Japanese
THREE1989 / Absolute area / DeNeel(O.A.)
Skream! マガジン 2022年09月号掲載
2022.07.16 @下北沢LIVEHOLIC
Writer 稲垣 遥 Photo by タチバナジン
下北沢に構える、Skream!や激ロックを運営する激ロックエンタテインメントがプロデュースするライヴハウス、下北沢LIVEHOLICがオープンから7周年を迎えた。それを記念し6月より同会場にて行われている"LIVEHOLIC 7th Anniversary series"。今年も多種多様な面々がラインナップされているが、この日は、実力派の注目若手バンドがそれぞれの武器を持ってこの場を特別なものにしようと競り合い、リスペクトを送り合った美しい夜となった。
まずはオープニング・アクトのDeNeelが怪しげなSEの中そのステージを始めた。YouTube 30万回再生超えのクールなロック・チューン「百鬼夜行」で会場を染めていく。中野エイト(Vo)のスタンドマイクは斜め前向きにセッティングされており、フロアを見つめてまっすぐ届けるというよりは、ミステリアスでアンニュイな目線と歌声でオーディエンスの目耳を刺激するようだ。そして、明滅するストロボライトから「No.4」へ。疾走感の中で今度はハイトーンを響かせていく。"今日は音楽ラヴァーが集まってると聞いたんで、楽しみにしてました"と中野が言うと、彼らの掲げる"OSAKA REVIVAL POP"の真骨頂、歌謡曲テイストが滲むメロディにモダンな音を織り交ぜた「レイン」で、緩急をつけて観客を揺らす。続けて重めのドラム&ベースで幕を開けたかと思えば、メロウなパートを挟み、サビで突き抜ける展開と変幻自在の演奏が魅力的な「煙」へ。危うげで、崩れ落ちそうに、身体から振り絞るように歌う中野もリスナーを惹きつけ、大きな拍手が送られた。
SEなどはなく"Absolute area始めます"と山口諒也(Vo/Gt)が爽やかに挨拶をすると、彼のピアノ弾き語りから「mirroring」でスタートしたAbsolute areaのライヴ。澄んだ鍵盤の音色の気品と透明感のあるヴォーカルで空間を浄化していく。そしてそんな歌声を引き立てるように寄り添う盤石の萩原知也のエレキ・ベースと、3ピースの屋台骨を担うどっしりと存在感のある高橋 響のドラムが、ギターレスの曲でも彼らをロック・バンドたらしめていた。「カフネ」では山口が抜群に美しいファルセットを響かせ、早くも会場を陶酔させる。山口が歌いながら萩原と目を合わせて微笑む場面もあったが、手応えを感じていたのだろうか。そう思わせるほど印象的な、じゅわっと心に彼らの音楽を染み渡らせる幕開けだったが、山口がエレキ・ギターを手にすると一気にライヴの勢いが加速。手拍子を煽った「SABOTEN」から、エッジの効いたギターを紡ぐと、煮え切らない恋人への想いに対する苛立ちや情けなさを託した「ビニール傘」で、きれいなだけではない感情も表出してみせたのだった。
MCでは、ベースの萩原が、過去にTHREE1989のサポート・メンバーをしていたことがあるとのことで、この日は特別に緊張していると明かされた。そんな縁のある相手との対バンへの気合も垣間見せたところで、山口は久々に来た下北沢の街の風景が変わったことに触れ、"思い出の場所は記憶を呼び起こす。Absolute areaの音楽もそういう存在になればいいな"と「橋を越えれば」を披露。学生当時に好きだった女の子が橋を越えたところに住んでいたという山口の体験がもとになった曲だが、ストリングスの同期も交えた温かなサウンドで、優しく聴き手それぞれの思い出をも呼び起こし、抱きしめさせてくれた。また、清涼感のあるアップ・チューン「パラレルストーリー」では、"ねぇ僕らこれでよかったよね"と強がり、不安、寂しさなどの複雑な気持ちを歌う姿がセピアな照明に照らされ、胸をしめつける。ラストは「いつか忘れてしまっても」。"忘れたくないと思える今日が/日々増えてくから寂しくもなる"――必要以上にドラマチックではない、日常と繋がる奇跡のようなかけがえのない時を素直な筆致で描く、Absolute areaの魅力を存分に伝えるステージを終えた。
早めにオン・ステージすると、"ウォーミングアップしよう"とShohei(Vo)がフロアへ声を掛け、転換中のBGMに合わせてクラップしたり、"ステップ踏んでみよう"と左右に揺れたりと、本番前から集まった人と最大限楽しもうとする意欲を見せるTHREE1989。そこから改めて向き直り挨拶すると、洒脱でありながら手を叩いて踊れるシティ・ポップ「High Times」で、ガラリとライヴハウスの空気をラグジュアリーに塗り替えたのだった。だが、煌びやかな音を鳴らしつつ、曲間ではラフにShohei が観客に話し掛け、"魅せる"だけではないグルーヴィな空間を作り上げていくのが面白い。海辺のドライブにも合いそうなミドル・テンポの「mint vacation」からは、最新曲「熱波東京」へ。艶やかに逃避行を描くスロウ・チューンに夏らしいSEが織り込まれ、汗ばむ季節に似合う装いだ。"勢いのあるAbsolute areaのあとを任されていい緊張感がある"と話したShoheiはこの日が誕生日とのことで、"誕生日にライヴできるって幸せ"と笑顔を見せ、そこからキーボードをバックに神聖なムードで「イチグラム」を始める。目標を見失いそうになりながらも僅かな希望に向かって進もうとする、自身の気持ちを乗せたポップ・ナンバーだ。誕生日の節目に決意表明のように届けられたこの曲を、オーディエンスもステージを見つめ、受け止めていた。
タイトなリズムと隙間のあるチルなサウンドで再び気持ち良くフロアを揺らした「Smoking Time」のあと、彼らは5年前の1stアルバム『Time Line』のレコ発ライヴをここで開催したと当時の思い出話をし、同作から「Don't miss it」をパフォーマンス。1stらしい前のめりな勢いも感じさせつつ、今に通じる艶のあるダンス・チューンで腰から躍らせた。"改めて7周年おめでとうございます。この2年間いろんなことがあったけど、この場所を残してくださって。今日一番大きな拍手をLIVEHOLICに!"と真摯な言葉でライヴハウスへの想いを伝えると、地声で"今日は本当にみなさんありがとうございました!"とお礼を叫んだShohei。最後は心の中に太陽をと歌う彼ららしい応援歌「Mr.Sunshine」を贈ると、後ろまで起きた大きなクラップにメンバーたちもより笑顔に。さらにアンコールで、Datch(DJ)のスクラッチから始まるパーティー・チューン「UNIVERSE」を畳み掛け、降り注ぐミラーボールの光の中、幸福感をまき散らしてアニバーサリー・イベントを締めくくったのだった。
[Setlist]
■DeNeel(O.A.)
1. 百鬼夜行
2. No.4
3. レイン
4. 煙
5. DOLL
■Absolute area
1. mirroring
2. カフネ
3. SABOTEN
4. ビニール傘
5. 橋を越えれば
6. まだ名のない歌
7. パラレルストーリー
8. いつか忘れてしまっても
■THREE1989
1. High Times
2. mint vacation
3. 熱波東京
4. イチグラム
5. 紫陽花
6. Smoking Time
7. Don't miss it
8. Mr.Sunshine
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