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INTERVIEW

Japanese

Kidori Kidori

2015年03月号掲載

Kidori Kidori

Member:マッシュ (Vo/Gt)

Interviewer:岡本 貴之

ジャケットに描かれた都会から故郷を見つめるマスコット・キャラクターが現しているように、1st EP『El Urbano』のコンセプトは都会に暮らす人間が感じる"郷愁感"。大阪から上京して約1年の活動を経た彼らの心情が重なる日本語歌詞3曲は、リアルな生活を描いた言葉のピースと冴えわたるギター、ドラムのアレンジとヴォーカル、全てが噛み合っており、歌詞やコンセプトに振り回されない絶妙なバランスを保った娯楽作品になっている。また、テーマに沿った初めての洋楽カバーも3曲収録。オリジナリティ溢れるアレンジも聴きどころだ。次のアルバムへの序曲となっているという今作について、相変わらず"オヤジ・キラー"な男、マッシュ(Vo/Gt)に話を訊いた。

-今回のEPは都会がテーマになっているんですか?

都会における自分の生活だったり、自分の見えているものだったり気持ちがコンセプトになっています。日本語3曲の歌詞はもちろん、カバーの内容もそういう3曲を選んだつもりです。「Take Me Home, Country Roads」は言わずもがななんですけど、THE SMITHSの曲は"今夜連れ出してほしい"という一節から始まる歌で。まだまだ迎合できていない側の人間の歌だなと思って収録しました。で、最後のFrank Zappaは......(笑)。

-これもコンセプトに沿った選曲?

これは説明が必要なんですよ。『Joe's Garage』というアルバムに入っている曲なんですが、このアルバムのコンセプトも同じ感じなんです。田舎者が都会に出て調子に乗って女を買って病気をもらったときの歌なんですけど、なんか面白いかなって(笑)。

-なるほど、ちゃんとコンセプトには沿っているんですね(笑)。オリジナル3曲は全部日本語ですけど、前回のインタビューで"英語だと聴いてもらえない謎の壁があってそれがジレンマ"とおっしゃっていましたが、そうした想いが今回の日本語詞曲につながっているんでしょうか?

いや、単純にそういうモードになってきたというか、新しいことにチャレンジしたいなというのもあって、日本語のリード曲を作ってみようかと。そうしているうちに日本語中心にやってみようというふうになったんです。

-リード・トラック「ホームパーティ」では大阪のFLAKE RECORDSの名前が出てきたり、主人公のホームシック感が出てますね。

このEP自体、次のアルバムのコンセプトをそのまま小さくしたようなものにしたくて、その中で特にこの「ホームパーティ」はそういう曲になったなと思っています。都会と自分、"郷愁"というテーマがあるので、ホームシック感というかどこか馴染めていない感じが曲にすごく出せたかなと思います。

-「記号の街」がすごく好きなんですけど、オールドスクールなディスコ・チューンといった感じで、僕なんかの世代にはMTV風なイメージが湧いてきます(笑)。

そうですよね、きっと(笑)。僕はよく渋谷で音楽を聴きながら歩いているんですけど、自分の視界のイメージと合わせたBGMを探す遊びをしていて、でもなかなか当てはまるようないいBGMがイマイチなくて。そんなときに岡村(靖幸)ちゃんとかを聴いていたらしっくりきて、1曲こういう曲が欲しいなと思ったんです。AORというかディスコ・ファンクというか、そういうバッキングに、田舎っぽいメロディというかフォーキーなメロディを乗せるというのをやりたくて。この曲はえらく反響がいいですね(笑)。単純にわかりやすい音の変化というか、楽器が多くて3人じゃ絶対鳴らせない音になっているんですよ。ギターも2本鳴っているし鍵盤もあるしラッパも登場するという曲で。結構大きい感じのサウンド・スケールを作りたいなと思ったんで、1番違いがわかりやすい曲になったなと思います。

-「ホームパーティ」があるからこそ「記号の街」も活きているというか。

そうですね。これだけだと"オイオイどうした!?"ってなると思いますし(笑)。

-"なんとなく、クリスタル"まで出てきますからね(笑)。

そうそう、これがわかるのはオヤジだけなんですよ(笑)。最近、なんか雰囲気系が多いじゃないですか?"なんとなくそれっぽいもの"というか。それが悪いとは思わないけど、どうせなら前の物も知ったらいいのにと思いますね。相変わらず"オヤジに優しいKidori Kidori"ですから(笑)。

-「PJ状態」は1番これまでのKidori Kidoriっぽい気がします。

そうですよね。ソリッドで硬いリフから始まる曲で。「PJ状態」の"PJ"ってなんやねん?というのがわかりにくすぎるということでリード曲にはならなかったんです。"PJ"はPEARL JAMのことを表しているんですけど、今の若者がそもそもPEARL JAMを知っているかというのも怪しいというか。なんかNIRVANAだけ感があるというか、(同じシアトル出身のグランジ系バンドでも)SOUNDGARDEN好きですとかいったら"マジかよ!?"みたいな。それよりはマシかもしれないけどPEARL JAMは名前の普及率に対してあんまり聴かれていない印象があるというか。そういうモヤモヤした状態を歌っています。