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INTERVIEW

Japanese

otsumami feat.mikan

2025年12月号掲載

otsumami feat.mikan

Member:青葉 紘季 福井 伸実 mikan

Interviewer:高橋 美穂

テーマは"祈り"や"願い"、その象徴としての"星"


-今までの楽曲にもそういった傾向はありましたが、今回は特に、年齢も何もかも関係なく、本当に"そのへんにいる全ての人"の背中を押してくれると思いました。改めて伺いたいのですが、otsumamiはポップ・ミュージックをやっていくアーティストとして、そういった市井の人たちの気持ちを落とし込みたいというテーマがあるのでしょうか。

青葉:そこまでおっしゃってくださるのは本当に嬉しいですね。もしもotsumamiの楽曲が皆さんに深く共感性を持っていただけているとしたら、それは作り手である我々もまた"そのへんにいる全ての人の中の1人"にほかならないからなのかなと思います。ミュージシャンというのは傍から見ればもしかしたら特殊な仕事なのかもしれませんが、1日のうちでミュージシャンではない時間のほうが圧倒的に多いですし。何か特別なことを考えているわけでもないですし、しんどいときもあります、上手くいかないことばっかりです。そのごくありふれた1人の人間として、思っていること、見ているものをなるべく正直に、飾らないように、難しい哲学とかではなく、分かりやすい言葉を選んで楽曲に乗せているというのが原点かなと思います。それが多く共感をいただけているとすれば、それはごくごく普通の感性を持てている証かなと思いますし、世間とズレていないことに少しホッとします(笑)。

-"立ち止まったっていいんだよ/泣きたければ泣いていいんだよ"と許してくれる言葉、"何処かの街で今日も/誰かのために動く君が/この空の下 どうか笑っていれますように"という理解と願いの言葉、"ありふれた日々は今日も/ありきたりな景色をまた/僕らの目の前に連れてくる"というもどかしさ。"頑張ってる君を 僕は知ってる/だからこそ いつか必ず 幸せは訪れる"が究極ですが、誰かに言ってほしい言葉が詰まっています。言われたい言葉を書いたのか、こういった言葉や、言ってくれる存在が世の中に足りないと思われたから書いたのか。どんな立ち位置、どんな視点で歌詞を書きましたか。

青葉:この曲の着想は実は数年前のコロナ禍にありまして。当時いわゆるエッセンシャル・ワーカーの方々を励ますような、そういう人たちを讃えるような風潮があったと思うんです。それ自体はとてもいいことだと思っているんですが、コロナが明けて、もとの暮らしにある程度戻って、ふと考えたときに、別にそんなことはコロナでもそうじゃなくても同じだよなと。
例えば今、口にしている食べ物も、手に取った本も全部誰かが作ったものであって、そのできたものを今度は運ぶ人がいて、それを受け取って並べるお店の人がいて。結局どんな時代でも、この世界はそうやって人から人へと繋がってできているんだよなと。
ただそれって多くの人たちにとって当たり前なことで、別に褒められることもなく、かと言ってそれを求めるわけでもなく、当たり前に目の前の暮らしを生きているだけで。
たとえ知らない誰かだとしても、その誰かが働いたり、頑張ったりして、そしてそれが何かを生み、その繋がりの先にまた自分も含めて誰かがいるということなんだよなと。そしてそんな誰かがどこかにいてくれるから今日も"歩いて行ける"んだなと。
"頑張っている人が報われる"、そういう世界が理想ならば、せめて僕も1人のミュージシャンとして、自分以外の全ての人へ向けてのメッセージ・ソングを残したいなと。結構ここが今回の曲の全てかもしれないですね。

-早々に出てくる"雨"は困難の象徴かと思いました。では、その"雨"が"雪"に変わる展開に、どんな意味を込めましたか。結構、終盤に変化するので、そこに物語を感じました。

青葉:雨は雪に変わって、落ちては溶けて、溶けては落ちていく、という一見無駄な、意味のないことの繰り返しだとしても、その繰り返しの先にしかない風景はきっとあって、これは日々の暮らしでも同じだなと思います。だから淡々と黙々とたゆまず歩いて行こうと、そんなことを感じてくれたら嬉しいですね。

-この楽曲で"星"に託した意味合いとはなんでしょう? 市井に生きる私たち自身のことなのか、私たちの希望の象徴なのか、私たちを照らしてくれるものの象徴なのか。もしくはこの楽曲や、otsumamiの存在や音楽のことか。全て当てはまる気がしますが、本当のところはいかがでしょうか。

青葉:そういう意味で言うと、たしかにおっしゃる通り全てに当てはまりますね。この曲のテーマは一言で言うならば"祈り"や"願い"。その象徴としての"星"。だからなるべく多くの星を集めて、なるべくたくさんの人たちが笑顔でいてくれることを願うというか、この世界中に暮らし、頑張っている全ての人の心を包み込むような楽曲になればなと思ってます。そして願わくば、いろんな場面でotsumami自体が皆さんにとってそのような存在になっていければいいなと思います。

-今年は5 月に開催した下北沢MOSAiC での初ワンマン("otsumami feat.mikan / 1st Oneman Live 開花")から9月の渋谷 duo MUSIC EXCHANGE("otsumami feat.mikan 2nd Oneman Live 夏翳 - natsukage -")、10月の大阪 Yogibo HOLY MOUNTAIN("ピアノと私のライブ #1")とワンマン・ライヴ3公演をソールド・アウトさせる等、念願だったライヴ活動も盛んに行われました。そこで受け取ったものを総括していただけますでしょうか。そこで受け取ったものも「星を集めて」には詰まっていますか。

mikan:ファンの皆さんが喜んでくれたことが何より嬉しかったです。手探りで始まった初ワンマンから、一歩ずつ階段を登っている感覚でした。焦りもあったし、歌を歌うことって難しいって何度も思いました。でも、私はこの先も自分のペースでいいんだと思います。未完成な自分を受け入れること、成長を止めないこと、ずっと大切にしていきたいです。

福井:私は物販に立ってファンの方とお話しする機会もあったのですが、全国からライヴを楽しみに来てくださる愛を感じました。これからotsumamiがどうなっていくか見守っていくぞという熱意も......!ありがたいと思いました。グッズも楽しみにしてくださる方一人一人を肌で感じることができて嬉しかったです。

青葉:ようやくお届けできたなという2025年でした。mikanもライヴごとにヴォーカリストとしてのパワーが増していって、とても頼もしかったです。当然来ていただいたファンの方々から受け取ったものは大きいです。今年の締めくくりとしてこの新曲「星を集めて」で恩返ししたいと思います。

-ジャケットは、星が通った跡のグラデーションがきれいです。女の子が笑顔で1人歩いている姿も、柔らかなタッチの中に強い意志を感じましたし、まさにmikanさんの歌声に寄り添っていると思います。どんなイメージで描かれたんでしょうか。

福井:ありがとうございます! ジャケットを描く前に作曲組から今回の曲について聞き、穏やかな日々への祈りや願いが込められていることを感じました。私が絵を描く上で大切にしていることにも通じると思いました。誰かにとっての大切な光や希望みたいなものが星になって、女の子の周りをくるくるキラキラ回りながら、心の中で対話しているイメージで描きました。導かれるように自然と上を向いて、少しずつ前へ歩いています。

-今年はライヴという大きな一歩を踏み出した年になりましたが、来年はotsumamiにとってどんな年にしたいですか? 引き続き活動を楽しみにしています!

mikan:チームみんなで楽しみながら、これからも素敵な作品を届けていけたら嬉しいです。

福井:"神戸TOTTEIクリスマスマーケット2025"でテーマ・ソングとしてotsumamiを流してくださるとのことで、初めて耳にする方も多いかと思います。まだotsumamiを知らない人たちへ、広く曲を届けたいです!

青葉:来年はどんな年になるんでしょうね。あっという間に過ぎてしまった気もしますが、今年はライヴを通して皆さんに直接初めましてのご挨拶ができたことが嬉しい収穫でした。2026年もotsumami feat.mikanとしてみんなで力を合わせてじっくり作品と向き合い、しっかり広めていく努力を続けていきたいと思います。

RELEASE INFORMATION

otsumami feat.mikan
NEW DIGITAL SINGLE
「星を集めて」

[OSAKANA label]
2025.12.12 ON SALE
配信はこちら

EVENT INFORMATION
"神戸TOTTEIクリスマスマーケット2025"


12月12日(金)~12月25日(木)TOTTEI PARK
開催時間:平日 16:00~20:00 / 土日 11:00~20:00 / 12月24日(水)、25日(木) 11:00~20:00

テーマ・ソング:otsumami feat.mikan「星を集めて」、「星影のパレード」
12月12日(金)点灯式でのライヴ・パフォーマンス決定
公式サイト