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INTERVIEW

Japanese

ニノミヤユイ

ニノミヤユイ

ニノミヤユイ

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インタビュアー:宮﨑 大樹 Photo by 上溝恭香

声優"二ノ宮ゆい"のアーティストとしての顔"ニノミヤユイ"。彼女が、今年2020年1月にリリースしたデビュー・アルバム『愛とか感情』以来の作品となる1stシングル『つらぬいて憂鬱』を完成させた。表題曲は、声優"二ノ宮ゆい"として出演しているTVアニメ"ピーター・グリルと賢者の時間"のオープニング・テーマに起用。声優として、アーティストとして広く深く関わることになった本作についてじっくりと話を訊いた。

-1月にアルバム『愛とか感情』でアーティスト・デビューをしてから半年あまりが経過しました。世の中はデビュー当時には思いも寄らぬ状況にはなっていますけど、アーティスト"ニノミヤユイ"としてデビューしてから、これまでを振り返ってみてどんな日々でしたか?

今までにはなかったアーティスト関連の仕事を本当にたくさんやらせていただいて、打ち合わせをしてはレコーディング、打ち合わせをしてはレコーディングの連続で、『愛とか感情』の発売まではあっという間でした。アルバムを発売してからは、リリース・イベントなどでいろんな場所を回らせていただいて、ファンの方の声を聞かせていただく機会がたくさんあったんですけど、やっぱり"類は友を呼ぶ"というのか、私の周りで応援してくださってる方々も、ちょっと私と同じ性質を持っているのかなと思いました。"すごく共感しました"とか、"この歌詞を読んですごく勇気を貰えました"って言ってもらえることがすごく多くて、音楽を通して伝えたかったことがちゃんと伝わってるんだなっていうのが嬉しかったですね。

-類は友を呼ぶという言葉が出ましたけど、『愛とか感情』は"陰キャのカリスマ"としての反響があったんですね。

ファンの方もそうですし、私の普通の友達、高校のときの友達とかも私と同じようなことに悩んでいる子が多くて。そういう子たちに"聴いてね!"とか積極的にアピールしたわけではなくても、みんな私のTwitterをフォローしてくれていたり、"アルバム買ったよ"と声を掛けてくれる子もいて、"あの曲が良かった"とか、"この曲の歌詞めっちゃ共感した"とか言ってくれたのが本当に嬉しかったです。ファンの方だと、学生の方からメッセージをいただくことも多いので、そういう中高生の方とかの、今の年代だからこそ抱えてる悩み、みたいなものは、共感されたのかなっていうのはありますね。

-1stライヴ"愛とか死、或いは名もない感情からの逃避"は有観客から無観客に変更されましたが、配信ならではの映像演出もありとてもいいライヴでした。こちらのライヴを振り返ってみていかがでした?

3月開催予定だった打ち合わせの時点から、"世界観をちゃんと見せられるライヴにしよう"っていうのはずっと言っていて。なので配信ライヴでは3月に表現したかったことをそのままやることにしました。映像演出とかは配信ならではの演出を足してくださったりもしたんですけど、セットリストとか演出とか、構成はほとんど変えていないんです。今回は、セットリストや、間に挟んでいるお話みたいなものも全部自分で考えさせていただいたので、ちゃんと自分の世界観を作れたライヴだったなっていうのもあって。

-無観客ライヴということについてはどう捉えていましたか?

お客さんもいないので、自分のメンタルというか、マインドをどう持っていこうっていう不安はあったんです。だけど、自分の曲は内面を歌っている曲が多いので、そういう面では逆に入りやすかったですね。お客さんのいるライヴとは別のものとして、自分の世界に完全に入った状態で歌えるっていうのは、表現の仕方としてはありだなって思いました。楽しかったですし、お客さんからの声や配信中のコメントとかも読ませていただいたんですけど、すごく温かい声が多くて。私的にはアルバムの世界観を伝えられたライヴだったなっていう満足度が高いです。

-その配信ライヴのあとには、今回リリースされる1stシングル表題曲「つらぬいて憂鬱」のミュージック・ビデオが公開されましたけど、1枚のシングルとしてはどんな作品になったと感じていますか?

このシングルも『愛とか感情』のように、作家さんひとりひとりとお話させていただいて制作したんです。なのでニノミヤユイの世界観を残しつつ、且つ新しい要素もちゃんと組み込めたなっていうのはありますね。ジャケ写とかアー写とかも、前回は全然色みとかはなかったんですけど、新しく差し色とかを使ったことによって、新しい一面を出せたのかなっていう気はしてます。

-「つらぬいて憂鬱」は、TVアニメ"ピーター・グリルと賢者の時間"のOP主題歌ということもあり、キャッチーなメロディと耳に残るベース・ラインなど、一度聴いたら忘れられない曲になっていますね。

Tom-H@ckさん(作編曲)らしい、すごくキャッチーな楽曲ではあるんですけど、アニソンらしさとTom-H@ckさんらしさと、ニノミヤユイの世界観が絶妙にマッチした曲になったなと思います。歌詞の面で言えば、私の考えていることと、アニメの世界観もちゃんと取り込んでくださったので、バランスがいいなっていうのは自分で感じていて。今となってはここしかあり得なかっただろうなっていう仕上がりになりましたね。

-"ピーター・グリルと賢者の時間"では声優"二ノ宮ゆい"としても出演していますね。声優"二ノ宮ゆい"として出演するアニメを、アーティスト"ニノミヤユイ"として歌うことについて、どう感じていましたか?

作品の世界観みたいな大枠に、ニノミヤユイというカタカナ名義で参加して、物語に声優の二ノ宮ゆいが参加するということで、全体を通して作品に参加できたっていうのはすごくありがたいなって思います。物語で知れたことを、曲の表現に生かせたり、逆に世界観をその曲でわかっているからこそ、それを演技に生かせたりとか、そういうことができました。

-曲の制作にあたってTom-H@ckさんとはどんなやりとりがあったんですか?

アルバムの制作直後にすぐ打ち合わせをさせていただいたんですよ。そのときはまだ直接お会いできる時期だったので、直接会ってお話をして、アルバムと同様に"私ってこんな人です"みたいなところから始めていきました。そこからTom-H@ckさんの作る音楽と、私の世界観と、さらにアニメの世界観をどうリンクさせていくか、曲調をどうするかという話になったときに、みんな"う~ん"って悩んでしまって。私も全然想像がつかなかったんですけど、そうしたら、Tom-H@ckさんがふと思いついたように"闇落ちした「もってけ!セーラーふく」"ですかね、と言ってくださったんです。実際にデモを聴いたら腑に落ちるところがあって、イメージしたものをそのまま音楽に落とし込むっていうことが本当にすごすぎましたね。

-歌詞としては"陰キャのカリスマ"らしい"陰"なものに仕上がってます。作詞のhotaruさんとはどんなイメージの共有をしていったんですか?

hotaruさんとは、最初は直接お会いできなかったんですけど『愛とか感情』を全部聴いて、"私ってこういう人物なんだろうな"って想像して書いてくださったみたいで。その想像がTom-H@ckさん同様にすごく深かったんです。私のことを知ってるのかなって思うぐらいに見透かされてて、びっくりしたというか、読んだときに自分のことだって思えました。歌詞のテーマがアニメにも共通しているのもすごくて、天才×天才だと、ここまで絶妙なバランスになるんだなって感じましたね。

-その歌詞のテーマとはどんなものですか?

"こういうのです"って言われたわけではないんですけど、私は"弱い自分から変われない"っていうものがあると感じました。私自身も、弱い自分から立ち直れなかったり、変われなかったり、みたいなところを抱えつつ、アニメの作品では主人公のピーター君も弱い自分から変われないんですよね。弱い自分から変われないけど、生きていかなきゃいけないみたいなところが、すごく共通しているテーマだなっていうふうに思いました。"共通のテーマを見つけてくれたんだ"って、hotaruさんのすごさを感じましたね。

-タイアップ作品とニノミヤさんの共通項を見いだしていったと。その中で、自分でも気づいてなかった自分、みたいな発見もありましたか?

いい意味で......というか全然いい意味じゃないかもしれないけど、すごく傷ついたというか(笑)。やっぱり人間ってなかなか変われないと思いますし、この曲、結局はなんの解決もしていないんですよね。弱い自分から変われない、完全な自分なんてどこにもいない、みたいなオチになるので"人間ってそういうものなんだよな"って感じました。それがわかったことによって、思い詰めていても仕方ないっていうか、一生懸命生きるしかないと思って。私の考えていることを、私のことを俯瞰している人が書いた歌詞なので、なるほどなと感じてしまったというか。変われないなら仕方ないか、みたいな考えになりましたね。

-それってミュージック・ビデオのテーマにも繋がるものですよね。コンテンポラリー・ダンスとニノミヤさんの表情で表現された自身の感情と、長回しの映像が印象的なものに仕上がっていますけど、テーマや構成を知ったときにはどう思いましたか?

監督の佐津川(愛美)さんはご自身が女優をやっていらっしゃっていることもあってか、心情の表現からアプローチしてくださったんです。曲調というよりは、私が表現したいことをMVにしていただけたので、共感しやすくて、やりやすかったですね。