Japanese
I Don't Like Mondays.
2019年05月号掲載
Member:YU(Vo) CHOJI(Gt) KENJI(Ba) SHUKI(Dr)
Interviewer:TAISHI IWAMI
I Don't Like Mondays.がavex移籍第1弾としてリリースするシングル「Do Ya?」のテーマはずばり、"90年代ヒップホップ"。彼らのルーツのひとつにヒップホップがあることは、これまでの作品からも窺うことができるが、ここまでの明確なアプローチを見せたのは初めてのこと。その結果、持ち前のファンキーなグルーヴの創造力は飛躍的なアップデートを遂げ、素晴らしいパーティー・アンセムが完成した。今回は1曲に対してのみのインタビューということで、彼らがこのタイミングで"90年代"と"ヒップホップ"に目を向けた理由、曲の全体像や各パートのポイント、MVの魅力などについて、細かく話してもらった。
"I Don't Like Mondays.=踊れるバンド"がネクスト・レベルに到達。彼らはなぜ大きなアップデートを遂げることができたのか
-今回のシングル「Do Ya?」からは、作曲やアレンジ力、パフォーマンス力の明らかなアップデートを感じました。以前本誌に出てくださったのは1年前。以降のあまり大きな動きはなかった期間に、何かあったのでしょうか。
YU:特別なことがあったわけではなく、コツコツやってきた結果だと思います。去年1年間は以前所属していたレコード会社を抜けて自主で活動してたんです。おっしゃるように、あまりライヴやリリースもしなかったし......、どんな1年だったんだろう? リリースをしていろんな方から感想を貰ったり、インタビューしてもらったりすることで、自分たちの現在地が確認できる部分も大きくて。
CHOJI:ひたすら制作してたんで曲のストックはたくさんあります。
-「Do Ya?」はそのストックからの1曲なんですか?
YU:いえ。avexに所属することになっての第1弾リリースで、バンドにとっては転換期なので、そこまでのストックを使うことはせず、新たに作りました。avexはレーベルのカラーが強いから、"I Don't Like Mondays.はどうなっていくんだ?"って、SNSとかでもちょっと話題になってたんです。そこで、僕らのことを知ってくれている人にも、これを機に知ってもらえるであろう人にも、インパクトを与えるには何をすればいいのか。今まで以上に話し合って作っていきました。
-どんな話し合いをしたのでしょう。
KENJI:僕らがavexからリリースする第1弾として一番面白いものは何か。そこで"90年代のヒップホップ"というワードが出てきたんです。
YU:90年代のヒップホップはもともと好きだったんですけど、そこまで明確なテーマとしてやったことがなかった。そこを出発点にしていろいろとアレンジを加えていくことで、もしかしたら自分たちの中にはないと思っていたことまで、引き出せるような気がしたんです。
-みなさんにとって90年代とはどんな年代ですか? まだ子供のころのことですが。
YU:僕が89年生まれなんですけど、これまでの人生を振り返って一番影響を受けたのは90年代と00年代の前半、音楽に触れ始めたころや10代のころなんです。
CHOJI:80年代のポップ・シーンはキラキラしてるイメージ。90年代はそこにアンダーグラウンドな色も混ざってくることが定着した時期だと思います。そこにある生々しさや猥雑さがすごく好きで。そして時を経て今ヒップホップが世界的にきているなか、いろんなスタイルがありますけど、僕の中で最も印象として強いのはその90年代っぽさなんです。
-刺激を受けた90年代のアーティストや最近のアーティストとなると、誰がいますか?
KENJI:90年代前後となると、RUN-D.M.C.が一番大きいように思います。
YU:うん、その時代でひとつ挙げるとすれば、やっぱRUN-D.M.C.かなぁ。最近だとKendrick Lamarですね。
CHOJI:Justin Timberlakeとか。僕は出自が"これぞロック"な感じなんで、そういうヒップホップやポップ・ミュージックにあるコード進行とか、もともとの自分の中にはなかったものが入ってきて面白いんです。
-セッションなどでみなさんの個性が重なり広がっていくやり方ではなく、目的に向かって個性をシェイプしていくことに重点を置くことで、ポップな強さが増したように思います。
YU:たしかにそうかもしれないです。みんなで話し合いながら曲を作るスタンスは変わってないんですけど、楽器を持つ前に、ここまでもはや会議室での会議並みに話したのは初めてだったような。
KENJI:たしかに。曲のイメージを話し合いの段階でここまではっきりさせたことは、今までにはなかったですね。
-今回のポイントはずばり"グルーヴ"だと感じました。これまでも"踊れる"ということはテーマに掲げてこられましたが、今回は明らかに新しいアプローチによって、その強度が大きく増したように思います。
CHOJI:これまではコード進行やリズムのパターンもわりとカラフルなものが多かったんですけど、今回はグルーヴに重点を置いて突き詰め考えていくなかで、ポイントがリズムのループする気持ち良さや、シンプルなフレーズの流れに向かっていったんです。その結果、今までやってこなかった2コードの進行がサビのメロディにたまたまハマるとか、新しい感覚との出会いがあって、あの瞬間は我がことながらちょっと感動しました。
YU:軸はSHUKIが作るビートにあったんですけど、その段階でいろんなパターンがあって、迷走が始まりつつ、CHOJIが言ったような発見がある。そんなことの繰り返しだったような。今までやってこなかったチャレンジによってバンドに新しい光が見えた曲だと思います。
-打ち込みと生ドラムをうまく使ったリズムのデザインが素晴らしかったです。いろんな音が重なりつつ、キメのところで音が抜けてリムだけが残る部分が、個人的にはすごくグッときてアガりました。
SHUKI:そんな細かいところまで。ありがとうございます。今回は、フレーズそのものは早い段階で決まったんですけど、音色に苦労しました。リズムの音色で時代感はかなり変わるじゃないですか。90年代ヒップホップというテーマがあって、でも完全に寄せたりそれよりも古いものでまとめたりするとどうしても弱い印象が否めない。今っぽさがすぎると普通になっちゃう。だからどこが正解なんだろうって。ネットに落ちてる70年代~00年代までのドラムのサンプリングを何十個も持ってきて、組み合わせるとか、生でレコーディングした音のひとつひとつを改めて貼りつけてループで流すとか、エンジニアさんのアナログ・テープを通すとか、いろいろと試した結果なんです。
-ベースもすごく色気があっていいですね。
KENJI:僕もSHUKIと同じでフレーズよりも音色に苦労しました。本当は、まずドラムを完全に決めてからベースを乗せていく予定だったんですけど、SHUKIがインフルエンザにかかって、急遽ベースから録ることになったんです。SHUKIのパターンはできてたし、90年代感をちゃんと感じさせながら新しいこともやりたいって話はしてたんで、なんとかなりました。
-そのさじ加減がすごく伝わってくるんです。
KENJI:モータウンっぽい音をイメージして、弦をいつも使っているものからフラットワウンドっていうちょっとモコモコした音のするものに変えて、ミュートをかまして録ったんですけど、納得いかなくて。そこでミュートを甘くして調整することで、すごく満足のできる音になったんです。でもSHUKIがギミックでフィルをかましてるところだけは、レトロな音だと引っ込みすぎちゃうから新しい音にするとか、いろんな要素がミックスされてます。
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