツアーがスタートしますが、最後にその意気込みをお願いします。

ユウ:自分的には、今回のアルバムは本当に気に入ってるから、人からどう言われてもいいという気持ちもあるんです。ダメだと言われても、自信を持ち続けられるというか、"その人とは合わないんだな"って割り切れるぐらいの満足感が今までで一番あって。なぜかと言われると答えづらいんですけど、試行錯誤を繰り返してきて、やっと3ピース・バンドとしての自分の立ち位置とか、3人のバランスが完成したという感じがあるのかもしれないです。

イワイ:たしかに、新しい形というか、それぞれの楽器、歌、曲、音の質感も含め、今までにない形でできあがって、それがいいなっていうのはすごくありますよね。

-そんなふうに思える作品を引っ提げてのツアーだけに、いつも以上に楽しみだと。

ユウ:はい、楽しみですね。絶対観に来てほしいです。