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ニノミヤユイ「つらぬいて憂鬱」MV撮影密着レポート

ニノミヤユイ「つらぬいて憂鬱」MV撮影密着レポート

ニノミヤユイ

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ライター:宮﨑 大樹 Photo by 上溝恭香

声優"二ノ宮ゆい"が持つアーティストとしての顔"ニノミヤユイ"。彼女がTVアニメ"ピーター・グリルと賢者の時間"オープニング・テーマとしてリリースする、1stシングル表題曲「つらぬいて憂鬱」のミュージック・ビデオ撮影が行われた。

撮影は都内のスタジオで午前中からスタート。リハーサルのため私服でスタジオに現れたニノミヤが、"お願いします!"と笑顔でスタッフに挨拶すると、独特の緊張感が漂っていたその場の雰囲気が、パッと明るいものになったのが印象的だった。

今回のミュージック・ビデオのコンセプトは"黒い感情、憧れ、ふつふつとしたもの、受け入れていくもの"。ニノミヤの憧れの投影である4人のダンサーが、ニノミヤが出したいけれど出せない感情を、コンテンポラリー・ダンスを通して表現していく映像になるという。長回しの撮影を行うため、ニノミヤは、ダンサー、撮影スタッフと共にミュージック・ビデオの流れをリハーサルで入念に確認。ニノミヤは、真剣な表情でモニターに映るリハーサル映像をチェックしていたが、躍動感のある長回しの映像を観て"すごい!"と白い歯をこぼし、できあがりを想像してワクワクしているように見えた。

リハーサルを終えて昼食を挟んだニノミヤユイが全身赤の衣装に着替えると、撮影はいよいよ本番へ。スタッフから"本番!"と声が上がると、ピリっと緊張感のある空気に一転。ニノミヤもその声に合わせてスイッチが入ったのがモニター越しに伝わってくる。"今回のミュージック・ビデオは動きが少ないから表情を意識するようにしている"と語るニノミヤの演技を指導したのは、監督を務める女優の佐津川愛美だ。ニノミヤが見せる女優仕込みの表情も、今回のミュージック・ビデオの見どころになっている。

「つらぬいて憂鬱」のミュージック・ビデオは、無表情で座っているニノミヤユイと、彼女を囲むようにして踊る4人のコンテンポラリー・ダンサーを軸に展開していく。そのため長時間座りっぱなしの撮影をすることになったニノミヤは、腰の痛みと闘い続ける1日でもあったようだ。さらに、閉鎖された空間にこもる照明の熱で室温が上昇し、動の役割のダンサーはもちろん、静の役割を担うニノミヤにとっても見た目以上にハードな1日だった様子。それでも、時折マッサージを受けたり、扇子で扇がれたりしながら過ごすカメラが回っていない間のニノミヤは、ずっと笑顔だ。

そうして、細かなタイミングなどを何度何度も微調整しながら最初のシーンのテイクを重ねていくが、なかなかOKは出ないまま時間が過ぎていく。躍動感のある映像を長回しで撮ることの難しさがひしひしと伝わってきた。それでも幾度か撮影を続けていき、スタッフがモニターを囲んで見守るなか最初のシーンでOKが出ると、自然と歓声と拍手が起こった。

撮影の合間の休憩時間では、差し入れのパンを頬張りながら、"腰がつらぬいて憂鬱"と楽曲タイトルをもじって談笑したり、小道具の赤いロープで縄跳びをしたり、佐津川監督とツーショット写真を撮ったりと、和気あいあいと過ごすニノミヤ。なかでも、スタジオ内にダーツボードを見つけ、豪快な野球投げで初めてのダーツ体験をしたひとときは微笑ましいものだった。撮影中はひとりのアーティストとして臨んでいるニノミヤだったが、ふとした瞬間に見せる表情は18歳の少女そのもの。そんな二面性もニノミヤユイの魅力なのだろう。

休憩が明け以降のシーンでも、撮影は難航。ニノミヤ、ダンサー、カメラマンの体力が消費されていく。ついにはダンサーが接触してしまい、カメラマンが足をつってしまうアクシデントも発生したが、そんな現場でも明るさが絶えなかったのはニノミヤの存在が大きかったように思う。佐津川監督も"心で円陣を組んでくださいね!"と現場を鼓舞し、演者とスタッフが一丸となって作品への完成へ向けてひた走っていた。

後半で撮影したのは、ニノミヤが唯一のリップシンクで"完全な自分がどこにもいない/最低な自分しか見つからない"と歌い、床に倒れたダンサーのひとりを引きずりながらその場をあとにしていくラスト・シーン。そこでは、本人が"全員刺し殺すつもりでやりました"と語っていたのも納得なほど凄みのある表情を見せていて、映像のクライマックスに相応しい強烈な印象を、観る者に突き刺していた。

午前中から始まった撮影だったが、気づけば時計の針は夜の12時を回る寸前。全員が力を振り絞り、最後のOKが出ると、皆で拍手をして達成した喜びを分かち合う。そして、ニノミヤユイ、ダンサー4人、佐津川監督で記念写真を撮ってこの日の撮影は終了。長い時間、全身全霊で撮影に挑んだ映像が「つらぬいて憂鬱」の世界観をどれだけ増幅してくれるのだろうかと、ワクワクしている様子でスタジオをあとにするニノミヤユイだった。


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