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INTERVIEW

Japanese

I Don't Like Mondays.

2020年10月号掲載

I Don't Like Mondays.

Member:YU(Vo) CHOJI(Gt) KENJI(Ba) SHUKI(Dr)

Interviewer:TAISHI IWAMI

I Don't Like Mondays.が2020年8月から5ヶ月連続でシングルを配信リリースすることを発表。その皮切りとなった「モンスター」は、持ち前の多彩な魅力を更新するファンキーでレトロ・スペイシーなディスコ。しかしそんな新しいサウンドのチャンネル以上に驚いたのは歌詞の世界観だ。今までのどちらかと言えば陽のイメージを一蹴する、荒廃したディストピアが突如出現。続く第2弾の「MR.CLEVER」もまた、彼ららしいスムースなポップかと思いきや、トラップの要素が顔を出すオリジナルなミクスチャー感覚に、己のしたたかさを曝け出すようなポジティヴともネガティヴとも煮え切らない歌詞が乗る。そして両曲共に圧倒的にカッコいい。I Don't Like Mondays.にいったい何があったのだろうか。

-まず8月の「モンスター」から始まり今回の「MR.CLEVER」、そして年末まで、5ヶ月連続でシングルをリリースするということですが、7月にリリースした「Sunflower」を含めて6ヶ月連続ではないんですか?

YU:2019年にリリースしたアルバム『FUTURE』は、エイベックスに移籍した第1弾のアルバムということもあって、例えばヒップホップや70年代のソウルなど、それまでダイレクトに出してこなかったバックグラウンドを前面に持ってきたり、既発曲をリアレンジしたりしたことで、リニューアルしたI Don't Like Mondays.をわかりやすく提示できたように思います。そのあとに回った全国ツアー(["F U T U R E" TOUR])も、みなさんのおかげで無事成功を収めることができました。そのうえで、2020年の方向性を考えたときに、いい前例に倣って活動を続けるのではなく、バンドとして常に新しいことにトライしてきた姿勢のまま進むことが、I Don't Like Mondays.らしさなんじゃないかと思ったんです。まぁ、単に飽き性なだけでもあるんですけど(笑)。その気持ちの表れが、「Sunflower」であり、「モンスター」と「MR.CLEVER」を含めた計5ヶ月連続のシングルなんですけど、「Sunflower」がこの企画に入っていないのは、簡単に言えば新しい試みとしてフォーカスした部分がサウンドなのか歌詞なのか、ということですね。

-"サウンド"か"歌詞"か、とはどういうことですか?

YU:今までは4人で作ったサウンドを中心に据えて、そこにうまくハマる言葉を選んで歌詞にしてきました。でも今はそうではなくて、多少歪でも、思ったことを言葉にしています。それが今回の5ヶ月連続シングルのどの曲にも言えること。「Sunflower」も歌詞が変化していく過程の曲ではあるんですけど、どちらかと言えばサウンド中心の延長線上で、僕らが大好きなニューヨークのバンド、GREAT GOOD FINE OKさんと共に制作しました。アレンジからがっつり外部の人たちと作っていくことは、僕らにとってはトライでしたし、結果すごくいい曲になったと思います。

-「Sunflower」は、AORの香りがする鍵盤のフレーズや音色、サビでヴォーカルの音程が下がる転調など、さりげないながらも思い切ったアプロ―チが興味深い曲でした。

SHUKI:AORはキーワードにありました。サビでヴォーカルが下にいくのは僕らも想定外だったんですけど、何パターンかあった中でミックスのときにそっちのほうがいいなって。そういう選択する楽しさは、キャリアを重ねると共に楽しくなってきていますね。

-そして「モンスター」以降は、サウンド面に磨きをかけることはもちろんだと思うのですが、とりわけ歌詞のベクトルを意識的に変えた。

YU:最初に話したことと重複しますけど、バンドとして新しいことにトライしたいという気持ち、飽き性なんで自分で自分に刺激を与え続けてモチベーションを保っている性格、そこに年齢的なことなのか、それを人間的な成長と言うのかはわからないですけど、サウンドに寄り添った言葉じゃなくて、もっと内側にある感情を吐露したいと思うようになったことが重なったんです。そして、そんなモードに移っていった矢先、新型コロナウイルスのパンデミックがあって、さらに緊急事態宣言も出たことで、多くの人々が自分自身と向き合う時間が長くなりました。僕も例外ではなくずっと家にいるなかで、そこで言葉の重要性について改めて考え直して、思っていたことを実行するのは今だと思いました。その象徴が今回リリースした「MR.CLEVER」です。これが"2020年のI Don't Like Mondays."だと言っても過言ではない曲で、僕はそれを進化だと思っています。

KENJI:うん、「MR.CLEVER」が大きな起点になっていることは間違いないね。YUが日本語で、心の奥にあるどす黒いじゃないですけど、そういうものまでも曝け出して歌いたいと思っていたことはわかっていたし、そんな歌詞に光を当てながら、I Don't Like Mondays.らしいサウンドやグルーヴ感もキープすることができた曲だと思います。

-KENJIさんのベースとSHUKIさんのドラム、リズム・セクションの観点からはどんな変化がありましたか? この曲に限ったことではありませんが、特に近年は、打ち込みと生音がシームレスになってより豊かなグルーヴを生み出しているように思います。

SHUKI:僕はもともと生ドラムだけのバンドにいて、I Don't Like Mondays.を結成してから、ダンス・ミュージックや新しいポップスの要素、すなわち打ち込みのリズムも積極的に採り入れるようになったので、当初は生ドラムと打ち込みを分けて考えながら、曲に合うサウンドを作っていくような感覚だったんですけど、おっしゃったように、今はもうそこがシームレスになっていますし、それがサウンドにも出ていると思います。どっちがどっちとか、そういうことを考えずに感覚的にやれていますね。KENJIもそうだよね?

KENJI:そうだね。生楽器のプレイヤーとしてどうこうではなく、どんな音なら曲がよく聴こえるかということだけに集中して音を選べるようになったと思う。

SHUKI:そのうえで「MR.CLEVER」は、ミックスも終わった最終段階まで、歌がもっと生きるためのサウンドの抜き差しを細かくチェックしました。

-ギターはどうですか? サウンドスケープを演出するサウンドのバリエーションという意味では、シンセはギターよりも選択肢が多い。ギター的な音もその中に含まれてしまいますから、生のギタリスト然としたサウンドは居場所が難しくなりますよね?

CHOJI:すべての曲でギターらしいギターを鳴らす場所を作ろうとすると窮屈になりますし、打ち込みも駆使していい曲を作ろうとしている趣旨からずれてしまうことも出てきます。僕はロック畑から出たギタリストなので、そのことで悩んでいた時期もたしかにありました。でも、僕らはあくまでバンドなんで、ライヴになればメンバーそれぞれがプレイヤーとしての力を発揮できる。じゃあ音源はどうするのか。特に近年は、ギターのない音楽や、それこそクラシックの和音まで、いろんな音楽を聴いて試行錯誤した結果を反映させることが、すごく楽しくなってきました。

-I Don't Like Mondays.にいたからこそ、可能性が広がったんですね。

CHOJI:はい。あとは前のアルバム『FUTURE』で、ちょっと毒があってうねうねする感情的なギターがずっと鳴っている「AITAI」が、思いのほかウケたことも大きくて、もっと思いのまま直感的に弾くのもありなんだなって、思えたんです。だから今はすごくいいバランス感覚で制作できています。

YU:「AITAI」は歌詞の変化においても重要な曲で、今回のリリースで自分の内面を曝け出すようになった序章なんですよね。そのおかげで"もう自分を曝け出すぞ"って振り切ったのが第1弾の「モンスター」で、さらに自分の内側の深い部分に迫ったのが今回リリースした「MR.CLEVER」なんです。

-「モンスター」の冒頭、"この街には「欲望」と言う名の/得体の知れない 魔物が住んでる"というフレーズ、レトロ・センテンスというか、ベタというか、一発で掴まれました。

KENJI:すごいですよね。僕もびっくりしました。

YU:自分の内面を曝け出したのが「MR.CLEVER」だとすれば、「モンスター」は"解体"なんです。"ベタ"とおっしゃいましたけど本当にそうで、この歌詞自体がダサいとかじゃなくて、僕自身が"はい、ダサいです"とはっきり言えるようになったというか。だから、歌詞についてはいつもメンバーに見てもらって意見を聞くんですけど、この曲ばかりは欲望をテーマにして完全に任せてくれって、思うままに綴った言葉のエッジをそのまま残しました。

SHUKI:今までは言葉のハマり方を重視して意見交換していましたけど、もう最初に作ったメロディも壊してもらっていいよって、完全に任せましたね。

YU:「MR.CLEVER」が今のI Don't Like Mondays.を象徴する曲だと言いましたけど、「モンスター」を1発目にした理由はそういうことなんです。「Sunflower」から「MR.CLEVER」だと、どっちも曲調が柔らかいからあまり変わった印象がないんですよね。「モンスター」は曲調も情熱的だし今までの自分をここでぶっ壊したんだって、はっきりと示すことができると思いました。

CHOJI:僕は、ファンキーで跳ねた曲調に合わせて絶対に英語の歌詞を乗せてくると思ってたんです。そうしたら、こんな奇妙なフィクションみたいな歌詞がきてびっくりしました。全体的にも映画みたいな世界観で、サビで画が見えるんですよね。すごく感情を揺さぶられたので、ワウでメロディをなぞるとか、ギターも当初より熱を帯びたサウンドになったように思います。