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INTERVIEW

Japanese

Kidori Kidori

2016年10月号掲載

Kidori Kidori

Member:マッシュ(Vo/Gt)

Interviewer:石角 友香

-俯瞰しているというのは?

俯瞰して見たときに、普通はしないよなってことを普通にやってきたなと思うところもあって。もちろん、急に日本語だけのアルバムを出してみることもそうだし、自分の生まれがイギリスであることもそうだし。人生単位で見て、今まで生きてきた中で、わりと"真っ当"、"普通"っていう言葉と少しだけ距離のある生き方をしてきたなと。でも、だいたいの人がそういうふうに感じてることがあると思うんですよ。いわゆる"普通"なんてまやかしみたいなものを漠然と教育で植えつけられてきたけど、それと自分との距離は絶対にあるから。みんな、それぞれアウトサイドな面があると思うんですよね。それで、最初は自分を俯瞰して書いた歌詞なんですけど、そういうことを自分が歌うことで、誰かがありのままの自分を"あ、これでいいんだ"と思ってくれたら、曲にしてCDに収めてライヴで歌うことに非常に意味があるんじゃないかなと思って、今回は「アウトサイダー」を1曲目にしてみました。

-でもこれ、ギターの音が鳴っただけで"すごく素!"って思っちゃうんですよね。"このサウンド!"っていう、待ってました感が(笑)。

不思議と、最近はギターを褒めてもらうことが増えてきました。音の流行りを追っかけるときはロックも大事やけど、ポップスも大事だと思っていて。THE 1975の2ndアルバム(『I Like It When You Sleep, For You Are So Beautiful Yet So Unaware Of It』)とかは、僕はなかなか爆笑できたんですけど(笑)。

-たしかに相当、ロック・バンドとしてはポップスに傾倒した作品で(笑)。

音は古いけどミックスが現代っぽいから新しく聴こえたし。今、世の中はこういうのが好きなんかな? って思いつつ、でも僕が聴いてきた音楽は、やっぱりマッチョ感が少し違うなと。ああいう音ならTHE SMITHSかTHE STONE ROSESの方が好きだったんで。

-たしかに「アウトサイダー」のギターはマンチェっていうよりTHE SMITHSですね。

そうそうそう(笑)。

-ネオアコに近い感じもします。でもジャンルじゃないですよね、Johnny Marrですね。

そう、Johnny Marr! Chris Squire!って感じ(笑)。

-マッシュさんの根本にはいろいろあると思うんですが、このギター・サウンドにかなり集約されてる気がします。

(笑)ありがとうございます。

-この曲が持ってる意思や原風景を感じるというか。

いろんな人に聴いてもらうと、やっぱりこの音の感じから"THE SMITHSだね!"とか"THE STONE ROSESだね!"って言われるんですけど、別にそういうものを目指したわけではもちろんなくて、自分のいち要素で、ちょっとした自分の中のブームみたいなものでもあるし。そういう今の自分のモードをちゃんと音作りにも落とし込んでいきたいなと思ったうえでのことなので。だから自分で"憧れを捨てて"って言ってるわけで、THE SMITHSに憧れてるわけでもない。もう僕の中で、血となり肉となった音楽って感じなんですよね。だから今流行ってる......最近コーラスがすごいなと思った、Mac DemarcoConnan Mockasinあたりのあまりマッチョじゃない感じの音楽にも懐かしさを覚えるというか。それもあって、自分なりの解釈で勝負したいなっていう歌であり、今はそういうモードですね。

-憧れてるんじゃなくて、そういうギター・サウンドやコーラスや音の隙間が、自分にとっての純粋さや強さという感覚なのかなと。

なるほど。でもたしかにそうですよね。ネオアコ自体がわりとノスタルジックな音楽というか。一貫して"純真さ"みたいなものがテーマで、それをいろんな角度から見ていくことを少しやりたいなと思って。自分を外側から見たギャップ――だから、内であり外であるようなアウトサイドが自分の中でのイメージであって。そこの妙な一貫性は主に歌詞が持っていて、音で少しバラつかせてみるみたいな。そういうところ込みで、よくできたなと思うんですけどね。

-アウトサイドって、疎外とかじゃなくていい意味での違和感というか。

そうそう。

-Track.2「タイムセール」は場面的に違和感があるからこそ、対象への想いが際立ってますし。

「タイムセール」はほんとそうですね。「モノクロ」(Track.3)も。やっぱり自分の中で、何かしらの違和感があるんだろうなと。それをスッキリさせたいところもあるし、それについてうじうじ考える時間が必要なのもそうだし。でもたぶん、ずーっとそうなんじゃないか? っていう気もするんです。で、今はそれを歌い続けてみるっていうモードと姿勢ですね。

-「モノクロ」はファンクだ! と言おうとしたらすごくKidori Kidoriらしいリフが出てきて驚きます(笑)。

そうなんですよ。これはなかなか爆笑できる曲だと思うんですけど。もちろん、自分なりにブラック・ミュージック的なことをやろうとしてたんですよ。それこそRobert Glasperみたいな音楽を3人でやったらヤバいんじゃないかな? と思っていろいろ作ったりして。Curtis Mayfieldみたいな曲も作ってみたんですけど、なんで俺らがこれをやらなあかんのかな? ってふと思ったんですよね。

-誰も"やらなあかん"とは言ってないですからね。

そうそう(笑)。なんかこう、やっぱりロックしたいなと思って。今までも、ロック・バンドがちょいちょいブラック・ミュージック、主にディスコと接近しようとした曲がいくつかあるじゃないですか。THE ROLLING STONESで言うなら「Miss You」(1978年リリースのアルバム『Some Girls』収録曲)?