Japanese
小林太郎
2018年06月号掲載
Interviewer:吉羽 さおり
-そして最後の「バラード」もまた印象的で、美しい曲になりました。
今回、バラード曲が1曲欲しいと思ったんですけど、その考えが自分的にはちょっと引っ掛かるところがあって。もちろん、アルバムを出して1曲もバラードが入ってないと、ちょっとバラードが聴きたいと言われるかもしれないし、バランス的には必要だと思うんです。ただ、バラードは一番日本語のメッセージ性が強くなりやすい曲で。そういうメッセージ性の強い曲を量産することになるんですよね。例えば、X JAPANの「Tears」とか「Forever Love」とか、いろんな名曲があると思うんですけど。でも名曲は、量産されると相対的な価値が下がりやすいので。
-たしかに、そうですね。
リアリティがあるものでも、数が増えるとその価値が下がるじゃないですか。とはいえ、これからもバラードは書き続けるだろうし、これまでもいい曲にしたいなと思ったバラードが何十曲とあって。それをすべて聴いてもらえているかと言ったら、なかなか聴いてもらえていない曲もあると。今27~28歳で、6枚とかアルバムを出していて、このペースでいくと、40~50歳のときにはもう──
-バラードを集めたアルバムができそうですね。
そうなればTHE ROLLING STONESみたいな感じでいいんですけどね(笑)。自分の中で、バラードというポジションは、一目を置くくらいいい曲でありたいとか、メッセージ性が必要なんじゃないかっていうのがあったので、それを考えつつ作ったんです。きっと他の人にとっては、小林太郎っぽいいつものバラードかもしれないですけど、僕にとっては、すごくけじめのついた曲という意味で、"バラード"というジャンルの名前を付けたんです。
-そうだったんですね。この曲でも、とても内面的なこと、沸々とした想いを言葉にしています。
これも、あとで見返してみて思いました。いろんなところに、僕の歌詞の癖みたいなものが出ていて。それが全部、今まで出したバラードや歌モノの曲のタイトルやサビの歌詞だったりするんですよね。"太陽は殺した"というのは、"太陽"というシングル(2014年リリースの2nd EP『IGNITE』収録曲)を出していたり、"僕の中に流れる愛と勇気が"というのは、「SAKURA CITY」(『Orkonpood』収録曲)という曲のフレーズを受けたものだったり、他にも「美紗子ちゃん」(『Orkonpood』収録曲)や「花音」(『URBANO』収録曲)のフレーズなどが入っていて。でもそのフレーズが出てきたあとに、否定的な言葉がきているんですよね。"太陽は殺した"、とか。それこそ、今僕が言ったようなことを無意識に書いていたんだろうなと思うんです。書けば書くほど、昔の曲は相対的に聞かれる回数が減ったり、価値も下がっていったりするけれど......でも最後の最後に、曲の価値が下がるどうのこうのというよりは、そうやって作ったものが何かの役に立てば、それだけでいいんじゃないかっていう。しっくりとくる終わり方ができたので。これからも量産できるなと思って(笑)。
-整理がついたと。
曲を書きながら気持ちが変化していきましたね。
ロックなアイコンとして、キャッチーな共有イメージができてきたのかな
-今回作品が仕上がったときの充実感というのは、どういうものでしたか。
狙いどおりに作れたという意味では、すごく嬉しかったし、いろんな人への感謝がありますね。ただ、そもそもこういうコンセプトで作るというときの不安はありました。作りやすいし、作れるかもしれないですけど、それで果たしていいのか、つまらないんじゃないかというのはずっとあったので。これが新しいことに挑戦したアルバムだったら、それはそれでみんなの反応が気になるところですけど。昔ながらの俺を、昔ながらのラーメンを再現しました、みたいな作品で、どこまでみんなが盛り上がってくれるかというか。
-古くからのファンがどう見てくれるか、またここから知ってくれる人がどう聴くのかですね。
待っていたファンの人たちがどう思うんだろうっていうのはあったんですけど、配信も調子良かったりして、むちゃくちゃ喜んでくれていて。で、自分でこの曲を書いてライヴをやったら変化が見えてきたんですよね。これまで3年間、"仮面ライダーアマゾンズ"の主題歌とかをやってきたんですけど、そういういろんなところで新たに僕を知ってくれた方は、小林太郎に"アニキ感"を求めているんですよ。
-そうなんですね。
今までの僕を知ってる人は、19歳でデビューしているので、"太郎君、大人になったね"という親御さんのような感じで見てくれるんですけどね。でも今知ってくれている方々は、"小林太郎=ハード・ロックやってるお兄さん"みたいなイメージを持っているようで。ライヴもそのまま熱い感じですし、そういう意味では、ロックなアイコンとして、キャッチーな共有イメージができてきたのかなと思っていて。僕も僕で、肝が据わったとは思ってないですけど、独立して自分自身の曲を作り続けると決めたので。不安な部分もあるんですけど、どこか諦めみたいなものもあるんですよね。もうしょうがないよね、ここまでやっちゃったんだから、っていう。そういうのが合わさって、ライヴがめちゃくちゃ盛り上がるようになっていて。
-説得力が出てきたんでしょうね、19歳の少年がなりふり構わずやってきた足跡が、音の厚みや歌の説得力となって。もともと魅力的だったヴォーカルにも、より人間臭さや味が出ているからこそ、素直な想いを綴った曲が、さらに熱い魂の曲になっているんだと思います。
全曲ライヴでもやったんですけど、気持ちが入りやすいんですよね。まだリリース前でお客さんに曲を知らない状態で聴いてもらったんですけど、盛り上がったし。今回は、これまで小林太郎を待っていてくれたファンのためにも作った作品でしたけど、これからは今のこの盛り上がりや火種を持続するのはもちろん、どんどん大きくする作り方がベストだなと思うんです。このアルバムでいろいろ勉強させてもらったなと感じます。
-次が見えましたね。
事務所に所属しているときは、僕自身も、売れる曲はどんなものかとか、楽しんでもらえる曲はどんなものなのかって考えたとき、結局みんな同じ方向にいきがちなんですよね。どうしてもキャッチーさというのが中心になってくると思うんです。このアルバムで気づけたのが、キャッチーさにもいろんな種類があって、自分に合うキャッチーさを選ばないとチープになってしまうということでしたね。このアルバムを軸に、自分に相性のいいキャッチーさを探り続けていきたいです。この声やキャラを生かした曲を作れば、ライヴもさらに盛り上がるんじゃないかなと思ってます。
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