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ザ・クロマニヨンズ

2012年05月号掲載

ザ・クロマニヨンズ

Writer 石角 友香

ザ・クロマニヨンズがもう活動6年目だなんて長いんだか短いんだかわからない。それは音楽性に特段の変化がないこと、(本当は当たり前のことではないのだが)コンスタントにシングル、アルバムのリリースを重ねていること、多いときには60本前後の全国ツアーを続けていながらも、“2012年のロック・シーンのモードがうんたら”といったことと距離を置いて見えるからだろう。だが、バンドを転がしていくことは、彼らにとって寝て、起きてご飯を食べてトイレに行くことぐらい日常的かもしれないが、決して自動的に行えることではない。当たり前だけれど。

かつて甲本ヒロトは言った。“ロックンロールは進化しない。変化はするけど”。その言葉どおりの作品を最近のザ・クロマニヨンズはもう、どんなに勘の悪い人でもわかるように提示し続けている。今回、アルバム『ACE ROCKER』から半年開けずにリリースする11枚目のシングルもそうだ。タイトルからしてすごい。“突撃ロック”。もはや“エイトビート”のようにこちらが勝手にロマンやセンチメントを差し挟む余地はない。まぁ、最近では「ナンバーワン野郎!」という身も蓋もないタイトルもあったけれど、結局、ヒロトが言いたいことはひとつだけなのだろう。太いベース・ラインからいきなり“永遠です 永遠です永遠です 突撃ロック”と断言する、ギミックなしの初期パンク。いやもう初期でもなんでもないのだけど、枯れも練れもせず、だからといってハイパーになったりエフェクトがかかることもない。サビでは“勉強よりも いま 大切なもの”と、あらゆる価値観が崩壊した今にフォーカスしたかのような表現も登場するが、ポリティカルな思想も生き方もここまでシンプルな言葉と真っすぐな歌に封じ込めることそのものがザ・クロマニヨンズが無二である証左だと思えるヴァースである。

一方、カップリングは真島昌利の詞曲による「サイダー」。終わらない夏休みの楽しさよりは退屈と絶望に手を焼いた10代の記憶と、自分では手の下しようのない2012年の現実が交差するミドル・チューンだ。一方で「突撃ロック」と歌いつつ、一方で楽しさも悲しさも熱を失ったようなリアリティを歌う。彼らにとっては本意じゃないかもしれないが、最近、ザ・クロマニヨンズを聴いてなかったという人こそ、彼らの“進化しない最新型”をこのシングルで実感できるんじゃないだろうか。

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