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INTERVIEW

Overseas

THE PRODIGY

 

THE PRODIGY

Member:Liam Howlett(Music composer) &Keith Flint(Dancer, Vocalist)

Interviewer:Yuzuru Sato, translation by Mariko Shimbori


-DOES IT OFFEND YOU, YEAH?のJames Rushentが「Invaders Must Die」に参加し、FOO FIGHTERSのDave Grohlもアルバムに参加していますが、彼らを起用することにした経緯を教えて下さい。

L:もちろん。DOES IT OFFEND YOU, YEAH?のJamesとは、この5月に出演した『Gatecrasher』に彼も出演していて、そこで知り合ったんだ。この前の5月だったよな? K:そうだ。

L:要は...

K:08年5月だ。

L:ショウの後にJamesがやってきて、「あなたたちの音楽は最高です! 5年間あなたたちのサウンドを盗み取ろうとしてるんですよ。本当に大好きなんです」といったことを言ってきて、それ以来いい友達としてつき合っている。いい奴だと思う。俺はその一週間後にスタジオに戻って「Invaders Must Die」をいろいろと試していて、いいリフは出来ていて、7割ほどは出来上がっていた。ある程度の形は出来ていた。
そこで、「Jamesに何かやってもらったらどうだろう?」と思ったんだ。普段は他のプロデューサーとはアルバム作りはしないんだけどね。他のヴォーカリストをゲストで入れることも、KeithとMaximという自分たちのバンドにいるヴォーカリストを活かした作品にしようとしたから、それまでに考えていたヴォーカルのコラボレーションは案としてなくなった。違った音楽、よりよい音楽にすることだったらやってみようと思っていた。
それで、Jamesに少し何かやってもらおうと思ったんだ。実際、あっという間に作業は終わった。彼がスタジオに来てくれて、「これはどうかな?」「じゃあ、これは?」と提案してきて、俺も、「いいね。やってみよう」といった感じで進めて、2日間で出来上がってしまった。あっという間だった。彼とは楽に作業できる。彼のやることは俺もいいと思う。彼も俺と同じようにDIYの精神で作り上げていく。

自分でさっさと作業を進めていく。大層なことはしない。大きなスタジオにも行く必要がなくて、「これをこれにつなげたらどうだろう?」といった調子でどんどん作業が進んでいった。とても上手くいった。彼と作業した「Omen」や、もう1曲は...こっちはもっと簡単なサウンドの作業だったけど...彼に参加してもらえて嬉しく思っているよ。Dave Grohlに関しては、既にアルバムは出来上がってたんだ。
Daveとは、その3年前にイギリスの『V Festival』に出演したときに話しをした。バックステージでたまたま出会って、「何してるんだい?」なんて話して、それがDaveと話した最後だった。俺たちがアルバムを作り終えた辺りで彼がEメールしてきて、ツアーを終えたからまたドラムを演奏したいと思っていると言って、俺がどうしてるのか尋ねてきた。彼は自分が叩いたドラムの入ったハードドライヴを俺に送ってきた。俺も喜んでそれを聴いてみたいと思った。メールをもらった一週間後にハードドライヴが届いて、Daveはそれが俺の曲作りのインスピレーションになればと思っていて、現実に俺はそれにインスパイアされて新しい曲を書いた。3分間聴いて...ハードドライヴには4時間ほどのドラム演奏が入っていて、そこから幾つか取り上げて、それらにインスパイされて、「Run With The Wolves」の音楽を書いたんだ。それで、その1年前にキースが書いたヴォーカルがあって、それがそのままになっていた。とても強力なヴォーカルだったけれど、俺がそのヴォーカルに合わせて書いた音楽はそれにマッチしたパワーがなかった。ファンキーすぎた。

K:あれはあれで格好よかったけどな。でも、2つが一緒になると...

L:そのヴォーカルをDaveのドラムに乗せてみたら、「クールじゃないか! なかなかいいぞ」と思った。そういったこともたまに起こる。今回も初期にレコーディングしたものをまた試してみるということは何度かあった。初めはもっとギターやら何やらライヴ・レコーディングできる部屋をセッティングしてあって、最初の4ヶ月はいろいろと試していろんなヴォーカルをレコーディングした。

このアルバムの2曲ほどは最初の方でやったレコーディングも使われている。「Run With The Wolves」がその1曲だ。デモを作り終えてデイヴに送り返して、Daveも凄く気に入ってくれて、もう少しドラムをレコーディングしてくれて、それを俺に送り返してきて、それで完成した。だから楽に出来上がった曲だ。一週間で出来上がった。アルバムの最後に作られた曲だ。この曲が出来る前にもアルバムは完成したと思ってたんだけど、この曲を作り終えたときにこの曲がアルバムの毒となると思った。他のアルバム収録曲にはない側面があった。だからすでにある同じような曲を作っているという感覚はなくて、この曲の存在場所があると感じた。ライヴでも何度か自分たちのドラマーと演奏してみたけど、ライヴには最高の曲だ。ロックしている。それと、Daveは噂どおりで、とても謙虚ないい奴なんだ。彼自身はそんなこともう聴き飽きてるとは思うけどね。例えば、俺たちが東京でギグをやっていて彼も休暇で東京にいたとしたら、俺たちのギグに顔を出してドラムを叩いてくれるような人だ。彼はただ楽しむためにそうしてくれるような人だ。いつか偶然にも彼が俺たちのギグに来てくれているのを見かけたら、ステージに引き上げて何曲か一緒に叩いてもらいたいね。

K:ほんとだな。バンドとして、そういったことは自然発生的でなくちゃならない。前にも言ったけど、ロック仲間といった関係でなくていい。ただゲストを呼んでやってもらうというのは説得力に欠ける。本当に自然に起こったことで、フレンドリーなEメールから...

L:Daveは俺たちがアルバムを作っていることは知らなかった。ただどうしてるかとメールしてきたんだ。

K:復唱することになるけど、「ツアーが終わった。俺はドラマーなんだ。俺はドラムを叩きたい。だから俺のドラムを送るよ」と来たら、Liamだってもちろん聴いてみたいと思うさ。窃盗が命のリアムが、Dave Grohlから直接盗むチャンスを見逃すはずないだろ(笑)。

L:Daveの生の...大抵、ギターやベース、ヴォーカルが重ねられていて彼のドラムがよく聞こえないから、今回は彼がその場で叫びながらドラムを叩いているのが聞こえて、とにかくエキサイティングだったし、インスピレーションを与えてくれた。Daveとのコラボが、James以外にやったこのアルバムでの唯一のコラボとなっている。他のヴォーカリストとコラボする時間はなかった。そういうコラボは必要なかった。

K:バンドとしてもっとクリエイティヴになっていたのは分かっていたから、俺たちやリアムが他のアーティストとやったことは俺たちの実験過程であって、アルバムの楽曲数曲を作る上で必要としていた自由だった。だけれども、自分たちに十分な力があると気づいたから、俺たちの色を希薄にはしたくなかった。バンドとしての自分たちが戻って来たというスタンプを押したかった。自分たちにもっと自由を与えるために、次のアルバムではもっとコラボを減らして、こういったやり方では作らないかもしれない。

L:まだどうなるかは分からない。このバンドにはルールなど存在しない。こういった要素すべてが、俺たちのこの最高傑作を作っているわけだ。それは俺たちのアルバムであって、誰のアルバムでもないからだ。