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INTERVIEW

Japanese

渡會将士 × the quiet room

渡會将士 × the quiet room

渡會将士が、ソロとしては通算4枚目の作品となる2ndミニ・アルバム『ウォーク アンド フーズ』を5月1日にリリース。2015年に自身のバンド FoZZtoneが活動休止して以降、シンガー・ソングライターとして精力的な活動を行うと同時に、菊地英昭(THE YELLOW MONKEY)がプロデュースし、自身もメンバーとして活動するプロジェクト brainchild'sのヴォーカリストとして参加するなど、これまでの音楽人生の中で濃厚な日々を積み重ねてきた。今作は、そんな渡會がキャリアのすべてを注ぎ込んで完成させた集大成とも言える1枚だ。そのリリースを記念して、FoZZtone時代から渡會のファンだったというthe quiet roomの菊池遼を迎えた対談を実施。それぞれにミュージシャンとして貫くこだわりや音楽観を語り合ってもらった。

渡會将士
the quiet room:菊池遼(Vo/Gt)
インタビュアー:秦 理絵 Photo by 石崎祥子

-渡會さん、耳をケガされたんですか?

渡會:そうなんですよ。インスタにも上げたんですけど、酔っぱらってぶつけたみたいで。全然記憶がないんですけど、朝起きたら耳がカリフラワーみたいになってて(笑)。

菊池:痛くないんですか?

渡會:触ったら痛い。柔道をやってる人みたいな耳になっちゃって。で、前に菊池君と飲みに行ったときに聞いたらね?

菊池:僕は本当に柔道をやってて。

-菊池さんも耳が変形してますね。受け身で耳のかたちが変わっちゃうんでしたっけ?

菊池:そうなんですよ。イヤフォンが小さいやつじゃないと入らないんです。

渡會:イヤモニも自分用に作らないと入らないんでしょ?

菊池:特注なんです。......って、これなんの話ですか(笑)。

渡會:今日は耳パンパンなコンビです(笑)。

菊池:よろしくお願いします。

-おふたりはどういう経緯で出会ったんですか?

渡會:ちょっと前に共通の知人に紹介してもらって出会ったんですよ。その知り合いと飲んでるときに呼んだら、"めっちゃ好きなんですよ"って言ってくれたんですよね。

菊池:もともとFoZZtone(※渡會が所属するバンド。2015年より活動休止中)がすごく好きだったんです。初めてライヴハウスで観たバンドがFoZZtoneで。

渡會:最初は"先輩だぜ、どやー!"って感じだったのに、その話を聞いて、急に"ホントすみません!"みたいになって(笑)。(初めて観たのは)すごい前なんだよね? FoZZtoneと......。

菊池:a flood of circleとSTAnと、あとPeople In The Boxの対バンを水戸LIGHT HOUSEで観たんです(2008年10月5日に開催された"ワインドアップツアー2008~表~"の水戸公演)。僕、茨城出身なんで。

-いくつのときですか?

菊池:14歳かな。柔道を引退して、バンドを始めようと思ったんですよね。で、ギターを買ったんですけど、ライヴハウスに行ったことがなくて。ライヴハウスでライヴをするのも怖かったのに、なんとなく当日券を買って入ったんですよ。そこで偶然それを観てから、FoZZtoneがめっちゃ好きになったんです。

-じゃあ、最初はFoZZtoneを知らずにライヴハウスに入ったんですか?

菊池:はい。でも、その中でFoZZtoneが一番いいなと思ったんです。

渡會:すごいな、それ。

菊池:"一番いい"って言うと、他のバンドに失礼かもしれないんですけど。

渡會:大丈夫、角は立ってないと思う(笑)。

菊池:それで、CDを買って帰ったんですよ。それからずっと憧れのバンドだったので、その飲み会に誘われたときは、すごい勢いで"行く!"って言って乱入しました。

渡會:その話を聞いて、"初体験をすみません"って思いましたけどね。

-菊池さんはFoZZtoneのどういうところに惹かれたんですか?

菊池:歌ですね。ライヴハウスでもちゃんと歌が際立って聴こえたんですよ。

渡會:俺も菊池君の声は好感度が高いなと思います。最近はアクが強いバンドマンが多いと思うけど、その中でもクリーンな印象というか。新曲「パレードは終わりさ」(2019年6月26日リリースのミニ・アルバム『White』収録曲)の歌詞に"口が悪くてほんとにごめんね"みたいな歌詞があるんですけど、"全然悪くないよ、いい奴だな"って思いますよ(笑)。歌詞から誠実さが伝わってくるというか。すごく聞き取りやすいし。

-歌詞の聞かせ方としては、ふたりのタイプは結構違いますよね。渡會さんは洋楽っぽくも聴こえる歌い回しだけど。

菊池:僕はすごく日本人の口をしてるんですよ(笑)。渡會さんみたいにもっと言葉を詰め込みたいんですけど。

渡會:いや、俺は詰め込みすぎなんだよ(笑)。

菊池:英語詞が歌えないぶん、僕はいかに日本語で歌えるかを考えてるんです。

渡會:あと今回のアルバム(『White』)を聴いて、クワルー(the quiet room)はバンド・サウンドも元気だなって思ったんですよね。ベースとギターのクセが強い。

菊池:強いですよね(笑)。

渡會:そこに放り込まれた菊池君のストレートな言い回しとのバランスがいいなと思ってます。危険さを孕んだ、いいアンバランスさがあるというか。

菊池:すごい褒めてもらってる。FoZZtoneもメンバーのクセは強そうでしたよね。

渡會:強かった。クセの集団を俺がまとめるみたいな。

-でも、それがバンドの面白さみたいなところがありますよね。クセの強いプレイヤーの集合体の中で、いかにひとつの塊として音を鳴らしていくか。

渡會:そうですね。ソロでやり始めたときは、自分で全部責任をとろうと思ってたから、びっちりフレーズを考えて、サポート・メンバーに投げてたんですよ。それをあくまでガイドラインにして、何か思いついたら自由にやってくれて構わないっていう。でも、どんどん作品を重ねるにつれて、俺が下地を考えるより、メンバーに振った方がいいフレーズを思いつくに決まってるって思うようになったんですね。

-ベースのフレーズだったら、ベーシストに任せた方がいいじゃんっていう。

渡會:そう、いい意味の諦めが出てきて。最終的にはリズムと歌しか入ってないトラックを丸投げして、"あとは好きにやってちょうだい!"みたいな感じになってるんですよ。

-それはFoZZtoneのときとも違うんですか?

渡會:FoZZtoneの後期とかは、"みんなでまとまろうよ"っていう気持ちでかたちにしてたというか。散っていたものを中心に集めていく作業だったんですよね。でもソロになってからは、個人個人の点をみんなで広げて作るようになってて。バンドをやってたときとは違う考え方で、バンド・サウンドを追求できてるのが楽しいんです。