Japanese
FOUR GET ME A NOTS
2020年03月号掲載
Member:石坪 泰知(Vo/Ba) 高橋 智恵(Vo/Gt) 阿部 貴之(Dr/Vo)
Interviewer:吉羽 さおり
『ASTREA』以来約5年ぶり、通算6枚目のアルバム『KEEP THE FLAME』を完成させたFOUR GET ME A NOTS。一聴してまず思うのは、フォゲミ(FOUR GET ME A NOTS)の極上のメロディック・パンクが帰ってきた! ということだろうか。タイトルそのままに心の火を絶やすことなく、丹念に磨き、積み重ねてきた力強いメロディ、ほんのりと泣きの要素で切ない琴線を揺らすような、あの男女ヴォーカルとパワフルなサウンドが、数珠繋ぎになったアルバムとなっている。原点回帰的とも言える現在、3人はどのような思いでアルバムの制作やライヴに向き合っているのかを訊いた。
くすぶってる場合じゃない。僕らがちゃんと活動をすることが、待っている人が喜んでくれることだと思う
-アルバムとしては『ASTREA』(2015年リリース)から約5年ぶりとなります。今回のアルバムに向かっていくにはいろいろ時間をかけて、温めながらやってきた感じですか?
石坪:今回のアルバムを出す1年前くらいに、自主で『ALIVE』(2018年1月)と『RESTRUCTURE』(2018年11月)という3曲入りの会場限定シングルを2枚出して、イベントやツアーをやったりしていたんです。そのシングルの曲も入っているので、アルバムを本格的に作り出したのはそこからですね。そこまでは各々でネタスマホにネタを録っていたくらいで、まとめ始めたのはここ1~2年だと思います。
-今作はKOGA RECORDS移籍第1弾作品ということにもなりますが、KOGA RECORDSとはどういう出会いで一緒にやることになったんですか?
石坪:シングルを作っていく過程で、4~5年アルバムを出していなかったし、お客さんにもアルバムを待ってくれている人たちがたくさんいて。待っていてくれるお客さんに対して、音源を出してツアーをするという恩返しをしたいなって考えていたんです。どこか決まればいいなとは思っていたんですけど、当時僕らの活動がそこまで頻繁ではなかったので、これは自主で出すかって昔からの流通会社の知り合いに相談していたんですね。条件の話なんかも詳しく話していくなかで、その人が"そういえば古閑さん(レーベル代表)に話したら、いいよとか言ってくれるかもよ"みたいな話をしていて、結構ポップな感じで"話してみようか~"っていう感じで言っていたんです。それで、その方が古閑さんに話をしてくれたんですよね。もともと古閑さんとは昔からの知り合いでもあったし。
高橋:バンド同士でも、KOGA RECORDSのSpecialThanksとかとも仲が良かったしね。
石坪:陽気なおじさんっていうイメージしかなかったんですけどね(笑)。そのあと一緒にミーティングがあったりして、すぐにやれることが決まったんです。
-いいタイミングだったんですね。
石坪:そうですね。古閑さんやレーベル側もタイミングが悪くなかったようで、"じゃあぜひ"という感じでトントン拍子に話が進みました。
-それまでは自分たちでやろうかっていう感じだったんですか。
石坪:そうですね。
高橋:しかも、まだリリースも何も決まってない段階ですでにツアーの初日を押さえていたんですよ。
石坪:先に押さえてました。今回の千葉LOOKはもうやろうって言って(笑)。
-久しぶりのアルバムとして、今のFOUR GET ME A NOTSとして、こういうものを打ち出していこうっていうのはありましたか?
石坪:シングルを2枚出してライヴをしていくなかで、お客さんが求めてくれている感じと、僕らがやりたい感じっていうのが相乗効果でどんどん生まれてきたことは大きいですね。ライヴでシンガロングできるような曲とか、拳を上げられるような曲とか。原点回帰じゃないですが、僕らがバンドを始めたての頃のメロディック・パンクをやりながら、今の自分たちでライヴハウスを沸かせられるようなアルバムを作りたいなという共通認識はできていましたね。
-『ASTREA』が壮大な広がりがあったアルバムで、そこから今回の作品を聴くと、FOUR GET ME A NOTSのメロディックが帰ってきたという印象もありました。さらに磨き上げられているし、3人のあり方というのが再構築されたものだなって思います。
高橋:今の自分たちが落とし込めるものを落とし込んだだけなので、結果として元気なアルバムになったよね。
-先のシングルのときのほうが、もっとタフにガツガツと攻めているイメージが、曲としても内容としてもあった感触がありましたね。
石坪:あぁ。シングルは今のモードになる前のある意味試行錯誤というか、今の自分たちだったらどういう曲を作れるかなというところで作った曲たちではあるのかなと思うんです。
高橋:シングルはボッチ(石坪)が作る曲、私が作る曲、ベック(阿部)が作る曲っていう3人が各々持ち寄って作った1枚だったので、3人の色がはっきり分かれていたのもあったと思います。
-このアルバムはそこから視野がより広がって、歌詞の内容についてでも大人の視点で描かれている、伝えているなと思います。
石坪:そこは前のアルバムから4~5年経ってますからね。僕らも30代半ばになってきて(笑)、いろんな経験をしてきたうえで今思っていることが出ているのかもしれないです。結果的には自分に対して言っていることなんですけど、周りの人たちに言いたいことや伝えたいことだったり、お客さんと共有したいことだったりを歌っているんだと思いますね。
-こういうストレートなメロディック・パンクになったからこそ、思いもまっすぐになっているんですかね。
石坪:僕は物語とかはあまり作れなくて、自分が思っていることを歌いたいなというのはあるので、そのときに思っていることが出ているんだと思います。
-アルバムの曲として、"この曲ができあがったから、もう大丈夫だ"っていうような曲っていうのはありましたか?
阿部:わりと制作の前半はサクサク作れていたよね。途中くらいから結構詰まり始めて、「A light in the darkness」という曲ができたあたりから"もう大丈夫だ"って思いましたね。これは終盤にできた曲で、ずーっとアレンジをこねていたんです。曲自体は序盤からあったんだよね?
高橋:あったあった。
阿部:ネタみたいなものはあって、ずっと温めていたけど、なかなかうまくまとまらないなという曲だったんです。それができた瞬間に僕は、"あとは大丈夫だ"ってなりました。
-それは曲をどう表現するかで悩んでいたんですか?
阿部:「A light in the darkness」は智恵さんが作った曲なんですけど、今までにないアプローチの曲だったので、どういうふうに組み立てていいかわからなかったんですよね。リズムもすごく悩んだし、どういうテンポ感がいいのかとかも考えました。
高橋:私も投げっ放しになる悪い癖があるので(笑)、このあとの展開どうしよう、こうもできるし、ああもできるし、どれが一番この曲にとっていいものなんだろうってところで、ずっと止まっていたんですよね。
-どこか懐かしいエモっぽい香りもする曲で、でも、モダンな印象のアレンジになりましたね。コーラスのハーモニーも効いていて、鮮やかな仕上がりです。
高橋:良かったです(笑)。あとは「Life goes on」なんかも多少練ったよね。
阿部:そのへんのこれまでとアプローチの違う曲はそうでしたね。
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