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INTERVIEW

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BiS

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Member:イトー・ムセンシティ部 チャントモンキー ネオ・トゥリーズ トギー

Interviewer:宮﨑 大樹

ギリギリを攻めるんじゃなくて、ギリギリを超えちゃってますからね、今回は(笑)


-他にもリスペクトを感じさせる曲はありますが、アルバムのタイトル、ジャケット、リード曲「BASKET BOX」は、とある1990年代のパンク・ロック・バンドを想起させますよね。MVもそれっぽい映像になっています。

イトー:「BASKET BOX」は、想像してるバンドのMVを知っている状態で撮影させていただきました。

トギー:最初はイントロがあったんですよ。レコーディングのときにもまだイントロがあったんですけど――

イトー:途中から"もっとそっちに寄せちゃおうか"、"そうしたらカッコ良くない?"ってなりました(笑)。

チャント:渡辺さんからレコーディング中に電話がかかってきて、"やっぱイントロなくしてこれで始めよう"ってなったんです。

-この曲からイメージが膨らんで、アルバムのタイトルやジャケットに広がっていったんですかね。ジャケットは思いっきりモザイクが掛かってますが、その前の状態ってみなさんは見たんですか?

トギー:見ました。だけどこの世の中なので......(笑)。でもこれ(モザイクが掛かった状態)もめちゃくちゃインパクトがあるなって思いますよね。

チャント:私たち、モザイク掛かりがちだよね(笑)。

-「BiS-どうやらゾンビのおでまし-」(『Brand-new idol Society』収録曲)のMVも最初はモザイクが掛かっていましたし(※現在はモザイクのない"無修正ver"のみ公開中)、今、一番モザイクが似合うアイドル、みたいな。

一同:(笑)

イトー:ギリギリを攻めるんじゃなくて、ギリギリを超えちゃってますからね、今回は(笑)。

トギー:このジャケットが店頭に並んでたらめっちゃ見ちゃいますよね。"えっ?"ってなる。自分がBiSじゃなくても、これをお店で見つけたら手に取っちゃうと思います。

イトー:たぶんあのバンドさんを知ってる人なら笑っちゃうと思う。

-配信もそうですし、事前に得られるインターネット上の情報が増えて"ジャケ買い"という文化はなくなってきているのかもしれませんけど、これはジャケ買いしそうですよね。そういう意味でも90年代っていう感じですが、そもそもどうして"90年代"がテーマになったのでしょうか?

チャント:アルバムができてからそうなった感じですね。でも、流行りって周期があるって言うじゃないですか? そう考えるとちょうどいいのかなって。

イトー:私たちが、聴いてて"カッコいい"って思ったということは、たぶんそうなんだよ。現代の人が聴いてもカッコいいと思ってもらえる曲だと思います。

-懐かしくて"いいな"と思う人もいれば、ネオさんのように"新鮮だな"って聴いてくれる人もいるでしょうし、幅広い層に刺さるかもしれないアルバムですよね。

イトー:そう願ってます。

-「BASKET BOX」は、サウンド面/メロディ面でまさに"ポップ・パンク"的な良さもありつつ、歌詞もすごくいいですよね。普段、歌詞を読んで"いい歌詞だな"とか"上手い言葉を使うな"みたいな感動はあるんですけど、"共感"はあまりしないタイプなんですよ。でもこの曲はすごく共感を与える歌詞に感じました。

ネオ:"普段だったら言葉に出しにくい内に秘めてる何か"とか、"世間に対して思ってること"とか、これって歌だから出せる言葉ですよね。言葉としては結構"くる"ものがある歌詞なので、自分ともすごく重なりました。

トギー:誰にとっても共感しやすいというか、言葉が全部分かりやすいですね。"これってどういう意味だろう?"っていう言葉がないので、スッと入ってきて誰にでも刺さる曲。たぶん思春期の方でも、いろいろ人生を経験してきた人にでも刺さるなって思っています。

-なるほど。

トギー:私はこの曲のサビが好きなんです。サビの"ひとをぶつのは悪いことですか?"って当たり前のことじゃないですか? ダメってわかってるけど、"当たり前だと思ってることが当たり前じゃないこと"って、めちゃくちゃありますよね。でも大人になるにつれて、それを人に聞けないことってたくさんあるなって。そういう共感できることを歌詞に入れることで"音楽に助けられる"人が出てくるのかなって思います。

イトー:"恥ずかしくてもう聞けなくなりました"っていうのが、すごくわかります。みんな小学校と中学校に行くと思うんですけど、個人個人で習得したものとかって違うじゃないですか? 家庭環境も違うだろうし、育ってきた環境が違うなかで気づいたら大人になっちゃっていて。何かを言ったときにバカにされちゃうとか、"こんなのも知らないの?"って言われることって絶対あるんですよ。人とのコミュニケーションのうえでそういうのも上手に出せなくなっていった、というのを思い出したような歌詞でした。

チャント:サビにたくさんの"世間に向けての普段出せないこと"が集まってるなって。メロディ自体はすごくポップで明るいんですけど、サビでメッセージが"ズーン!"って来て、泣きそうになりました。あと、この曲は珍しく詞先なんです。いつもは松隈(ケンタ/サウンド・プロデューサー)さんのメロディが先なんですけど、これは初めての詞先かな......?

イトー:うん、初めて。

-そうなんですね! それって、BiSだけじゃなくWACKのグループの中でもすごく珍しいんじゃないですか?

チャント:そうですね。なので、渡辺さんの言いたいことが詰まってる歌詞なんじゃないかなって思います。

-だからこそ特別な歌詞に感じたのかもしれないです。

イトー:本当にメッセージ性が強い。言いたいことをまず書いてる感じがします。