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LIVE REPORT

Overseas

THE PRODIGY

2009.02.05 @SHIBUYA AX

Writer 杉浦 薫

新作「Invaders Must Die」リリース間近、渋谷AXでの一夜限りのスペシャルライヴ。チケットは即ソールドアウトなだけに人口密度がとても高く、真冬なのに湿度が高い。

THE PRODIGYの功績は計り知れない。現在ロックとダンスミュージックをクロスオーバーさせたアーティストの音楽体験の源には必ずTHE PRODIGYがいると言っても過言ではない。そして最新作「Invaders Must Die」は、今までの作品の中でも一際アグレッシブな作品だ。ダンスミュージックファンも、ラウドロックファンも、パンクロックファンも、全て飲み込んでしまう強烈な作品だ。当然今夜のライヴで新曲が披露されることが予想されるので、当然期待で胸がわくわくし、足がウズウズする。とにかく踊りたい!

オープニングアクトは、Keithのプライベートパートナーでもある、GEDO SUPER MEGA BITCHによるDJ。基本的にはミニマルテクノだが、要所要所にアゲどころを持ってきており、聴いていてとても気持ちいい。既にステージには様々なライトが照らされており、最早クラブのような状態だ。

30分弱押して、ようやくメンバーが登場。「Invaders Must Die」に収録されており、ライヴではしばしば披露されてきた「Worlds On Fire」からスタート!フラッシュが焚かれ、空気に熱が増す。メンバーとオーディエンスのエネルギーのぶつかり合い、テンションが天井に向かって、龍のように昇っていく。MaximとKeithは時折向き合いながら、互いを高め合っていっているように感じた。「There Law」「Breath」と立て続けに人気曲が披露され、あまりに高まるテンションに、Maximがフロアに水を浴びせかける。

しかし今回は生ドラムがあまりに強調され過ぎており、あまり打ち込みとのバランスが良くないのが少し残念だ。早くこのバランスが改善されればいいのだが。

そして「Invaders Must Die」からシングルカットされ、アルバムと同時にリリースされる「Omen」。まだリリース前だというのにも関わらず、フロアは大合唱。この曲のキックのアクセントは独特で、Liamのプログラミング技術の計り知れない高さを垣間見ることの出来る曲だ。「Poison」「Warrier’s Dance」と続き、「Firestertar」ではKeithの一人舞台となり、新しいアレンジがなされていた。「Run With The Wolves」は、音源ではFOO FIGHTERSのDave Grohlがドラムを叩いている曲なのだが、なんという攻撃性。踊りながら頭が真っ白になってしまった。ラウドロックファンには特にお勧めしたい一曲だ。

「Voo Doo People」でMaximが再び登場。メタリックなリフと高速のBPMが特徴的な、リズムがブレイクしまくった名曲だ。ここで本編は終了し、間髪入れずにアンコール!「Invaders Must Die」、「Diesel Power」「Smack My Bitch Up」、「Take Me The Hospital」と、アンコールにしてはあまりに豪華な内容。

そして更に、筆者がTHE PRODIGYで一番大好きなナンバー「Out Of Space」!殺す気ですか!というほど楽し過ぎて、踊り過ぎて、足がガクガクしてしまった。KeithとMaximのアジテーターとしての存在感は相も変わらず圧倒的で、Liamもとても楽しんでライヴを行っているのだということが、終始その表情から伝わってきた。


今までの作品からの類稀なる名曲の数々に、「Invaders Must Die」から披露された曲は一ミリも劣っておらず、むしろ更にアグレッシブで新鮮な感動に満ちていた。「Invaders Must Die」は、PRODIGYの名を更に歴史に名を刻む名盤として語り継がれるだろうとういうことが予測出来る、素晴らしいライヴだった。

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