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INTERVIEW

Japanese

OKAMOTO'S

2023年02月号掲載

OKAMOTO'S

Member:オカモトショウ(Vo) オカモトコウキ(Gt) ハマ・オカモト(Ba) オカモトレイジ(Dr)

Interviewer:石角 友香

-そしてレイジさんプロデュースのタイトル・チューンの「Flowers」は、イントロはレイジさんらしいトラックですが、メロディが入ると意外な感じです。

レイジ:オケは俺がほとんど全部完成させた状態で、コウキに送ってメロディと歌詞をつけてもらって完成しました。

-レイジさんの中にはどんなイメージがありました? 時代感とか。

レイジ:そんなにリファレンスにしたような曲もなくて。でもコウキが歌うし、Corneliusっぽい感じになったらいいなと思って。「STAR FRUITS SURF RIDER」とか『FANTASMA』の頃ですね。

-これ、コウキさんの歌詞が何を思い出させるのだろうかと思っていたんですけど、(奥田)民生さんの「イージュー★ライダー」的なところがあって。

コウキ:たしかにそういうセクションありますよね。

ショウ:そう。あそこ俺も思った。民生節出てるなって。そこの歌詞好きです。

コウキ:THE BEATLESはJohn Lennon(Gt/Vo)参加してない曲結構あるんだよね。

ショウ:そういうことなのかな。いいんですか? John Lennonの位置いただいて(笑)。

コウキ:『Abbey Road』は半分ぐらい参加してないですよね。

-新しいことをやろうと思ったらそういうことも必要なのかもしれないですね。最初に枠組みを決めたことが功を奏して。

コウキ:そうですね。どの曲にしろそうなんですけど、全員で関わるって決めると気を使い合っちゃうというか。でもひとりが責任を負うということだと、例えばめちゃくちゃな展開でも、"いや、これは俺の担当の曲だからこれやりたいんです"って主張できる点が良かったなと思います。

-レイジさんはこの曲に関してはプロデューサー視点だと何を一番大事にしたんですか?

レイジ:コウキに提供するオケみたいな感覚で作ったんで、あんまりそういうの考えてなくて。でも、さっき話してて気づいたんですけど、キーの確認とかもまったくせずでした。「Last Number」もそうだし「Flowers」もそうなんですけど、ほんとにこのプロジェクトに対しては1種類ずつしか作ってないんですよね。でもすんなりハマったし、10年以上一緒にやってるから一発でハマったんだろうなって感じがしました。

ショウ:精度が高いよね。

-そしてハマさんプロデュースの「いつも、エンドレス」。どんなテーマだったのか、興味深いです。

ハマ:例えば80年代の洋楽をどっかしらトレースはしたいなと思いつつ、ポップ・シーンにあったちょっとダンサブルな歌謡曲っていうほどいなたくもないですけど、いわゆるポップスのテンションみたいなのはテーマですかね。なので、リファレンスの曲とかはいくつか共有して、音作りとか構成とかそういったものは結構細かくやったって感じです。

-シティ・ポップよりもうちょっと濃厚な、どっちかというと歌謡曲の中にあった要素かなと。

ハマ:そうです。あとから"この曲もじゃない?"みたいなふうに発掘される感じ。

-聴く人によっては全然捉え方が変わりそうな気がするんですけど。

ハマ:うんうん。レア・グルーヴ系です。あとは出し惜しみをせずに、そんな曲調や演奏はやったほうがいいだろうなと思いましたし、他のメンバーのコラボレーションではそういうプレイをする曲が出なさそうだなって勝手に感じたので、自分が関わる曲で担保しようかなとは考えてましたね。

-コウキさんとの共作ですけど、大枠はハマさんが作って?

ハマ:土台はコウキさんです。逆にニュアンスを伝えたという感じですかね。

コウキ:コンセプトを立ててもらって、それに従って肉づけしてって感じでしたね。ただふたりとも共通して結構好きなものがこの4人の中だと多いかもしれない。歌謡曲とかAORみたいなのをふたりで作るんだったら、そうやったほうが面白いなぁって思ったんで。

-歌詞のテーマも曲調にハマってるし。

コウキ:そうですね。それもそういう80年代の職業作家の人が作ってるような年代感とか。でも最初"フィルム"とか、もっと80年代っぽいところに引っ張られたワードをわざと入れてたんですけど、そうするとちょっとフェチっぽくなるなと思って、ニュアンスは残しつつも現代でも通用するようにっていうところは、あとで変えたかもしれないですね。

ハマ:CMとかラジオ乗りがいいっていうのも結構意識したかもしれない。現代のラジオでかかる曲で、ボーっと聴いてたときに"誰?"みたいにななるのはいいなと思って。

コウキ:こういう曲の歌詞を書くとき、一番イマサさん(いまみちともたか/BARBEE BOYS)に影響を受けてますね(笑)。BARBEE BOYSというか。曲調もそうですけど。

-ショウさんはパーカッションのみでの参加で。

ショウ:楽しいです、非常に。

レイジ:パーカッション、めちゃくちゃうまいんですよ。

-ライヴに期待します(笑)。そして「オドロボ」はタイトルに驚きましたね。

ショウ:思いますよね(笑)。近年のオカモトショウにはあんまりないエッセンスだったんですよ。最初に書いてたやつは内容のコアの部分は近いんだけど、もう1歩ユーモアが足りないような感じだったんです。そこでハマ君と話して、"あ、ハマ君的にはそんぐらい砕けちゃっていいんだ"みたいなのがあって、俺には結構意外な点でもありつつ、そのもっと砕くってのをやっていったときに、"オドロボ"っていうのも出てきて、そこで一気に歌詞が出てきましたね。

ハマ:たぶんショウさんのSF好きが出てるんだと思いますよ。ディストピア感が。

ショウ:あるよね。ロビタ、"火の鳥(復活編)"から始まる感じ。

ハマ:これも結果論ですが、言い方あれですけど、他の曲がきちんとした作詞なので「オドロボ」はそのいい抜け感があるというか。たぶんもともと作った曲の全体的な流れに、ちゃんと"ポップスにしよう"っていう展開があったんで、別にAとかBとかサビとかじゃなくてもいいみたいな話を最初にして。結果、アルバムの中だといいクッションみたいになってますよね。ひたすら16(ビート)が鳴る、TALKING HEADSみたいにしようというのもあったので、聴いてたら流れるように展開していって、みたいなのとその詞の世界観は結構合ってるのかなって感じです。結果これが録ってみて一番劇的にカッコ良くなったみたいな印象があったかな。もともとカッコ良かったけど、録り音の効果でさらに説得力のある曲になりますよね。

-歌詞のシリアスさとロマンチックな感じはまさにショウさんって気がしますけど、タイトルは"オドロボ"という(笑)。

ハマ:ラジオで"ドロボウ"だと思った人がいっぱいた。

ショウ:たしかに。"大泥棒"。

-そういうところで抜けの良さを感じますね。

ショウ:ちょっとナンセンス系入ってますよね。