Japanese
OKAMOTO'S
Skream! マガジン 2016年12月号掲載
2016.10.29 @日比谷野外大音楽堂
Writer 石角 友香
自分たちは今のトレンドから見たらマイノリティだ。だが、自分たちのセンスを、音楽を最も好んで愛してくれるミュージック・ラヴァーが納得する、マイノリティのトップとして最強のロックンロールを作るぜ――シングル『BROTHER』の自由すぎて笑いすら出る作風と、そのときの4人の肩の力の抜けた様子を見ていい予感しかなかったのだが、今回のキャリア史上初の47都道府県ツアーは、その確信を実在する対象とともに実証する旅になった。というか、その確信を実証する新曲「ROCKY」もツアーの最中に配信リリースし、"死ぬまでこの4人で音を鳴らし続ける"という意思を示した。それは暑苦しい覚悟でも、ロック・バンドの常套句でもない。音楽的には「BROTHER」以上に自由な構成で、アンセミックな日本語詞と苦悩も含む独白めいた英語詞が交錯する、そのあまりにも正直な曲をツアー中にドロップする今のOKAMOTO'Sのライヴに力がないわけがない。
オーセンティックなレゲエやジャズが開場BGMで流れる中、なんとオープニング・ナレーションは小林克也という、テレビ・ショーを思わせる演出に気分が高揚。強力な光量のブルーのバックライトの中に登場した4人は、グッとタフになった初期ナンバー「青い天国」で冒頭から野音3,000人のオーディエンスをバウンドさせ、立て続けに「JOY JOY JOY」を演奏しジャンプをやめさせない。
"新宿からやって来ました、OKAMOTO'Sです! 叫べ、東京、いいね!"とオカモトショウ(Vo)が最初のMCをするなり、早くも最新シングル曲「BROTHER」へ。キラー・チューンの連発だ。地メロでのショウの英語詞の攻撃性、ロックにファンクにヒップホップにと自由に往来する曲調を立体化するオカモトコウキ(Gt)、ハマ・オカモト(Ba)、オカモトレイジ(Dr)の1音1音の説得力が半端ない。いきなりライヴのハイライトが到来した印象だ。続いてショウのラップとハマのべース・ラインで歓声が上がった「うまくやれ」では、ハンドクラップの応酬がショウの指示なしでも"1タイム! 2タイム!"と見事に決まり、"東京、もっとファンキーなとこ見せてください!"とショウが煽ると、9タイム・クラップもヒップホップ・マナーなコールも野音が一体となって楽しむ空気が充満していく。どうしても音が拡散しがちな野外で、ここまでタイトで粘っこいグルーヴを共有させる演奏力に改めて感服。冒頭から洋邦混交フェスのデカいステージのライヴを見ているような感覚にとらわれたのだが、OKAMOTO'Sの場合、大きなグルーヴのみならず、リフやカッティングの端正なキメが心地よさを作り出していることが、野外というシチュエーションで逆によくわかった。
そんなある種"フジロックのグリーンステージ"のようなスケールをいぶし銀のおっさんスレスレの技巧と、相対してやんちゃさも交ざるミクスチャー寄りのハード・ロックで、ドラマチックに、時にカオティックにプレイしきった「Lagoon」の濃厚さは個人的なピーク・ポイントだった。ショウが自分自身のアイデンティティに関する思いを変にまとめずに勢いよく書き切った歌詞が、ノイジーなエフェクトをかませたヴォーカルやシャウトを織り交ぜて放たれるリアリティ。感情を発端に、意志の力で放った彼の言葉がアンサンブルにも及ぼしたパワー、特にロック・バンドのギター・ソロらしいソロをエンディングで弾き倒したコウキに、めちゃくちゃ前向きな変化を見た気がする。続けて惜しげもなくどこかDavid Bowieの「Let's Dance」を想起させるダンサブルな新曲「Burning Love」もプレイ。ショウのアルト・ヴォイスもセクシーだ。
また、オーセンティックな名曲「ラブソング」が、以前のOKAMOTO'Sにあった"ルーツを知っていていい曲だけど、優等生すぎないか?"という印象を完全に忘れる"いい曲をいい演奏で楽しむ満たされる感じ"に転化していたのも感動的。今のバンドの状態の良さやスタンスがモロに選曲に反映している。
息を呑むライヴ・バンドの実力をこれまで以上に堪能させつつ、MCのタームに入ると相変わらずのゆるさ。ただし、47都道府県ツアーという初めての経験でさすがにバンドに亀裂が? という場面も想定しつつ、"仲悪くなんなかったよね"という妙に突き放したレイジの物言いが逆に幼馴染みの4人を浮き彫りにしていたり、"ひたすら各地でレコード掘っちゃ、みんなで聴いて"というショウ。"音楽に助けられたよね、それをお届けしたいよね"というコウキ。その様子に"素直さがダダ漏れなんだよ、コウキさん"とハマが突っ込むという、各自のキャラが出たうえ、初の47都道府県ツアーの感慨がおのずと滲み出ていた。
柔らかなムードのなか披露された「エキストラ」は、アルバム『OPERA』収録曲で地味といえば地味な、しかしこのアルバム、ひいては人間の普遍的なテーマである、"俺を誰かの物語の主人公にしてくれ"というリリックがオーディエンスの内側に響いているようにみえて、胸の奥が熱くなった。続く、コウキのヴォーカル・ナンバー2曲も夜を迎えた東京にぴったりなシティ感。特に「なんかホーリー」でのコウキのファンキーなカッティングとリズム隊のタイトさに、Nile Rodgers的なものを軽快に消化するOKAMOTO'Sのセンスを確実に体感した。
グルーヴとリフの歴史をナマで一望するような至福に、さらに新たなエレメントをぶっこむように、レイジの人力ブレイクスの如き、鋭くしなやかなキック&スネアが痛快な「Beek」、ブルージーなブギーの真骨頂「まじないの唄」では、曲中にショウが"このロング・ツアーの中で見つけた答えは死ぬまで4人で音楽すること。みんなにもついてきてほしいけど、そのためにはもっと大きくなんなきゃダメなんだ"とMCを挟み、ソロ回しも挟み、高祖James Brownフレイバーのインストも挟んでグッと底上げされたこの初期からのナンバーが後半のハイライト。これが本編ラストでもおかしくない意思表明が演奏に込められていたが、やはり最後は、ここにきて心から笑えるようになった証のように、また満場の野音の情景を祝福するように「Beautiful Days」が満たしていく様はまさにビューティフル。交響曲のようなエンディングはロング・ツアーのファイナル、本編のラストに涙が出るほど相応しかった。
早々にアンコールで登場し、いきなり新曲「ROCKY」を演奏するバンドの潔さ。早くも曲が浸透していることがわかるファンのリアクションも素晴らしく、どこにも魔法なんてないからこうして踊ってるんじゃないのか? という、今のOKAMOTO'Sのゼロ地点にして、そこから現状を突破しようとするメルクマール的な1曲「Dance With You」で、この長い旅は終わりと同時にスタートを切ったようにみえた。
ハマがツアー中に急いで制作したというEP『BL-EP』を12月21日にリリースすることを告知。しかも配信とアナログのみのリリース形態であることに、どこまでも広く伝えることと、コアなファンや音楽好きにも魅力的なアイテムを届けることの意味を感じ、彼らに対する信頼をさらに厚くした。しかもフィーチャリング・アーティストにレイジがディレクションしている同世代のヒップホップ・クルー、KANDYTOWNの呂布とMUDが参加してる......こりゃ一周してOKAMOTO'Sはいろんなものをインクルードしてきたぞ、とニヤつきながら野音をあとにしたのだった。
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