Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

FEATURE

Japanese

otsumami feat.mikan

otsumami feat.mikan

otsumami:青葉 紘季 福井 伸実
mikan
Writer:高橋 美穂

王道J-POPから"今そこにある二度と戻ってこない瞬間"が聴こえてくる「恋のまぼろし」


国民的ヒット・ソングにもなったAKB48「365日の紙飛行機」をはじめ、様々なアーティストへの楽曲提供を行っている青葉紘季率いるteamOUCAが楽曲制作を担当し、ゲスの極み乙女のアートワークで注目を浴びた"恋する絵描き"福井伸実が参加、さらに北海道のアイドル・グループ"タイトル未定"でも活躍する冨樫優花が"mikan"名義でフィーチャリング・ヴォーカルを務める"otsumami"。YouTube や TikTok などSNS を中心に、曲を軸とした活動を展開しているクリエイター・ユニットである彼らが、このたび新曲「恋のまぼろし」をリリースした。

恋のまぼろし / otsumami feat.mikan【Music Video】


様々なフィールドのメンバーが集結したotsumamiのグループとしてのコンセプトは、青葉いわく"「好きなことを好きな人と好きなように」。さらに言えば、そうやってできた作品を好きになってくれた人が好きなものを選んでつまんでいっていただけると嬉しい"とのこと。ここで"otsumami"という、ユーモラスでキュートな名前の真意が見えてくる。とはいえ、参加メンバーにはなんかしらの共通点があるはず。そこについて、青葉はこう語ってくれた。

青葉:やっぱり作品作りをするときに明確に"自分の好きなもの"があって、それを表現したいという欲求というか想いを持ち続けているという点は、メンバー全員ある気がします。otsumamiの音楽チーム(otsukuri)は僕以外にも数名おりまして、僕含めみんな普段は楽曲提供などを主軸に音楽活動をしていて、それはそれで新鮮さ、面白さはあるんですが、やっぱり最後まで見届けられないというか、ある種僕の曲だけど僕のものではないというか。もともと全員バンドだったりシンガー・ソングライターだったり、演者側でステージに立っていた人間ばかりなので、もしかしたらどこかでいわゆるライヴハウス的な"音楽を直接手渡し"したいという渇望感のようなものはあったのかもしれません。イラストレーターを入れたのは、もちろん最近の音楽作品の潮流として視覚的なアプローチは必須だとは思っていましたが、何より伸実さんの絵が好きなので口説かせていただきました(笑)。

そんなotsumamiの楽曲は、多彩ではあるものの、ひと言でまとめるなら爽やかで叙情的。

青葉:音楽チームでいつもワイワイしながらあれやろう、これやろうを持ち寄って作品作りにあたっています。歌詞は基本曲ごとに持ち回りで担当することが多いですが、それがラヴ・ソングでも青春群像的なものでも、あるいは自分の奥底に問い掛けるような楽曲でも、どの曲も"今そこにある二度と戻ってこない瞬間"みたいなものを大事にしています。

なお、otsumamiが発表しているカバー・ソングも、松原みきの「真夜中のドア~stay with me」やレミオロメン「3月9日」など、ジャンルや年代を問わず、叙情的な楽曲のセレクトが光る。これらの選曲は、ほぼmikanが行っているとのこと。青葉いわく"本当に音楽好きで、特に80年代ポップスに関しては博士"なmikanは、otsumamiに対して、どんなスタンスで向き合っているのだろうか。

#12 真夜中のドア~Stay With Me / 松原みき (covered by mikan)


#13 3月9日 / レミオロメン (covered by mikan)


mikan:otsumamiは自由です。楽曲をいただいて、歌のレコーディングをして、イラストが加わって......少しずつひとつの作品が色づいてゆく様子を間近に感じるたび、刺激を貰い、ワクワクしています。このチームに参加させていただくまでは、グループ活動(タイトル未定)の中で歌割りが決まっていて。オリジナル曲をソロで丸々歌うということがほぼ初めてだったので、"私の歌が正解になる"と最初は少し不思議な気持ちでした。けれど、プロのクリエイターのみなさんと一緒に作品作りをさせていただいている贅沢な環境に感謝しています。

もともとは、青葉いわく"実は最初ヴォーカルを固定せずに何人かで回していこうみたいなふうに考えていた"というotsumami。しかし、"1度mikanに歌ってもらったら、ついつい彼女の声が乗ることを前提に曲作りをするようになってしまい、それが今も続いている" のだそう。そんな彼女の歌声の、楽曲の世界観に優しく寄り添う魅力は新曲「恋のまぼろし」でも発揮されている。そこで「恋のまぼろし」の成り立ちについても、青葉に聞いた。

青葉:昔から奇をてらうのが苦手なんです。わかりやすくて何が悪い! いいものはいい! と半ば開き直ってJ-POPの王道を突き進んでいます(笑)。そんななかで、まず夏曲を作ろうと。夏といえばサイダーだなと(笑)。"炭酸ポップチューン"なんて言葉が存在するかは知りませんが、初めからそんなことを言いながら作りましたね。

"柑橘系"、"炭酸"など、歌詞も五感を刺激する「恋のまぼろし」。もちろん、その"視覚"を担うのは、福井伸実のジャケットだ。今作について福井は"突き抜けるような青さや夏のイメージは伝わるようにしつつ、直接的なモチーフは置かずに、人物も少し中性的に、何者でもない、みんなの夏の記憶の中にいるかもしれない存在として描きたいと思いました"と語る。そもそも、メンバーとしてジャケットを担う"otsumami"の創作は、福井にとってどのようなものなのだろうか。

福井:楽曲がほぼ完成してから聴かせてもらい、青葉から表現したかったことをざっくりと聞いて、私なりに解釈して描いています。他のアーティストに描き下ろす際には、アーティストのコンセプトに寄せることが前提ですので、人物の表情や髪の長さ、色味などの要素を細部までうかがってから描くことも多いですが、otsumamiに関しては、好きなように描くこと、むしろこれまで続けてきた自分の感性や表現を尊重するようにしています。

追えば追うほど、無限大の可能性を感じられる"otsumami"。今後は"ライヴがしたい"(青葉)とのことで、さらに新たな扉が開かれそうだ。その動向から目を離さないでほしい。



▼リリース情報
otsumami feat.mikan
NEW SINGLE
「恋のまぼろし」
koinomaboroshi.png
NOW ON SALE
[OSAKANA label]

  • 1