Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

私立恵比寿中学

 

私立恵比寿中学

Member:真山 りか 星名 美怜 柏木 ひなた 小林 歌穂 中山 莉子

Interviewer:宮﨑 大樹 Photo by 新倉映見

-お客さんを意識してライヴができているということですね(笑)。さて、10周年のクライマックスとしてアルバム『playlist』がリリースされます。エビ中の10年の歴史については書籍が出ていますし、ここで語っていただくにはあまりにも時間が足りないので今回はあえて掘り下げませんが、今回のアルバムを通して、今後のヴィジョンなどは変わりましたか?

星名:ここ1~2年くらいで、楽曲に対しての雰囲気がすごく変わったなっていうのは実感していますね。毎回言っているんですけど、新しいジャンルの曲に挑戦させていただいています。自分が私生活で聴く曲に近いジャンルだったりとか、レトロな感じだったりとか、世代が違う、出会ったことのない曲にも巡り会えていて。レコーディングのときには歌い方で苦労することもあるんですけど、自分たちの身になっているというか、どんな曲ができても、怖いとは感じず、楽しんで参加させていただています。次の1年に向けて、"エビ中と言えば"のイメージを変えることができたらなって思いますね。

-イメージですか。

星名:友達とカラオケに行ったときに"最近のエビ中の曲を歌ってよ"って言われて、歌ったんですよ。その子は中学からの友達だから、エビ中と言えば「金八DANCE MUSIC」(2015年リリースの2ndフル・アルバム『金八』収録)みたいなアゲ曲とか、ふざけた歌詞のイメージが強かったみたいで、最近の曲を歌ったらすごくビックリしていました。"すごくイメージが変わった"って言われましたね。ネーミングだけで世間からイメージを決められてしまう部分もあるんですけど、もっと自分たちの曲を聴いてもらえる機会を増やして、エビ中のイメージを変えていけたらと。いい意味で変化していきたいっていう気持ちです。

-たしかに『中人』(2013年リリースの1stフル・アルバム)、『金八』といったコミカルでアッパーな曲が多かった初期のアルバムと比べると、『MUSiC』、『playlist』は大人になったみなさんにフィットしたイメージです。ミドル・テンポの曲が多いことも特徴に感じました。

真山:サブスク世代の子たちがミドル・テンポの曲を聴くことが多いからかもしれないですね。『playlist』は、"今"のアーティストの方々に書いていただいているんですけど、それこそサブスク世代がガンガン再生をしているようなアーティストさんばかりなんです。だからこそ、若い人に聴いてほしいなと思いますね。きっと刺さるんじゃないかなって。もちろん、いろんな世代の方に聴いていただきたいですけどね。

-『playlist』は初顔合わせの作家陣も多いですが、制作で印象に残っていることはありますか?

中山:ビッケ(ビッケブランカ)さんに提供していただいた「ちがうの」では、最後のラップ部分のためだけにビッケさんがレコーディングに来てくださったんですよ。ビッケさんの持っているイメージとか、曲の雰囲気とかをイチから教えてもらえたのが嬉しかったですね。作っている方にしかわからない気持ちを知ることができました。

-「ちがうの」は、ビッケブランカ節を感じつつも、エビ中のみなさんのために作られている印象が強い1曲です。

真山:男性視点だったり女性視点だったり、恋愛を歌っているのかなっていう感じはありつつ、ジェンダーレスな感じもあって今っぽいなと思いました。

柏木:聴いたときに"これは好きだ"と素直に思って。とにかくかわいいっていうのはあるんですけど、歌詞を読むと過去のことを想っていたりして切ないんです。あと、最後にラップが来るとは思わなくて、メロディを歌って終わるのかなと思ってたんですよ。かわいいメロディの中にラップが入ってくるのがすごくいいなって感じました。ツアーで披露させていただいたんですけど、みんなの反応が良くって。特に女の子の反応がすごく良かったんですよ。それが嬉しかったです。

-意外な曲展開はビッケブランカさんらしいですよね。

真山:かわいらしい曲からのラップでハッとなって、さらに莉子ちゃんの最後の"wa"で、浄化されるじゃないけど、天に昇るような感じが心地いいなぁって。

中山:最後の"wa"はこの曲のポイントですね。"wa"で曲を締められるように、ツアーでもこだわってやっているところです。

-ポルカドットスティングレイの雫(Vo/Gt)さんが作詞作曲をした「SHAKE! SHAKE!」もラップを入れてますよね。キャッチーなメロディも印象的でした。

柏木:今回は全体的にラップが多いんですよね。予想外な展開が来るというか、急に言葉が乱暴になるんです。

真山:イヤホンで聴くとめっちゃ楽しいと思いますよ、音のバランスとか。サウンドは"THE ポルカ(ポルカドットスティングレイ)"って感じですよね。

-そうですね。ギターの鳴りとかフレーズとかは、"まさに"って感じです。ポルカドットスティングレイは、みなさんの世代的にもよく聴くんじゃないですか?

真山:好きですね。嬉しかったです、本当に。"教祖様に書いていただけるなんて"って(笑)。ポルカと言えばサウンドとかMVみたいなイメージがあると思うんですけど、私は歌詞の世界観が特に好きなんですよ。この曲はサビのフレーズがまさにこの世代に――この世代にって、私はちょっと過ぎちゃったんですけど、10代女子にピッタリだなって思って......まだその心は捨ててないですけどね(笑)! 大人への反抗心というか、ポップなサウンドの中に反骨精神だったりとか、変わらないでいたいっていう想いがあったりするなって。それをエビ中っぽく書いてくださってます。

小林:響きましたね。現実を知らずに、"自分は楽しい、イエーイ!"って思って生きてきたなかで、最近になって裏事情というか、楽しいと思っていた裏ではいろいろ大変なことがあったんだなって知ったんです。現実を知ってから自分と現実との温度差がキツいことがありました。でも、この歌詞を読んで"別に知らなくてもいいんだ"って思って。私も"スキップしてさようなら"って言ってやる気持ちです。今の自分が言いたいことを書いてくださって、すごくグッと来ました。

-そして「愛のレンタル」では、マカロニえんぴつのはっとり(Vo/Gt)さんが作詞作曲をしていますね。

柏木:タイトルがもう......"愛のレンタル"だって。

小林:"愛ってレンタルできるんだ"って思うもん。

真山:そのままだね(笑)。

小林:基本そのままでお送りしてます(笑)。カッコいい曲ですよね。

真山:いろんな捉え方ができそうな曲だと思います。この曲に限らずなんですけど、解釈によって歌い方って全然変わるので、ボイトレの段階でイメージの照らし合わせをしているんです。それでもボイトレの先生と、ディレクションをしてくださる方のイメージが違うこともあって、そこはレコーディングをしながら調整していっていますね。

中山:デモには、はっとりさんバージョンと女性バージョンのヴォーカルがあったんですけど、そこでも歌い方が違ったんですよ。どっちの方向で歌うかは考えながらレコーディングしましたね。

柏木:そういえば今回のアルバムはどれもレコーディングが大変じゃなかった?

星名:うん。恋愛ソングがこのアルバムで急に増えたのでビックリしたというか、今まではあまりそういう曲を歌ってこなかったから大変だったのかもしれないです。曲にはいろんな捉え方があると思うんですけど、作品を通して温まるというか、気持ちがほっこりする曲があるなぁという印象がありますね。