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INTERVIEW

Japanese

SODA KIT

2024年03月号掲載

SODA KIT

Member:Yupsilon Rasetsu Figaro Mugei

Interviewer:高橋 美穂

Yupsilon、Rasetsu、Figaro、Mugeiという、個々で活躍してきたVTuberによって結成された歌い手グループ SODA KITから、2ndミニ・アルバム『ロングラン』が届いた。今作のテーマは、Yupsilonが長い間温めていた"群像劇"。4人それぞれが喜怒哀楽、ひとつひとつの感情を表現する楽曲の主人公となった4曲が収録されている。そしてもう1曲、すべての感情を表現した表題曲「ロングラン」は、メンバーが敬愛するFAKE TYPE.が楽曲提供! 4人の個性、それが集結したときの果てしない可能性を感じる今作について訊いた。

-昨年、1stミニ・アルバム『Formula』リリース・タイミングのインタビュー(※2023年5月号掲載)で、Yupsilonさんが"次は群像劇をやりたい"とおっしゃっていて。それが今回の『ロングラン』で結実したということでしょうか。

Yupsilon:はい、そうです。

-その群像劇が、資料にあるように"「喜怒哀楽」という4つの感情を4人のメンバーそれぞれが主人公になり物語をつむいでいく"内容となったいきさつは?

Yupsilon:『Formula』を作ったあと、僕がみんなに"次やりたいこと"を3つぐらいリストにして提示したんですよ。群像劇の中でも、喜怒哀楽を表現するとか、童話をオマージュするとか......例えば、この曲は"赤ずきんちゃん"とか。そういう提案をいくつかして、みんなに"どれやりたい?"って聞いたら"喜怒哀楽いいんじゃない?"ってなって。そこから(喜怒哀楽を4人のメンバーに当てはめて)Figaroは哀でしょ、Mugeiは怒でしょって満場一致で決まったんですけど、兄弟組(YupsilonとRasetsu)は(喜と楽の)どっちだろう? にいさまが楽じゃない? ってことで、僕は消去法で喜になりました(笑)。

Rasetsu:ほんと、そんな感じだったね(笑)。

-当初から喜、怒、哀、楽、それぞれに似合うメンバーを集めたわけじゃないのに、多少は苦労したとはいえ、よくきれいに分けられましたね。

Yupsilon:もちろん、メンバーを集めたときはそんなことは考えていなかったです(笑)。

-じゃあそれぞれ、どんな作品が完成した感触がありますか?

Yupsilon:僕は、中学生ぐらいで群像劇というものを知って、いつか何かでやってみたいと思っていたんですけど、ソロでやるっていうのは選択肢になくて。で、SODA KITを作ったときに"ここでやりたい!"と思って、今回、楽曲で100パーセントそれを表現できたと感じています。

Rasetsu:僕は楽(を表現した楽曲の主人公)なんですけど、喜怒哀楽の楽って、"未来への希望"みたいな解釈もあるらしいんです。でも今回は、そっちに重きを置くというよりは、僕の楽天的なキャラクター性が出た、根詰めて頑張っている人に"気楽に行くのも大事だぜ"っていうような楽が表現できた。これを作り上げたYupsilonはさすがだなと思います。

Yupsilon:イェーイ! ヤッター!

-お褒めの言葉が(笑)。続いてMugeiさん、いかがでしょうか。

Mugei:1stのときはいい意味でSODA KITらしさが出せて。「DRAMA」や「コンテンダー」は"行くぞ!"っていう勢いにも満ちているし。そして今回の2ndは、いい意味でSODA KITの違う一面が見られる。例えば哀の「カゲボウシ」は、今までのSODA KITにはなかった静かな曲調なんですよ。怒の「徒然論怒」も今までなかったラップ・ソング。楽の「一刀両断」はタオルを振り回せるような曲調で。1曲ごとに、違うグループと思えるような違いがまさに"群像劇"みたいで面白いなって思います。

Figaro:私は、単純な喜怒哀楽っていうよりも、複雑さがあるうえでの喜怒哀楽が表現されていると思っていて。Rasetsuさんがおっしゃっていたように、"気楽に行こうぜ"の楽とか、哀しさって言っても哀れに近いとか。そういう複雑な感情が入っていて、人間味がある作品になったと思っています。

-そんな作品のオープニングを飾るのは、FAKE TYPE.が楽曲提供した表題曲「ロングラン」です。群像劇で言うと、どんな場面をイメージして制作されたんでしょうか?

Yupsilon:FAKE TYPE.さんには、喜怒哀楽の4つの感情をすべて入れた曲にしてほしいっていうオーダーをしたんです。ほかの4曲はそれぞれ喜怒哀楽が分かれていて、Yupsilon(が主人公)の曲、Figaro(が主人公)の曲となっているんですけど、「ロングラン」は4人が主人公。MVも、それぞれの(主人公の楽曲の)MVの衣装を着ているんですよ。だからあえて衣装がバラバラなんです。4つの作品の主人公たちが集まったステージが「ロングラン」っていう。FAKE TYPE.さんもその意図を汲み取ってくれて、喜怒哀楽すべての言葉を入れてくれたり、それぞれの人間性にフォーカスするような歌詞にしてくれました。

-では、FAKE TYPE.にオファーしたいきさつというのは?

Yupsilon:群像劇シリーズが進んでいて、「カゲボウシ」、「徒然論怒」ができたあたりでオファーさせていただいたんですけど。前回『Formula』が4曲オリジナルで1曲カバー(wowaka「アンノウン・マザーグース」)だったんですけど、今回は1曲楽曲提供してもらうのはどう? って(所属レコード会社の)ポニーキャニオンの方に言われて。ぜひぜひ! っていう。やってくれるかわからないけれど、FAKE TYPE.さんはメンバーみんな好きだし、舞台がある世界観というか、抑揚がある楽曲が多いので、群像劇というテーマにもぴったりだと思って、まず僕がFAKE TYPE.さんにお手紙を書いたんですよ。"Dear FAKE TYPE.様"みたいな(笑)。

-かわいい(笑)。

Yupsilon:会ったことないのに(笑)。で、僕たちはこういう作品を作っていて、こういう意図でFAKE TYPE.さんに曲を作っていただきたいって書いて、プロデューサーさん伝いにお渡しして、オッケーをいただきました。