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LIVE REPORT

Japanese

I Don't Like Mondays.

Skream! マガジン 2021年09月号掲載

2021.07.15 @下北沢シャングリラ

Writer 石角 友香 Photo by 濱谷 幸江

4thフル・アルバム『Black Humor』のリリースを8月18日に控えるI Don't Like Mondays.が、1時間強のステージで、これまでのライヴ鉄板チューンと、新作に繋がるコロナ禍だからこそ生まれた新曲も含む、このタイミングならではのライヴを見せてくれた。

お洒落をした女性ファンの多いフロアは華やかなムード。そこにMÖTLEY CRÜEの「Girls, Girls, Girls」がSEで流れると、自ずとテンションも上がる。メンバーが長身なせいかステージが小さく見えるのも、ライヴハウスらしい一体感に拍車をかける。赤いサテンのシャツジャケットが鮮やかなYU(Vo)が登場し、CHOJI(Gt)のリフが響くと、腰で乗りたい「TOKYO BROTHERS」でスタート。YUが"下北沢ブラザーズ!"とフロアを煽るとクラップも自然と大きくなる。ノンストップでKENJI(Ba)のスラップで始まる「SO BAD」。音の隙間が多く、センス溢れるCHOJIのカッティングに拍手が起こるのも納得だ。ファンキーなナンバーでの彼の豪快なソロも間近で見ることのできる歓喜が溢れる。

"ライヴハウスのライヴが久々すぎて"と、楽しさを隠せない様子のYU。選曲も久しぶりの楽曲を盛り込んで届けることを伝えると、フロアも呼応するように沸く。繰り出されたのはシャッフルのリズムが軽快な「Don't look back」。ポップなソウル・フレーバーとEDMの澄んだコード感や構成が合体した名曲だ。こうなると立ち位置は決まってはいるものの、横揺れとクラップが止まらない。スピーディに展開していく演奏も小気味よく、次なるイントロにも拍手が起こる。音源ではSALUとコラボしている「ONE THING」だ。SHUKI(Dr)の確かな四つ打ちのキック、繊細なCHOJIのオブリガートもトロピカルハウス調の楽曲をイマジネーション豊かに彩り、シンセSEとのバランスもいい。SEで出しているSALUのラップ・パートをYUが所々ラップしつつ、ファルセットにスムーズに繋ぐのもシンプルに気持ちいい。サウンドの明るさを続く「Crazy」に繋ぎつつ、16ビートとファンキーなカッティング、ボトムの太いベース・ラインで心地よく横乗りできる。ストレートなラヴ・ソングが真夏直前の季節にハマっているというのも、この日のセトリの特徴かもしれない。

一転、壮大なイメージのビートレスのAメロが切ない「FEELING」。あとでYUが"3年ぶりにやった曲もあるけど"とMCで話していたが、後日Twitterでなんとワンマン・ライヴでは957日ぶりと正確にアナウンスしてくれていた。久々の披露というだけでなく、アフリカン・ビートやループするアルペジオなど、彼らの音楽性の幅を知ることができるナンバーで、この日のライヴにもグッといい緩急をつけていたのだ。そしてグルーヴこそ現代的だが、コード・ワークの爽快さや、ここぞというタイミングで決めるCHOJIのギター・ソロがTOTOなどアメリカン・ロックの辣腕バンドを思わせる「Fashion」も、「FEELING」とひとつのいい流れを作り出していた。前半はアルバム『FASHION』や『TOKYO』など2010年代半ばの人気アルバムを中心にまとめて届けてくれた4人。有観客でも前回はビルボードライブ東京で、比較的しっとり聴かせるライヴを行ったため、"今日はせっかくなんで、踊れる人は最後まで踊って楽しんで"と、YU。コアファンが集まっているのは想像に難くないが、この日初めて観る人すら巻き込める曲のキャッチーさとライヴ運びのスピーディさにアイドラ(I Don't Like Mondays.)の本領を見る。

後半は一気にコロナ禍以降に溢れ出したリアリティが作品化された「MR.CLEVER」から。グッと日本語の比重が増え、ストレスもプレッシャーも多く、先の見えない状況を抱えながら、それでもなんとかスマートに生きていこうとする主人公はアイドラならではのスタンスじゃないだろうか。YUの3連フロウや、淡々と気持ちを歌う平熱感のあるヴォーカルも新鮮だ。珍しくマイナーキーで洒脱なビートでありつつ、こちらも今を生きる若い男性のリアルが綴られた新曲「地上を夢見る魚」を披露。ラストのサビ前の転調がこの歌の主人公の気づきをアレンジで支えていることがライヴでも伝わる。これはますますニュー・アルバムが楽しみになってくる。

終盤は前作『FUTURE』からのナンバーが続く。レア・グルーヴィでスムーズに高速を走るような「FANCY GIRL」はさすがライヴの熱気を孕んで、間奏でクラップが大きくなるばかり。続く「DO YA?」はブラスのSEも効いていて、オーセンティックなファンクやソウルの楽しさが伝わる。CHICのNile Rodgers直系なギター・カッティングがノリを生み出しつつ、ハードなソロでも沸かせることができて、しかもCHOJIのギター・ヒーローっぷりが楽しめるのはアイドラらしいところ。ほぼ全員がハンズアップしていつまでもこのグルーヴが続いてほしそうなヴァイブスに満ちていたところ、YUがラストを告げ、「DIAMOND」へ。この曲こそ、EDMのドロップ的な手法をアレンジに導入しているだけに、間奏でもジャンプしたり、バースではクラップが起こったり、全員参加。今はシンガロングできないことが残念だが、だからこそ思い思いに楽しめる日への期待感も高まる。ほぼノンストップの1時間のパーティー・タイム。ファンもバンドもリラックスして楽しんでいた様子が、今の時期に何より素晴らしいことに思えた。

アンコールでは改めてニュー・アルバムのリリース告知を行ったり、SHUKIの誕生日を祝ってケーキが運び込まれたり。33歳を迎えたSHUKIを見てCHOJIが"文豪みがあるね"と笑わせたが、本人はロウソクの火を吹き消す際に"みなさんの健康を祈りました"と優しいところを見せたのだった。

アンコールは、まさにこのライヴの翌日に関東地方は梅雨明けしたのだが、そのことを予見するような真夏にぴったりのブライトなナンバー「LEMONADE」と「On my way」で終演。すでにライヴのキラーチューンを数多く持っているアイドラが、リアルな本音を綴った新作『Black Humor』という新しい手札を加えて、9月からどんなツアーを展開するのか? 楽しみは尽きない。


[Setlist]
1. TOKYO BROTHERS
2. SO BAD
3. Don't look back
4. ONE THING
5. Crazy
6. FEELING
7. Fashion
8. MR.CLEVER
9. 地上を夢見る魚
10. FANCY GIRL
11. DO YA?
12. DIAMOND
En1. LEMONADE
En2. On my way

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