Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

otsumami feat.mikan

2025年12月号掲載

otsumami feat.mikan

Member:青葉 紘季 福井 伸実 mikan

Interviewer:高橋 美穂

otsumami feat.mikanが、新曲「星を集めて」を完成させた。この楽曲は"神戸TOTTEIクリスマスマーケット2025"テーマ・ソングになっており、2023年にリリースされた「星影のパレード」と併せて、この会場で流れることとなる。"私たちの歌"と思える広い入り口を誇る、新たなウインター・ソングの誕生だ。ソングライティングの中心人物 青葉紘季、アートワークを担う福井伸実、ヴォーカル mikanが、楽曲や近況について答えてくれた。

-otsumamiにとって季節ソングは得意技だと思いますが、今回はどのようなテーマを掲げて書き始めたのでしょうか。

青葉:夏にリリースした「夏翳」(2025年7月リリース)はmikanが作詞ということもあり、20代の女の子の等身大が描けたかなと思います。僕に書けるものではなく、本当にmikan自身が今見ているものや感情をしっかり言葉で表現してくれたなと。その上で今回の新曲は、前曲にあったある種内向的な部分ではなく、外に向けたメッセージを届けられたらと思い書き始めました。

-この楽曲は"神戸TOTTEIクリスマスマーケット2025"のテーマ・ソングになっていますが、このタイアップありきで曲を書き始めたんでしょうか? また「星影のパレード」(2023年リリースのデジタル・シングル) もBGMとして流れるということで、星繋がりや、逆に被らないように考えたところもあったのかな? と想像していますが、いかがでしょうか。

青葉:完全に"ありき"で書いたわけではないんですが、今回のタイアップのお話を伺ってから、"(神戸TOTTEI)クリスマスマーケット"にかかわらず街を行き交うたくさんの方々に想いを馳せてというか、より共感、キャッチしていただけるような世界観をこの機会に届けたいという気持ちは湧いてきましたね。
もう1つは、今回「星影のパレード」も併せて使っていただけるということで、例えばこの曲で初めてotsumami の音楽を聴いて、さらに気になった方々が次に何が聴きたいだろう? どんなものを提示できたらotsumamiの世界観や幅を感じてもらえるだろう? ということは考えました。

-otsumamiの季節ソングも増えてきたので、音的にも歌詞的にも世界観としても、"次はどんな角度で書こう?"と悩んだりしないのかな、と純粋に思います。そのあたりの悩みはありませんか。どのように次の方向性は生まれてくるのでしょうか。

青葉:楽曲の構成がメロディ、歌詞、アレンジの三位一体だとすれば、そこのアプローチに関して多少は過去曲との兼ね合いは考えます。ただ、同じ季節の描写で同じようなメッセージを書いたとしても、要素が変われば全く違うものになると思っているので、被りとか角度とかはあまり考えたことはないかもしれないですね。その瞬間にしかできないものをきちんと作って、あとはmikanに命を吹き込んでもらうという。そもそも同じ人間たちで作っているので、曲ごとに性格が変わるものでもないですし、物事の捉え方が突然変わることもないですから、そのへんは開き直ってるかもしれないですね(笑)。

-短いイントロの後、いきなり"歩いて行ける"と歌い出すオープニングが印象的でした。"誰"や"何"の主語を飛ばした、肯定的な結論で始まる構成が意図するものを教えてください。

青葉:この曲を最初作ったときに、頭のこの部分はなかったんです。ただイントロがとても華やかで印象的だったので、そこへ行く前に何か序章的なブロックがあったほうが曲の期待感が膨らむかなということで、こういった構成になりました。

-演奏は、ピアノ、ギター、ドラム、ストリングス、ウィンドチャイム等、全体的に温かい生音になっていて、個人的にはアウトロの甘いギターや、ファンファーレのようなフレーズが大好きでした。サウンド面、楽器面では、どんなこだわりがありましたか。

青葉:前回の「夏翳」がわりとエレキ・ギター推しのバンド・サウンドということもあったと思います。それと、今までのotsumamiだと「3373」(2022年リリース)とか「青葉」(2023年リリース)とか、ある種ゴージャスというか壮大な楽曲がありましたが、最近やってなかったなという想いもありました。そういう楽曲ができるのもotsumamiの強みだとも思っているので。こだわりはやっぱりリズムがずっと3拍子で刻まれているのに対してメロディは4分の4拍子で展開してるところですかね。バラードのようだけど、どこかにずっと疾走感のようなものがあるというか。それと、僕もアウトロが一番好きです(笑)。全てをあそこに繋げていくというか、あそこまで回せたら勝てるというか。だから最後まで聴いてほしいですね!

-mikanさんの歌声は穏やかな微笑みが見えるような柔らかさがあって、リリースや活動を重ねて、どんどん物語的、映像的に進化していると思いました。どんなことに気を付けて、どんなことをイメージしながら歌いましたか?

mikan:この世界は"人から人へ"繋がってできている。自分以外の全ての人、ものを肯定するように、ありがとうを込めて歌いました。

-歌詞は"いつしか雨は雪へと変わって"あたりまで冬ソングらしくはない、どの季節にでも当てはまるようなものになっています。タイトルに入っているのも雪ではなく"星"です。そのあたりも意識的なものなのでしょうか?

青葉:正直"雪"というワードを使ったのはリリース・タイミングを考えたからというのもあります。あくまでも"雪"の描写は"情景描写"や"心象表現"であって、聴き手の方々となるべく同じような画の中にいたいというか、作り手と聴き手の想像する風景をできるだけすり合わせたいというか。そのほうが楽曲に入り込みやすいのではないかと思っているところがありまして。たぶんそれがotsumamiに季節ソングと言われる曲が多い所以かなと思いますが、ただ別に季節限定ソングを作っているつもりはなくて(笑)、物語の内容はどんなときでも場面でも通ずるものを、ということは大切にしています。なので皆様にはオールシーズン聴いていただきますよう、どうかお願いいたします(笑)。