Japanese
ザ・クロマニヨンズ
2009年11月号掲載
Writer 佐々木 健治
THE RAMONESがそうだったように、シンプルなパンク・ソングは究極のポップ・ソングだ。楽しくて、切なくて、どうしようもなくて、最高にカッコイイ。そういうやさしい歌をこれだけ長い年月ポップ・フィールドで歌い続けているヒロトとマーシーみたいな人達は他にいない。ザ・クロマニヨンズは、ほとんど生きる伝説と化しながらも第一線でロックンロール・スターという「やっかいもの」であり続けている。それは、僕みたいな凡人には想像もつかない、体力のいる闘いだろう。
『FIRE AGE』に続くザ・クロマニヨンズ『MONDO ROCCIA』が完成した。一年に一枚のペースを保っているところも凄いが、ハッキリ言って、ザ・クロマニヨンズのアルバムの中でも傑作と呼べる作品だ。作詞・作曲をヒロトとマーシーが半分ずつ収録されているバランスも、バンドとしての充実を表しているだろう。基本的に、この人達のスタイルは一貫して変わらないし、長年、変わらないスタイルでロックンロールを鳴らし続けながら、瑞々しさを失わないところに、ザ・クロマニヨンズの凄さがある。
冒頭を飾る「ジャングル・ジャミン」の躍動感溢れるビート、アルバムを通して張りと勢いのあるマーシーのギター。笠置シズ子「ジャングル・ブギ」(スカパラのカヴァーの方が有名だろうな。)をザ・クロマニヨンズ流のロックンロールに仕立て上げたようなこの曲のイントロからして、今回のザ・クロマニヨンズの充実ぶりが音に現れている。
そして、シングル「グリセリン・クイーン」に続く「鉄カブト」のヒロトらしいロマンティックな歌詞に目頭が熱くなる。「あの人の思い出は」「命はいい/記憶だけは」「守ってくれ/鉄カブト」である。「あの人」=清志郎だろう。どこまでも自分勝手で、どこまでも人間的な歌詞に、偉大な先人に対するリスペクトとその後に生きる覚悟が込められていると思うが、どうだろう。続く「フンカー」が、まんまRCサクセション「雨上がりの夜空に」なイントロで始まるところも、心憎い。
ヘヴィなベース・ラインが唸る「アウト」では、「やっかいものの硬い椅子」に座りたがり、「やっかいものを切るハサミ」を前に欠伸するザ・クロマニヨンズ。徹頭徹尾、ザ・クロマニヨンズにしかできない、ザ・クロマニヨンズでしかないロックンロール。今年再結成を果たしたユニコーンにも、ユニコーンでしかない感覚があるけれど、この永遠の少年のようなベテランが鳴らす究極のロックンロールが持つ説得力は一体何なのだろう。 そして、このアルバムのラスト2曲がとにかく素晴らしい。初めてこのアルバムを通して聴いた時、たまたま仕事仲間と一緒に聴いていたのだが、一度聴いた後でタイトルを見て、思わず唸ってしまった「恋に落ちたら」。ただ同じ言葉を繰り返すだけの曲が、これだけのイマジネーションを与えてくれるという事実。言葉と音の隙間から、いろいろな恋に落ちる瞬間が溢れ出してくる名曲だ。
一から十まで懇切丁寧にシチュエーションや気持ちを説明してくれる、ありがた迷惑なポップ・ソングが多過ぎる中で、このシンプルさはとんでもなく新鮮だ。「大丈夫だよ」なんて言ってほしい人が多いんだろうね。そんな気休めでとりあえず安心することを別に否定はしないけど、何が面白いのかな。言葉を極限まで削り落としたこの曲を聴くと「ちゃんと自分で考えなさい。感じなさい。」と言われている気さえしてくる。
行間を読むことが大事だと退屈極まりない国語の授業で耳にタコができるほど言われたけれど、このアルバムを聴いているとその意味を実感できる。そう言えば、それは学校の授業から学んだ数少ない本当のことの一つだったな。
ラストを飾る「エロこそすべて」は、もうそのまんま。「恋に落ちたら」なんてロマンティックな曲の後に「エロ!いいぞ!」と無邪気に叫ぶんだから、たまらない。結論そこですか。最高です。ライヴで一緒に叫んでやる。
ザ・クロマニヨンズのスタイルは変わらないし、変わる必要もない。そして、言うことも別に変わらない。だが、言葉をシンプルに削ぎ落としていく意味を分かっている。陳腐でありきたりな言葉をできる限り削って、一見くだらなく見えるような言葉遊びで本質を捉える。日本語によるロックンロールというシンプルな表現方法で、まだまだ前進できることをザ・クロマニヨンズはこの『MONDO ROCCIA』で示しているし、何よりもアルバムを聴く楽しさも実感できる傑作だ。
「エロこそすべて」のビートに揺られていると、次に「ジャングル・ジャミン」を聴きたくなるもの。
- 1
LIVE INFO
- 2025.12.11
-
MONOEYES
あいみょん
東京スカパラダイスオーケストラ × HEY-SMITH
山本彩
オレンジスパイニクラブ
BIGMAMA
ポルカドットスティングレイ
そこに鳴る
The Ravens
FRANZ FERDINAND
- 2025.12.12
-
Hump Back
VII DAYS REASON
Chimothy→
崎山蒼志
LiSA
Another Diary
凛として時雨
TOMOO
Nikoん
BIGMAMA
PENGUIN RESEARCH
moon drop
ねぐせ。
私立恵比寿中学
くるり
PEDRO
サカナクション / Creepy Nuts / 羊文学 / ちゃんみな ほか
flumpool
the shes gone
VOI SQUARE CAT
SAKANAMON / Broken my toybox / SPRINGMAN / KEPURA
BRADIO
ザ・クロマニヨンズ
僕には通じない
LONGMAN
- 2025.12.13
-
MONOEYES
"DUKE×GREENS presents わちゃごなどぅ -whatcha gonna do-"
ぜんぶ君のせいだ。
VII DAYS REASON
Vaundy / THE ORAL CIGARETTES / sumika / マカロニえんぴつ ほか
UVERworld
eill
フラワーカンパニーズ
LITE
DURAN
SHERBETS
清 竜人
ポルカドットスティングレイ
moon drop
Nikoん
石崎ひゅーい
吉井和哉
9mm Parabellum Bullet
Cody・Lee(李)
flumpool
東京スカパラダイスオーケストラ × HEY-SMITH
[Alexandros]
Appare!
秋山黄色
藤沢アユミ
キタニタツヤ
THE SPELLBOUND
- 2025.12.14
-
downy / toe / unripe / aieum
(sic)boy
VII DAYS REASON
LiSA
ねぐせ。
10-FEET / クリープハイプ / go!go!vanillas / Saucy Dog ほか
UVERworld
ぜんぶ君のせいだ。
Devil ANTHEM.
フラワーカンパニーズ
TOMOO
NEE
"DUKE×GREENS presents わちゃごなどぅ -whatcha gonna do-"
OAU
PEDRO
Nikoん
石崎ひゅーい
kobore / Suspended 4th / ザ・シスターズハイ / ザ・シスターズハイ ほか
鶴
SHERBETS
RADWIMPS
9mm Parabellum Bullet
PENGUIN RESEARCH
MOSHIMO
スカート
PHALUX
Bimi
ASP
22/7
古墳シスターズ
クジラ夜の街
[Alexandros]
キタニタツヤ
- 2025.12.15
-
MONOEYES
Kroi
GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR
anewhite
山田将司(THE BACK HORN)/ 大木伸夫(ACIDMAN)/ 内澤崇仁(androp)/ 村松 拓(Nothing's Carved In Stone) ほか
TOOBOE
Mrs. GREEN APPLE
Hump Back
- 2025.12.16
-
くるり
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
優里
YOURNESS
GANG PARADE
ザ・クロマニヨンズ
GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR
Mrs. GREEN APPLE
- 2025.12.18
-
桃色ドロシー
あいみょん
くるり
Nikoん
東京初期衝動
The Ravens
リーガルリリー
ザ・クロマニヨンズ
渡會将士
高岩 遼
カメレオン・ライム・ウーピーパイ
Homecomings
PompadollS
- 2025.12.19
-
(sic)boy
Helsinki Lambda Club
桃色ドロシー
ガラスの靴は落とさない
Nikoん
flumpool
吉井和哉
東京初期衝動
LiSA
BIGMAMA / THE BOYS&GIRLS / KALMA / オレンジスパイニクラブ / ハク。
SHERBETS
VII DAYS REASON
キノコホテル
羊文学
僕には通じない
Mrs. GREEN APPLE
BLUE ENCOUNT
- 2025.12.20
-
NANIMONO
PENGUIN RESEARCH
LACCO TOWER
RADWIMPS
ポルカドットスティングレイ
ぜんぶ君のせいだ。
The Cheserasera
flumpool
ハシリコミーズ
ZOCX
クジラ夜の街
ExWHYZ
浪漫革命
mudy on the 昨晩
"MERRY ROCK PARADE 2025"
ザ・クロマニヨンズ
Awesome City Club
LUCY
アイナ・ジ・エンド
め組
ACIDMAN
UVERworld
パピプペポは難しい
eastern youth
Mrs. GREEN APPLE
優里
- 2025.12.21
-
NANIMONO
The Biscats
桃色ドロシー
クジラ夜の街
RADWIMPS
LACCO TOWER
NEE
東京スカパラダイスオーケストラ
GLIM SPANKY
フラワーカンパニーズ
MOSHIMO
DURAN
(sic)boy
"MERRY ROCK PARADE 2025"
VII DAYS REASON
ザ・クロマニヨンズ
LiSA
Newspeak
齋藤知輝(Academic BANANA)
Keishi Tanaka
鶴
清 竜人25
MONOEYES
暴動クラブ
UVERworld
OKAMOTO'S
優里
- 2025.12.22
-
DOES
東京スカパラダイスオーケストラ
フラワーカンパニーズ
Kroi
FINLANDS
アーバンギャルド × 氣志團
あいみょん
- 2025.12.24
-
Nikoん
松永天馬(アーバンギャルド)
忘れらんねえよ
moon drop
安藤裕子
RELEASE INFO
- 2025.12.12
- 2025.12.17
- 2025.12.19
- 2025.12.20
- 2025.12.21
- 2025.12.24
- 2025.12.26
- 2026.01.01
- 2026.01.04
- 2026.01.07
- 2026.01.09
- 2026.01.11
- 2026.01.14
- 2026.01.16
- 2026.01.21
- 2026.01.23
FREE MAGAZINE

-
Cover Artists
ZOCX
Skream! 2025年12月号









