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INTERVIEW

Japanese

OKAMOTO'S

2023年02月号掲載

OKAMOTO'S

Member:オカモトショウ(Vo) オカモトコウキ(Gt) ハマ・オカモト(Ba) オカモトレイジ(Dr)

Interviewer:石角 友香

OKAMOTO'Sほど海外の尖った音楽トレンドとルーツを並行しつつ、日本で今ロック・バンドがどんな音を鳴らすべきか? をシリアスに考えてきたバンドは実は珍しい。音楽に造詣が深いがゆえの生真面目さの極地が前作『KNO WHERE』だとしたら、初めてのメンバー・コラボである今作『Flowers』はいい意味でメンバー個々の趣味や嗜好を全開にした楽しい作品だ。長尺のロック・オペラもあれば、90年代UKロックの雄を彷彿させる曲もある。だが、彼らほどいい音、カッコいい音でプレイできるか? といえば同世代でそんなバンドはいない。ここに至る経緯をメンバー全員インタビューで探ってみた。

-前作『KNO WHERE』(2021年リリースのアルバム)のツアー([OKAMOTO'S LIVE TOUR 2021"KNO WHERE"])後、バンド的には別に次のリリースは急がなくてもいいのかなみたいなって感じだったんですか?

ハマ:前作ではリリースを毎月のようにやって最後の着地がアルバムだったんで、制作に関してはそんなにまたすぐ次って空気ではなかったというか。(アルバムが)結構大変だったんで。

ショウ:曲数も多かったしね。

ハマ:自分らでやりたいって言ったんで全然苦じゃなかったですけど、そういったこともあるんで期間が空くのは必然の流れでした。

-"次やるならなんだろう?"ということはいつ頃どんなきっかけで浮上してきたんですか?

コウキ:メンバー・コラボというふうに銘打つのは最初から決まってたわけじゃないんですけど、この制作方法やりたいねって話は結構前からあって。それぞれ個性も嗜好もバラバラの4人なので、すり合わせていくっていうより、4人が好き勝手やったら面白いんじゃないかなという話は前からあったんです。『KNO WHERE』が結構根詰めてふたり(ショウとコウキ)で曲を作った大ボリュームのアルバムだったんで、次やるんだったらやり方をガラッと変えてもいいんじゃないかなってところから、EPはそういう制作方法にしようというふうな話し合いがありましたね。

-"初のメンバー・コラボレーション・アルバム"って、どうとでも受け取れる......。

ショウ:マジでそうなんです(笑)。

レイジ:バンド組んでる時点でコラボレーションしてるからね。

ショウ:この呼び名については面白半分も込みで、あとあと言い始めたことで。4人それぞれがイニシアチブを別で取って、そこにそれぞれのカラーが出るっていうこと自体、OKAMOTO'Sだったら他以上に面白くできる気はしてたし、メンバー内コラボレーションに新鮮さも含めた勝機みたいなのを、ちょっと感じてた部分はありますね。

-前作でショウさんとコウキさんで曲を聴くようになって、そこからの発展っていう部分もあったんですか?

ショウ:たしかにね。そもそもこのふたりもバラバラに書いてた時期が長く続いてて、初めて一緒に作り始めて。いい面も悪い面も結構あって、いい面としてはふたりでできるようになったことがそもそも、結構大人になったねって感じだったんです。それぞれのエゴがようやく成仏してきて、ふたりでやってて楽しいみたいな。でもふたりでやっちゃうと、バンドの半分の魂がすでにこもった状態のデモになっちゃうっていうか、バランスがちょっと歪なときがあって。それで4人の色がもっと出るといいなぁっていうのもあったんですよね。でも立ち返るとふたりで作り始めたのがあってここに繋がってはいる。

-『KNO WHERE』はラストの1曲以外はマイナー・チューンで、いろんなことに挑戦されてはいるけど、感触としてOKAMOTO'Sの真面目さや真剣さがすごく出てたアルバムな気がするし。

コウキ:基本音源の上では真剣だなぁっていう感じがします。まぁ『BOY』(2019年リリース)もそんなアルバムでしたし、『NO MORE MUSIC』(2017年リリース)もそうでしたし、『OPERA』(2015年リリース)もそうでしょ。ツアーをやることになって聴き返したらマジでずっと暗くて。外面でうまいことコーティングされてますけど、音源は暗い。

-その切実さというか、Z世代より上だし上の世代とも違う、みなさんの世代が担わないといけない世代感がここ数作には出てたんだなと思います。

ショウ:結構長いこと背負ってるものがありましたよ(笑)。

-それがフルに出たのが前回のアルバムだったのかなと思うし。

ショウ:そう。出し切りましたね。

-だから今回はメンバー同士でコラボすることで、ちょっと笑えるぐらい"この曲ってあれ(リファレンス)だよね"みたいな、肩の力が抜けた部分が出せたんですかね。

ショウ:今回は全体のバランスを俯瞰して見た人はひとりもいなくて、全員バラバラで曲を出してったので、どういう絵になるかは出揃って初めてわかるみたいな。自分が担当している範囲ってのは決まってるけど、それ以外のところのバランスがわからないまんま担当した感じだったんで、"あ、この曲あれだね"みたいなのも狙いを定めておらず、好きすぎて勝手にそうなってるだけみたいな感じです。でもわかりやすいですよね。前まではそこに気を使って"オリジナリティとは何か"とか、"この時代にこのフォーマットで、ロック・バンドで何を鳴らすか"とかすごく考えてたんですけど、今回そこはマジでどうでもいいって感じで(笑)。1周回って"好きだったらいいよね"みたいな明るい気持ちで作ってました。

-作詞作曲者とその曲を誰がプロデュースするっていうのを決めて取り掛かったんですか?

レイジ:まずはね。1(人)×1(曲)で6パターン、全員1曲ずつやろうって感じですね。

ショウ:枠を先に作ってから、じゃあそこに曲をはめていきましょうっていう感じでしたね。

-この方法は新しいOKAMOTO'Sのわかりやすい見取り図ですよ。

ショウ:うん。トークでは4人のキャラみたいなのを出せてるときが多いんですけど、音楽的には実は見えにくいのかなと思って。レイジが言ってたんですが、タイトルを"Flowers"にした意味も、4人で1本の花を今まで表現してたけど、今回はそれぞれ1本ずつ花を持ち寄って花束にしましたっていう。4人のキャラが"ここまで立つか"というぐらいちゃんと立ってるんで、今回は音楽からキャラが伝わってくる感じしますよね。

-"Flowers"の意味はレイジさん発案なんですか?

レイジ:そうです。そんなコンセプトでタイトルを付けたっていうより、後づけっちゃ後づけなんですけど。「Flowers」って曲ができて、そのワードいいなぁと思ってタイトルにすんのはいいけど、どんな理由にしようと思ったときに、無理なくひもづけられたというか。

-なるほど。組み合わせも含め、特徴的な曲ばかりなんで、全曲についてお聞きしていきます。まず「Gimme Some Truth」。これは大転換しますね。

コウキ:大転換ですね。ロック・オペラ的な。

ショウ:初めは頭の1コーラスだけがあって、普通にいい曲だったんですよ(笑)。で、コウキさんちで"展開どうしよう"とやってるうちに、めちゃめちゃなほうにブワーッとふたりで突っ走って、結局これができあがって"いいねいいね"って言って家帰って。で何日か置いて聴き返して、"コウキさん、ちょっとこれやりすぎかも"みたいなことを話して、"俺もとの感じのいい曲というだけのバージョンもちょっと作ってみていい?"って一応やったんだけど、物足りなかったんです。普段コウキさんは、強く推すことはないんだけど、"このバージョンもあったってあとからこの曲に対して思うのがもう無理"みたいな感じで。"これは今のがめっちゃいいからこれで行くべきだと思う"みたいに珍しく推してんなとも思ったし、たしかに普通のバージョンを作って物足りなかったから、今は1曲にOKAMOTO'Sらしさが詰まった状態がやっぱいいんだね、と思いました。

-曲調じゃなくて、例えばくるりにおける「ばらの花」のような、みんながそのバンドで知ってる曲、みたいなニュアンスをちょっと感じました。

ショウ:ほぉ。めっちゃ嬉しい。

-そのバンドが持つ普遍性というか。

ショウ:それは最終的にこの展開で落ち着いたので俺もちょっと感じたし、見いだして。通常のバンドの曲だったらこんなふうにしないのは知ってるんだけど、OKAMOTO'SはこれぐらいやることによってOKAMOTO'Sの普遍さが出るっていうか。だし、「Bohemian Rhapsody」(QUEEN)って、音楽の知識がないときにはそんなに変な曲だと思ってなかったんですよね。普通にわかりやすい曲だと思って聴いてたっていうか。いろいろわかってくると"なんて不思議な曲なんだろう"ってなるんだけど。だからそういう意味での音楽好きである部分を1回捨てて考えたとき、これはOKAMOTO'Sのポップスとして一番機能してるんじゃないかと思いました。

コウキ:こういう演奏が得意だなって思いましたね。生き生きとした感じが出てて、クリックも途中までしか出してなくて、あとはそのままライヴ演奏したのが収録されているんですけど、そのままパッケージングする感じもなかったなと感じて。もっとやったほうがいいなと思いましたね。