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INTERVIEW

Japanese

門脇更紗

2022年08月号掲載

門脇更紗

インタビュアー:石角 友香

昨年3月にリリースしたメジャー・デビュー曲「トリハダ」以降も、「わすれものをしないように」や「きれいだ」などタイアップ楽曲のリリースが続き、また、wacciの橋口洋平が彼らしい切り口の歌詞を手掛けた「私にして」で、初めて提供された歌詞で歌ったりと、表現の幅を広げてきた門脇更紗。徐々に有観客のライヴの現場も戻り、シンガー・ソングライターとしての本来の活動も軌道に乗るなかでのメジャー1stアルバム『ファウンテンブルーに染まって』は、最新の彼女であり、またこれまでの集大成でもある。アルバムを完成させ、次の1歩を踏み出す今について話してもらった。


"頑張れ以上の言葉があるなら/想いをちゃんと伝えられるのに"っていう歌詞は、 中学校を卒業するときに友達がくれたお手紙にあった言葉からなんです


-メジャー1stフル・アルバムでもあるんですが、インディーズ時代のアルバム『雨の跡』から3年近く(※取材は2022年6月下旬)......。

うんうん。経ってます。

-門脇さんにとってアルバムってどういうものですか?

2枚目だし、メジャー・デビューしてから初めてのCDでもあるので、手に取れる音楽っていう形にできてすごく嬉しいなぁと素直に思います。

-アルバムに至るまでにお客さんがいらっしゃるライヴも復活してきて?

そうですね。最初は無観客でワンマン・ライヴをやったり、配信でライヴをやったりが続いてたんですけど、徐々にお客さんも入れて、ちょっと復活してきたなぁっていうのは最近より思ってます。当たり前だったのに、今それが戻ってきて、"あ、これがライヴだよな"って改めて思いながらライヴしてますね。

-すでに配信されている楽曲の中にもバラエティがあって。「トリハダ」以降も「わすれものをしないように」、「きれいだ」、「わたしが好き」、「私にして」、あとはアルバム楽曲ですね。

そうですね。「わすれものをしないように」とか前にリリースしてる曲の中で、特に思い入れのあるものをこのアルバムに入れた感じです。

-門脇さんの歌詞はもともと通りいっぺんでない印象を以前から持ってきましたが、今回さらにフックがあるなぁって。

ありがとうございます。

-ブラッシュアップされたんじゃないかと。そのあたりはいかがですか。楽曲によってはいしわたり淳治さんがアドバイザー的に参加していますね。

そうですね。アドバイスをいただいて。私が書いた言葉をベースに"もうちょっとこうしたほうがいいんじゃない?"とかアドバイスを貰いながらできたので、自分が持ってない引き出しみたいなものを増やしていただいてっていうのもあって、ブラッシュアップできたのかなと思います。

-いしわたり淳治さんが歌詞のプロデュースをしてる曲は、「わすれものをしないように」や......。

「きれいだ」もそうですね。

-すごく印象的です。「わすれものをしないように」は、より伝えたいことが伝わるようになったなっていう部分はありますか?

はい。昨日とか明日とかを考えすぎずに、今起きている幸せとか小さな幸せとかを見逃さないように過ごしたいっていうのを軸に、楽曲を作りたいなぁと思っているので。その中でもこの曲は強くそれが出てるんじゃないかなと思います。

-何を忘れないようにするのかなって思ったら、"明日のことばかり考えて"という。

そうですね。今っていうところに大切なものを忘れないようにっていう思いを込めてます。

-歌詞の前後の繋がりが"あぁ、なるほど"と。それがいいですよね。「きれいだ」もタイトルからしてインパクトがあって。門脇さんのタイトルってわりと覚えやすいタイトルですね。

ありがとうございます!

-これもど真ん中っていう感じがしました。

うん。シンプルだけど。そうですね。

-この歌詞も素晴らしいです。切ないとかじゃない表現じゃないですか。

うんうん。Aメロからこの曲を書いていったんですけど、この"頑張れ以上の言葉があるなら/想いをちゃんと伝えられるのに"っていう言葉から書いて。これは私が中学校を卒業するタイミングの曲で、そのときにはもうオーディションとか受けてたので、周りの友達に私が音楽活動をやってることも結構知れ渡っていたんです。で、仲良かった女の子の友達が中学校を卒業するときにお手紙をくれて。そのお手紙の中で"今は頑張れ以上の言葉が見つからないけど、頑張れ以上の言葉が見つかったら更紗ちゃんに一番最初に伝えるね"っていう言葉をくれたんです。その言葉が何年経っても忘れられなくて。人生で貰った言葉の中で上位なぐらい響いてる言葉なんです。で、この楽曲は初めてアニメ・タイアップ曲(TVアニメ"セスタス -The Roman Fighter-"エンディング・テーマ)として作り上げたんですけど、主人公のセスタスをどうやって応援しようかなって思ったときに、自分が応援してもらったときに貰った言葉で一番嬉しかった言葉を思い出したんですよ。同じような言葉をセスタスにも掛けてあげたいなと思って、その言葉を広げていったっていうのをきっかけにできた曲です。

-友達が言ってた"頑張れ以上の言葉が見つかったら"っていうのは、要は門脇さんもそう思っていたってことですよね。

うんうん。

-そのときにすでにきっかけがあったという。でもその頑張れ以上の言葉を今回かなり書けてるんじゃないですか?

(笑)良かった。

-特にご自分で気に入ってらっしゃるとこってありますか?

2番の"思い出す幼い日のわがままな泣き顔/忘れそうで恋しくて少し会いたいの"っていうところは、あとから思ったんですけど、両親が子供に思うような気持ちなのかなと。私はひとりっ子で愛情いっぱいに家族に育ててもらえたなって、ありがたい記憶がすごくたくさんあるので。でもそのなかで上京とか、頑張る姿っていうのを両親はたぶんたくさん見てくれてるんです。で、たぶんそれは嬉しい面もあったり、ちょっと遠くに行って寂しい思いをさせてしまったりもしてるので。両親の気持ちをここで書けたような気もしています。

-この"悲しくて寂しくてとても嬉しいの"の"嬉しいの"は、たしかに親の目線かもしれない。

うんうん(笑)。

-そして以前からお馴染みのアレンジャーさんが今回も入っていて、この曲と「わたしが好き」はSasanomalyさんですけど、アレンジがハマってますね。

ササノ(Sasanomaly)さんのアレンジはすっごいトラック数を使ってるらしくて、でもその中でも、声が埋もれないので、相性がいいみたいなことをササノさんも言ってくださって。素敵なアレンジをしていただきました。

-「きれいだ」は比較的エレクトロニックな感じですけど、「わたしが好き」は若干オーガニックな部分もあって。この曲はもう全世代に響くんじゃないでしょうか。

ありがとうございます。(笑)

-門脇さんの世代よりも上の女性も同じようなこと思うんじゃないですか?

会社帰りのOLさんとかを想像して書いたりしました。

-東京でひとり暮らしに慣れてる感じがします。

良かったです(笑)。たしかに作った時期もたぶん慣れてきたぐらいだったと思うので。「東京は」との差別化が結構できてるかもしれないです。

-1曲目の「スコール」はアレンジャーさんというかチームがまた違いますが、これを1曲目にした理由はありますか。

これは周りのスタッフさんのご意見もあって、この曲を推していこうよと言ってくださったので、ぜひって感じだったんですけど。結構前に作ってて。アレンジもレコーディングも実は最初にしてて、でもリリースには至ってなくてっていう感じだったんで、今回もう1回レコーディングし直したんです。レコーディングし直すのにもう1回歌ったときに、そのときたぶんすごく焦ってたり、ギリギリだったり、戻れないけど前にも思うように進めないっていう、生ぬるいような期間にいたんだろうなぁって、自分の気持ちみたいなのをすごく思い出しました。

-シンガー・ソングライターらしい楽曲でもあるし。

うんうん。嬉しいです。

-"謙虚な努力と見えそうな限界"っていうのがなんかもやってた感じですか?

もやってた心情が出てます(笑)。