Japanese
ザ・クロマニヨンズ
Writer 秦 理絵 Photo by 柴田恵理
ほぼ1年に1枚。コンスタントにオリジナル・アルバムをリリースし続けている。それも甲本ヒロト(Vo)と真島昌利(Gt)に関しては30年以上におよぶ長い期間にわたって、だ。新型コロナによって世界が激変してしまったパンデミック下でも、そのペースが決して変わらないということがまず何よりも嬉しい。前作『MUD SHAKES』から約1年。1月19日にリリースされるザ・クロマニヨンズの15枚目となるオリジナル・フル・アルバム『SIX KICKS ROCK&ROLL』でも、彼らは相変わらず痛快なロックンロールを鳴らしている。
"変わらない"というのは、ザ・クロマニヨンズというバンドを語るときによく使われがちな言葉だと思う。あるいは"貫く"、"流行に左右されない"と言い換えてもいい。結成当時からマーシー(真島)は今も変わらず頭にバンダナを巻いているし、革ジャンやTシャツに細身のパンツというTHEロックンローラーなスタイルを崩すこともない。もちろん楽曲を細かくひもとけば、その瞬間その瞬間ごとのバンドのムードが各アルバムに反映されているようには思うし(特に近作ではバンドの円熟味を感じるグルーヴィな楽曲が増えてきた)、年齢を重ねてきたことによるナチュラルな歌詞の変化を感じとったりもする。そのうえでザ・クロマニヨンズが揺るぎない存在としてあり続けるのは、他の誰かのためではなく、ただ自分たちが理屈抜きにかっこいいと思えるロックンロールだけやり続けているからだろう。今回のアルバムもそんなザ・クロマニヨンズの生き様が詰まった全12曲(+ボーナス・トラック)が収録される。もちろんヒロトとマーシーの作詞作曲の割合は半々。今回も6曲ずつだ。
アルバムのリリースに先駆けて、ザ・クロマニヨンズは昨年8月から"SIX KICKS ROCK&ROLL"と銘打ったプロジェクトを進めてきた。これはアルバムの収録曲を毎月2曲ずつ6ヶ月連続でリリースし、半年かけて1枚のアルバムを完成させるというザ・クロマニヨンズ史上初の試みだ。コロナ禍になり、約2年間にわたり全国ツアーを開催できていないという状況を鑑みて、少しでもリスナーの楽しみを増やしたいという想いがこのプロジェクトの動機のひとつ。もうひとつはレコード時代の"アルバム"を再現するという意味合いもあるという。まだアナログ・レコードが主流だったころ、"アルバム"とは、レコードが何枚も入っているもの、という意味だった。今回リリース中の全6枚の7インチ・レコードは、ひとつのボックスに収納することで1枚のアルバムになる。それは、これまでほぼすべての楽曲をCDだけではなく、アナログ盤でも発表してきたザ・クロマニヨンズのレコード愛が溢れた企画でもある。もちろんリスナーはリリースされるタイミングで2曲ごとに聴くも良し、アルバムとして完成されたものを通して聴くも良し。楽しみ方は自由だ。
海を眺めるとき、宇宙に想いを馳せるとき、ふと自分の悩みはちっぽけなものかもしれないと思える。ザ・クロマニヨンズを聴いたとき、それに似た感覚を抱くことがある
アルバムは第1弾シングルとしてリリースされた「ドライブ GO!」から幕を開ける。ズバンと脳天を打ち抜くイントロに"これぞザ・クロマニヨンズ!"と快哉を叫びたくなる直球のロックンロール。"突っ走れ 突っ走れ"とひたすらに突き進んでいく前進の意思をヒロトのブルース・ハープがさらに加速させる。今作でもうひとつ、ブルース・ハープが効いている楽曲と言えば、第6弾シングルとしてリリースされる「ごくつぶし」も痛快だった。桐田勝治(Dr)がダイナミックにリズムを叩き出す鋭角的なロック・ナンバーに乗せて、たとえ"タンスの厄介者"でも、"天井の疫病神"でも、"ああ 生まれてよかった"とヒロトが歌う。この絶対的な肯定感こそザ・クロマニヨンズのロックンロールだと思う。野性味あふれるジャングル・ビートに乗せて"大丈夫だ"と繰り返す、第3弾シングル「大空がある」もそういう楽曲だ。海を眺めるとき、宇宙に想いを馳せるとき、ふと自分の悩みはちっぽけなものかもしれないと思える。ザ・クロマニヨンズを聴いたとき、私はそれに似た感覚を抱くことがある。現実問題として目の前の悩みは消えないし、それは根拠のない錯覚かもしれないけれど、そういう存在が身近にひとつでもあれば、明日を迎える怖さと立ち向かってゆける気がするのだ。
"ボンゴボンゴボンゴボンゴ"という中毒性の高いフレーズが印象的で、どこか土着的な匂いのする「もぐらとボンゴ」や、裏打ちのリズムをゆったりと刻むレゲエ的なアプローチで聴かせるスロー・ナンバー「冬のくわがた」、"永遠"に憧れるロマンチックなミディアム・テンポ「縄文BABY」など、今回のアルバムは多彩だ。バンドマンである以前に生粋のミュージック・ラヴァーでもあるヒロトとマーシーの、ルーツ・ミュージックに対する敬意やバンドとしての懐の深さを感じさせる楽曲が数多く並んでいる。アルバムをコンセプチュアルに制作するタイプのバンドではないから、それを狙ったわけではないだろうが、結果的にこの振り幅の広さが、6ヶ月連続リリースというやり方にもハマったというところだろう。
歌詞も痺れる。例えば、"古い地図にはない 新しい道"を突き進む「ドライブ GO!」や、"道が無いから もぐらは掘った"と歌う「もぐらとボンゴ」、あるいは"山こえ 谷こえ 転がって"と歌う「イエー! ロックンロール!!」など、そこで綴られる言葉の節々には、どんな時代も立ち止まることなく、ロック・バンドであり続けたザ・クロマニヨンズの矜持がしっかりと感じられた。それをダラダラと冗長に言わないところが粋なのだ。言葉数を削ぎ落し、言うべきことだけを端的に射貫く。それはあらゆる分野において、必要なのか不必要なのかわからないような情報が溢れすぎた時代の中では、かなり特異な存在のようにも映る。そんなバンドの削ぎ落された美学に打ちのめされたのが、マーシーが作詞作曲を手掛けた「ここにある」だった。シンプルなビートにジャキジャキと切り込むエレキ・ギター。ボトムを支える小林 勝(nil/THE BLACK COMET CLUB BAND)のベースが大きなうねりを生み出す明快なロックンロールに乗せて、"好きなんだ"、"ただ一つ"、"ここにある"というフレーズを何度も繰り返す。たったそれだけで生きることの意味に手を伸ばしてしまう。ちなみに「ここにある」は、レコードで言うならA面の終わりを締めくくる大切な位置にある。今回のアルバムの曲順は、6ヶ月連続のリリース順ではなく、アルバム用に並べ変えて収録されている。そこに意図があるかはわからないが、アルバムとして聴いたときに、それぞれ単体で聴いたときとはまた違った味わいで楽しめるのも面白いところだと思う。
振り返ると、1985年にヒロトとマーシーが始めたTHE BLUE HEARTSは、1995年にTHE HIGH-LOWSになり、2006年からザ・クロマニヨンズになった。今や若いバンドマンに絶大な影響を与える伝説的な存在となったTHE BLUE HEARTSよりも、ヒロトとマーシーにとってはザ・クロマニヨンズとしての時間のほうが長くなっている。にもかかわらず、ザ・クロマニヨンズにはまったく終わりの予兆がない。このまま10年でも20年でもやりたい放題に走っていきそうな、そんな揺るぎなさを今回のアルバム『SIX KICKS ROCK&ROLL』からは感じ取ってしまうのだ。2020年以降、世の中のあらゆるものが変わった。ちょっと近所のコンビニに行くだけでマスクをつけなければいけなくなり、新しいルールのもとで稼働するライヴハウスではまだ声を出すこともできない。そんな時代だからこそ何ひとつ変わらず、その場所にあり続ける存在に安心したりする。ザ・クロマニヨンズのロックンロールがずっと変わらずに私たちの帰る場所としてあり続けていることは、もはやそれ自体が希望になる。"恋人達の ときめき 永遠に"と。アルバムのラスト・ナンバー「縄文BABY」で歌い上げるロマンチシズムには、何度も聴いても胸が熱くなる。
RELEASE INFORMATION
15thアルバム
『SIX KICKS ROCK&ROLL』
TOUR INFORMATION

1月24日(月)Zepp Haneda(TOKYO)
1月26日(水)KT Zepp Yokohama
1月29日(土)静岡市民文化会館 中ホール
2月5日(土)三郷市文化会館
2月6日(日)栃木県教育会館
2月11日(金・祝)市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
2月12日(土)福岡市民会館
2月19日(土)名古屋市公会堂 大ホール
2月20日(日)名古屋市公会堂 大ホール
2月23日(水・祝)ホクト文化ホール 中ホール
2月27日(日)ロームシアター京都 メインホール
3月2日(水)江戸川区総合文化センター
3月5日(土)東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館)
3月6日(日)けんしん郡山文化センター(郡山市民文化センター) 中ホール
3月12日(土)神戸国際会館 こくさいホール
3月13日(日)岡山市民会館
3月17日(木)ハーモニーホール座間 大ホール
3月19日(土)広島JMSアステールプラザ 大ホール
3月21日(月・祝)下関市生涯学習プラザ 海のホール(大ホール)
3月26日(土)新潟市民芸術文化会館・劇場
3月30日(水)LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
4月2日(土)金沢市文化ホール
4月7日(木)大阪 フェスティバルホール
4月9日(土)香川 ハイスタッフホール(観音寺市民会館)大ホール
4月12日(火)千葉市民会館 大ホール
4月15日(金)カナモトホール(札幌市民ホール)
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