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INTERVIEW

Japanese

モーモールルギャバン

2016年07月号掲載

モーモールルギャバン

Member:ゲイリー・ビッチェ(Dr/Vo) ユコ=カティ(Key/Vo) T-マルガリータ(Ba)

Interviewer:沖 さやこ

-(笑)音色はいつも通りのモーモールルギャバンだけど、シンプルだと思ったんですよね。その理由にはそういう背景があったんですか。

ゲイリー:音色はユコさんが決めているので、全体のカラーは何がどう転んでもこの人(ユコ=カティ)に決めてもらうしかないんですよね。

ユコ:音色は(ゲイリーの)管轄外というか。頭の中にイメージがあってもそれを伝える手段がなくて。"こんな感じの......"と持ってくるんですけど、それをそのまま弾くと"え!?"と思うようなものになるんです。だからそこからどういうことをイメージしているんだろう......と、なるべく汲み取って、デモの良さを活かす。それをしつつ"逆にこんなものもあるよ?"というものをぶっ込みつつ、自分の"らしさ"を出していこうと(笑)。やっぱりそこにいかないと面白くないので。いつもより歪んでる音は少ないと思うんですけど、色的な意味では自分らしいなと思います。......どうかな?(と言ってゲイリーを見る)

ゲイリー:そりゃぁ、あんたが弾いたキーボードはあんたっぽくなるに決まってるじゃない(笑)。ミュージシャンが自分らしさを消そうと思ったって消せるわけないでしょう? うちのバンド、毎回作り方が変わるんですよ。そのとき一番調子のいい人が主導権を取ってます。『LoVe SHout!』(2013年リリースの2ndシングル)のときは俺が絶不調だったから、マル(T-マルガリータ)が考えてきたベース・ラインから曲を作ったりしてたしね。今回は選択肢がゲイリーの曲しかなかったんです(笑)。俺は難しいアレンジはできないので。

ユコ:ゲイリーは曲作りに関して量産型タイプなんです。でも今回はデモの段階からいい曲だったよ?

ゲイリー:自分のことはよくわからん! ......でもベース・ラインを入れたデモを作ったのは初めてだったし、ここまで自分でアレンジをしっかり考えたデモを作ったのも初めてだったかも。デモの作り方も今までと全然変わってた、ということに今気づきました(笑)。

マル:キーボード・アレンジも入ってたしね。

ユコ:うん。それがまた厄介だったんです(笑)。

マル:ベース・ラインもデモに入っていたものそのまんま弾いた感じで。フレーズ作りにユコさんが関わってないので、ゲイリーがギターで弾けるくらいだから難しいことはしてないです(笑)。

ゲイリー:いやいやいや、よく言うよ! "「イグノアの娘」は左手がきつい、「美しい思い出だけじゃないけど」は右手がきつい"って言ってたじゃん! レコーディング初日はマルの手が動かなくなったから"はい、今日はここで終わり"ってなりましたからね!? なに簡単だったとか嘘ついてんだよ~。

マル:それはずっと同じフレーズを速く弾き続けるのがつらいってこと(笑)。

-今回、ベースをギターのような使い方にしている部分も結構多くて、新しいベースの価値観が生まれてると思いましたが。

ゲイリー:こういう編成のバンドなので昔からベースの音がデカいはデカいんですけど、やっぱりベースがギター的なアプローチになっているのは、デモのベース・ラインを俺がギターで弾いてるからかな。そのデモのイメージで音作りを進めていったところもあるので、そこに関しては"ベースのフレーズはちゃんとベースで入れなきゃだめじゃん!"と反省しています(笑)。

マル:ギターっぽいフレーズもあったりはするんですけど、そんなに気にはならなかったですね。......あ、デモのギターがピック弾きだったので、それに近づけるためにほぼ初めてピックでベースを弾きました。それが今までと違うところですね。「なにもかも忘れたよ」(Track.7)以外は全部ピックです。

-『PIRATES of Dr.PANTY』は、「ザ・ラストトレインスター」(『シャンゼリゼ』収録)や「野口、久津川で爆死」(2009年リリースの1stアルバム表題曲)のように絶叫する曲はないけれど、違う方向性でバンドの爆発力があるエモーショナルな曲たちが揃っていると思いました。メロディの良さも光ってます。

ゲイリー:高校生や大学生みたいにちょっと大人になっておしゃれな音楽を聴き始めた子たちはすぐ"え? モーモールルギャバンってパンツのバンドでしょ?"みたいなことを言うんですよ。だから今回はそういう奴らを本気で泣かしにかかってやろうと思って(笑)!

ユコ:でもそういう子たちはこれを聴いたら"小っちゃくまとまりやがって!"って言うかもよ?

ゲイリー:小っちゃくまとまってないよ、小っちゃくまとまってるのお前だけ(笑)! 丸山さん(マル)どれだけ炸裂してると思ってるの? 今回丸山さん始まりの曲が3曲もありますからね! 俺がキーボード弾けなくてギターしか弾けないから"頭はこれでいこう!"と作ったら丸山祭りみたいになりました。うちのバンドのYouTube動画で一番再生回数が多い「ユキちゃんの遺伝子」(2010年リリースの1stミニ・アルバム『クロなら結構です』)もベース始まりなので、これ縁起いいんじゃないかな?と思ってます(笑)。

-ところで、"Dr.PANTY"とは何者なんでしょう。

ゲイリー:何者なんでしょうねえ(笑)? 実は結構前から"次にパンティーの曲を作るとしたらDr.PANTYだな!"みたいなのがなんとなく頭の片隅にあったんです。"Dr.PANTY"という響きが気に入って曲を作って......そしたら思いのほか低い声で淡々と歌う人になっちゃって、そいつが"Dr.PANTY"なのかと思いきや途中で"はい、私がドクターです"という可愛い女の子の声が入る――まぁこいつ(ユコ)の声なので可愛い女の子とか言いたくないんですけど(笑)。

ユコ:酷いんですよ? 何も聞かされてないまま入れたものなんです。レコーディングが終わって外のロビーでくつろいでたら(ゲイリーから)呼ばれて"今から言う台詞を喋ってくれ"と急に言われて。"え、なんで?"と聞いても"いいからいいから。ブースちょっと行ってきて"と。それで雑な説明を受けて1回喋ったら、"もう少しゆっくり"と言われてまた喋って"はい、OKです"と言われて。そしたらここで使われててびっくりですよ。こんなところに使われるならもっと違う感じにしたのに!

ゲイリー:(笑)ものすごくいい感じに録れたと思います。だから"Dr.PANTY"という言葉だけが先行して何も考えず曲を作っちゃったんです(笑)! そしたらほとんどパンティに関係ない内容の曲を"Dr.PANTY"にしちゃったというか――10年間"パンティ"と言い続けてきた結果、今の俺があるんです。こんなにパンティと言ってパンティと言わせてきた人間は人類の歴史始まって以来、一番だと思うんです。......あ、いや、トリンプの社長とどっちかな!?

-(笑)それもあり、歌詞はゲイリーさんの音楽への想いが出ていると思います。

ゲイリー:ちょこちょこアルカラをパクッてますけどね(笑)! だから今回はアルカラのファンと[Alexandros]のファンがハッとする内容になってます。"イグアナの娘"(1996年放送のTVドラマ)が好きな人は"イグノアってなんだ?"と思うかもしれないですね(笑)。