Japanese
Absolute area
Skream! マガジン 2023年07月号掲載
2023.06.03 @EX THEATER ROPPONGI
Writer : 山田 いつき Photographer:北村勇祐
Absolute areaにとって自身最大規模のワンマン・ライヴとなるEX THEATER ROPPONGIでの公演。流麗なピアノの音色、クリーンなギターのアルペジオ、そこに電子音が絡み合う幻想的なSEが鳴り響き、メンバーがステージに登場する。この日のライヴは、サポート・ミュージシャンとしてキーボードの鮎京春輝、ギターの坂本夏樹を迎えた5人編成。オーディエンスの視線がステージに注がれるなか、ライヴはキャリア初期を代表するロック・チューン「ひと夏の君へ」で幕を開けた。アタック感の強い高橋 響のドラムに引っ張られていくように、いきなりフルスロットルで躍動するパフォーマンスから、彼らのこの公演にかける並々ならぬ想いが伝わってくる。山口諒也(Vo/Gt)がクラップを煽った「マイナスの要素たち」では早くも会場の一体感を強め、山口自身がかねてより憧れのバンドと語っているMr.Childrenへのリスペクトが、楽曲のみならず堂々としたステージングにも表れているようにも感じられた。
最初のMCでは山口が"今日という日をめちゃくちゃ楽しみにしてきました。今日はみなさんと一緒に最後まで盛り上がりたいと思います"と意気込み、多くのファンが駆けつけた会場を嬉しそうに見渡した。そのあとは、山口が弾くソリッドなギター・リフと萩原知也のスラップ・ベースが炸裂するダークな装いの「ビニール傘」と、甘酸っぱいポップネスが弾ける「70cm」を続けてプレイ。どちらも"傘"をテーマに据えながらも、まったく異なるベクトルのサウンドスケープが描かれる。ちなみに本公演は"曲だけで勝負する"という理由からスクリーンの映像演出は一切なし。その覚悟を体現するように「遠くまで行く君に」、「橋を越えれば」といったミディアム且つメロディアスなラヴ・ソングを会場の隅々までエモーショナルに響かせた。
サポート・ミュージシャンを含むメンバー紹介を挟んで、新曲1へ。包み込むような芳醇なアンサンブルと切ない歌詞が重なる、アブソ(Absolute area)らしいナンバーで観客を惹きつけた。続く「Girl」では、前向きなメッセージと煌びやかな照明演出の相乗効果で心が満たされていく。"今日という日が「未来への滑走路」だとしたら、また次のワンマンを目標にして飛び出していく、今よりもっともっと遠くに高く飛んでいけるように頑張っていくので応援のほどよろしくお願いします"という山口のMCのあとは、尊いライヴの時間がずっと続いてほしいという思いをこめた新曲2を奏でた。ここからライヴはラスト・スパートへ突入。この日一番のクラップを誘ってみせた「いくつになっても」を経て、本編最後には3rdミニ・アルバム『Future』よりリード曲「僕が最後に選ぶ人」を力強い演奏で届けた。
アンコールでは、まず山口とサポートの鮎京と坂本が登場し、今年5月にリアレンジ版が配信されたばかりの「発車標 (2023 ver.)」をアコギと鍵盤だけのシンプルな編成で歌唱。演奏後、再びステージに登場した萩原は"言いたいことすごいあったんだけど、全部吹っ飛んじゃったくらい今日は楽しくて。実際この場に立ってみないとわからなかったような想いをたくさんしました"と興奮した様子で語り、高橋は"今までライヴハウスとかいろんなステージでやってきたけど、ワンマン・ライヴをこういうデカいとこでやれるのは最高だなと思いました。この景色を何度も見れるように頑張っていくのでよろしくお願いします"と今後の決意を伝えた。そして山口は今回のワンマンが決まったときは人が集まってくれるのか不安だったと振り返り、そんななかでも日々届けられる応援メッセージが励みになったと、会場に集まったファンたちに感謝を述べた。
ここでAbsolute areaから重大発表として、今秋にavexより音源をリリースすることが明かされた。まさかのサプライズ発表に場内は驚きと歓喜の拍手で包まれた。そんなハッピーな雰囲気のなか、アブソは爽快感たっぷりのサマー・チューン「ドラマチックサマー」をファンファーレのように高らかに響かせ、ラストに「いつか忘れてしまっても」を披露。リリースから約2年、ようやく叶ったファンとの大合唱で、1時間半にわたるワンマン・ライヴを大成功のうちに締めくくった。
[Setlist]
1. ひと夏の君へ
2. 遠い春の夢
3. マイナスの要素たち
4. ビニール傘
5. 70cm
6. 遠くまで行く君に
7. 橋を越えれば
8. 新曲1
9. Girl10. 無限シナリオ
11. useless days
12. 新曲2
13. いくつになっても
14. 僕が最後に選ぶ人
En1. 発車標 (2023 ver.)
En2. ドラマチックサマー
En3. いつか忘れてしまっても
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