Japanese
モーモールルギャバン / HINTO
2015.06.25 @下北沢LIVEHOLIC
Writer 山元 翔一
フリーマガジン、ポータルサイト、SNSを有機的に組み合わせたロック専門クロスメディア『Skream!』と『激ロック』を運営する激ロックエンタテインメントが、下北沢に新たなリアルの音楽の場としてオープンさせたライヴハウス"下北沢 LIVEHOLIC"。6月9日から17日間にわたって、次世代のシーンを担うであろう先鋭からキャパシティに見合わない大物まで、LIVEHOLICのこけら落とし公演ならではといえる総勢35組が顔を揃えたこの"LIVEHOLIC presents GRAND OPENING SERIES"もこの日でいよいよ終幕を迎える。
そんなこけら落とし公演シリーズを締めくくるべく選ばれたのは、HINTOとモーモールルギャバン。これまで実現したことのなかったこの組み合わせにある種の痛快さを覚えた人も多かったことだろう。チケットはもちろんソールド・アウト。お互い性質の異なるエネルギーを爆発させ合うというバチバチに痺れた一夜であった。
先攻はHINTO。80年代風なキャッチーさのあるリフと不穏さのあるグルーヴが同居する「はんぶんゾンビ」で妖しく幕を開けた。続く「トキメキドライ」では、安部コウセイ(Vo/Gt)のフロウの効いたヴォーカル・ワーク、菱谷"ビッツ"昌弘(Dr)と安部光広(Ba)の研ぎ澄まされたリズム構成、そして伊東真一(Gt)の煌びやかなギター・サウンドと唯一無二のフレージングで圧倒する。硬質なビートと、それとは真逆の人間味のあるあたたかい叙情の共存で魅せる「にげる」と「バブルなラブ」、思い出を掘り起こすようなノスタルジックさとある種のメランコリーが同時に襲い来る「シーズナル」をプレイ。最初期の楽曲から最新作『NERVOUS PARTY』までの楽曲が満遍なく披露され、会場の熱も一層高まっていく。そしてここで安部コウセイの口から、実はこれまでモーモールルギャバンとはあまり交流がなかったことが語られた。イベントですれ違うだけに留まっていた両者が共演を果たしたこの日。この場に居合わせた観客にとっても、両バンドにとっても特別な一夜になったことだろう。
こんがらがった内面世界をコミカルに描き、ハードコア・パンク的な精神も感じ取れる「メガネがない」、HINTOサウンドのど真ん中をゆく「かなしみアップデイト」を畳み掛け終盤戦へ。「アットホームダンサー」の爆発寸前のエネルギーを湛えたまま突っ走る演奏――安部光広のベースは一層しなやかさを増し、ビッツは性急なダンス・ビートを刻みつけ、抱えていた悲しみを放り捨てるかのようにフロアを踊らせる。最後はおなじみの三三七拍子から始まる「ぬきうちはなび」。ソリッドに磨き上げられたバンド・アンサンブルの極致というべきパフォーマンスにただただ立ち尽くすしかなかった。4人の発する鬼気迫る音の威圧感に畏怖すら感じる名演。いやしかし、安部コウセイの人の血が通ったリリシズム、ビッツと安部光広の強靭なリズムと伊東の唯一無二さの極まる多彩且つ独創的なギター・ワークが緻密に折り重なることで生まれるヴァイヴスにひたすら魅せられてしまった。
後攻はモーモールルギャバン。6月25日に行われた本公演の前日に約3年3ヶ月ぶりのフル・アルバム『シャンゼリゼ』をリリースした彼らだけに、会場の熱気は凄まじいものがあった。「ユキちゃんの遺伝子」、「POP!烏龍ハイ」と序盤からキラー・チューンを惜しみなく繰り出す。ゲイリー・ビッチェ(Dr/Vo)のよろめきながら爆走するドラム、ユコ=カティ(Key/Vo)の歪みまくったうねるシンセ、T-マルガリータ(Ba)のブレることなく荒ぶるベースという肉体性の極みといったような巨大なグルーヴが押し寄せる。この始めから用意されていたかのようなカオスを乗りこなし、そして楽しむ術を知っている3人のパフォーマーとしての能力値の高さを見せつけられた。
フィンガー5的コール&レスポンスから「サノバ・ビッチェ」を披露したあと、"こけら落とし公演ということでフレッシュな気持ちでドバドバいくからよろしく!"と告げ、「ハイヒールブルース」へ。鋭角的キーボード・リフの冴えるアヴァンギャルドすぎる演奏に度肝を抜かれた。"音を聴くと意外とちゃんとポップなバンド"という3人が、かつて"西のクラムボン"と自称していたことを思い出し、今、この言葉があまりにしっくり来ることにちょっと笑ってしまった。そしてユコのキーボードによる荘厳なイントロダクションから始まる「さらば人類」を披露。この過剰さとシュールさの織り成す仰々しさは、ゲイリーとユコの互いの音楽家としてのせめぎ合いの果てに辿り着いた、彼らの新たな境地だろう。続く「裸族」、「ユキちゃん」ではゲイリーのドラミングが一段とキレを増す。まっすぐで純粋な思いに内在する歪み、そしてその先にしかない美しさを描く――改めてゲイリーは天性のリリシストだと思わされたのだが、同時に笑えてしまうところも彼の才能なのだろうと実感した。
「スシェンコ・トロブリスキー」で一気にクライマックス感が高まり、本編最後に演奏されたのは「サイケな恋人」。イントロのゲイリーのドラムが生み出す大きなグルーヴや、T-マルガリータの流れるように美しいベース・ライン、ユコの甘く切ない歌声とシンセのコード感にうっとりさせられていたところに"パンティ・コール"タイムが訪れた。うっとりしすぎてすっかり忘れていたのだが、この台無し感あっての名曲だろう。演奏が終わったあとも、ひとしきり"パンティ・コール"は続き、アンコールでは「細胞9」を披露。渦巻く極彩色のグルーヴでフロアは汗を撒き散らし踊り狂っていた。
こうして17日間にわたって開催された"LIVEHOLIC presents GRAND OPENING SERIES"は幕を閉じたのだが、ライヴハウスの歴史はこれから始まるのである。すでに数々の名演が生まれたこの下北沢LIVEHOLICで、これからどれだけのドラマと伝説が生まれるのか。LIVEHOLICが人と人のあいだから生まれるエネルギー、そしてもちろん音楽の持つ力で多くの感動と熱狂を生み出す場になることを心から願ってやまない。
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