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INTERVIEW

Japanese

私立恵比寿中学

私立恵比寿中学

『仮契約のシンデレラ』から10年。ついにエビ中(私立恵比寿中学)が、メジャー・デビュー10周年を迎える。エビ中にとっての10年は、人生の悲喜こもごもそのものだったように思う。彼女たちの翼は、何度も傷ついたし、時には立ち止まって羽を休めることも必要だった。それでも前を向き続けてきた彼女たちは、ついにセルフ・タイトルの新体制初アルバム『私立恵比寿中学』を発表するに至ったのだ。エビ中の過去と現在、そして未来への想いを訊いた。

メンバー:真山 りか 安本 彩花 星名 美怜 柏木 ひなた
小林 歌穂 中山 莉子 桜木 心菜 小久保 柚乃 風見 和香
インタビュアー:宮﨑 大樹 Photo by 濱谷 幸江

Skream!での初インタビューは結成10周年のときだったんですけど、今回はメジャー・デビュー10周年ということで、気持ちはまた違うものですか?

真山:そうですね。結成10周年と言っても、最初からいたのは私だけなので。メジャー・デビューしたときにはすでにひなたもいたから、そういう意味ではメジャー・デビュー10周年のほうがみんなの思い入れが強いのかなという感覚はあります。メジャーで10年もやっていけているアイドルは少ないと感じるので、ソニーさんには本当に感謝ですね。

安本:自分の人生においてターニング・ポイントになったのは、メジャー・デビューの日だったりするんです。メジャー・デビューして環境もガラっと変わったし、方向性も定まって。思い入れが深い10年周年だなと思います。

星名:最初の『仮契約のシンデレラ』(2012年リリースのメジャー・デビュー・シングル)から始まり、今こうして『私立恵比寿中学』というアルバムも出させていただいて、10年やっていくなかでいろんな方と楽曲を作らせていただきました。メジャー・デビューできたからこそ、たくさんの方と関わって、たくさんの曲を歌い続けることができています。これからも挑戦し続ける私立恵比寿中学でいたいなと思いますね。

柏木:あっという間の10年でした。今でも2012年の3月くらいにラゾーナ(ラゾーナ川崎)でやったDefSTAR RECORDSとの調印式とか思い出しますし。

真山:うわぁ~! 懐かしいね。"仮契約調印式"だったんですよ、最初は。

柏木:"Mr.デフスター"みたいな人が来てね。

星名:そう。"ソニーさんの偉い人だから"と言われていて。それを信じちゃったんです。でも、本当は俳優さんでした(笑)。

真山:リムジンに乗ってきたら本物だと思うよね。

星名:"やっぱり大企業の社長はすごい"と思って、最初は大人に騙されながらやっていました(笑)。

柏木:そのころからすると、本当にみんな大人になったんだなと思います。ジャケ写にもちゃんと顔が写るようになりました(笑)。メジャー・デビュー作品で写っていないって(笑)。

-(笑)DefSTAR RECORDSも含めて10年間もソニー・グループとやってくることができたことは、自信に繋がったんじゃないですか?

真山:そうですね。他のチームがどうなのかはわからないんですけど、エビ中は関わっている大人たちがほとんど変わっていないんです。だからこそチームの雰囲気が変わらずにできているなと感じていて。温かい空気のまま続けることができるのは、本当にありがたいことだと思いますね。最近は3人(桜木、小久保、風見)も入ってきて、すごくいい環境でやらせていただいています。

-できればメジャー・デビュー後の転機となった出来事について、順を追って聞いていきたいところなのですが、それだけでインタビューが終わってしまうくらいに歴史があるのでそこはグッと堪えます。最近の大きな転機と言えば、やはり"ここゆののか(桜木&小久保&風見)"の3人の加入ですよね。年末には現体制初の"大学芸会"("私立恵比寿中学 大学芸会2021~Reboot~")がありました。

中山:"大学芸会"はフル・メンバーでできたことが一番嬉しくて。"ファミえん"("みらいに響け、みなとのPLAYGROUND こと ファミえん2021 in 赤レンガ倉庫"/※現9人体制初ライヴ)が中止になってから他のアーティストさんのライヴを観て、"なんで私たちはこんなに立ち止まっているんだろう"と思っていたんです。とにかくライヴをやりたくて、"大学芸会"ができたことがとても嬉しかったですね。

-でも、中山さんは"大学芸会"のときに、「サドンデス」で"新メンバーが入っても興味がない"と言わされていましたよね(笑)。

中山:そう! 言わ"されて"いたんです! 興味はあるんです!

一同:(笑)

小林:私と莉子ちゃんは最年少から真ん中っ子になって、今までいたポジションではなくなったんですね。初めて妹たちができたのが難しかったというか、最年少であることに甘えられなくなって――甘えていたつもりもないんですけど、助けてもらっていた部分はあったんです。だから"大学芸会"は、自分たちは今後どうやっていかないといけないんだろうと、すごく考えたライヴでもありました。6人のときは6人のエビ中なりに真剣にパフォーマンスに向き合っていたんですけど、それをなくさずに、"いい意味で違うグループを観ている感覚になった"という声をいただいたんです。エビ中って、時代によっていろんな見せ方をできるグループなんだなと思って、すごくいいグループだなと感じました。

-"大学芸会"で感じた、このメンバーになったことでのエビ中の変化はありますか?

星名:まずは歌声が思いっきり変わりました。ユニゾンも、今まで6人でやってきたエビ中の声とはまた違う、すごくフレッシュなスパイスが入ったと思います。あとは、3人が私たちに追いつくために本当に必死で、一個一個のライヴだったりレッスンだったりに食らいついて、とにかくがむしゃらにやってくれているので、そういうところで自分たちが忘れていた気持ちを思い出したりしますね。私たち自身も3人からいい影響を貰っていて、歳の差はありますけど、高め合っていける存在なんじゃないかなと思います。

-食らいついているというのは、私もライヴを観ていて感じました。"ここゆののか"の3人は、10年間やってきた先輩たちに食らいつくためのレッスンの日々を振り返ってみて、どうでしたか?

桜木:最初のライヴは"@JAM"("@JAM EXPO 2020-2021")だったんですけど、そのときはリハーサルからふわふわしていた感じで、イヤモニをつけるのも初めてだったし、大勢の前で歌を歌うのも初めてだったので、すごく緊張していたんです。"これじゃダメだ。お姉さんメンバーに食らいついていくためには、もっと練習して自信をつけないといけない"と思って、"大学芸会"までにしっかりとしたパフォーマンスをできるように頑張りましたね。

風見:私は、"秋田分校"("私立恵比寿中学秋田分校~おらが美の国フェス2021~")で、自分ができていないことがわかって。映像を観返すと、手がちゃんと伸びていないとか、動きが小さいとかで、なんだかサボっているみたいに見えたんです。それだとパフォーマンスに対してお金を払ってくれる人に失礼だと思って、"秋田分校"ではすごく悔しい思いをしました。だから、"大学芸会"ではリハーサルから100パーセントを出して、本番では120パーセント以上を出せるように、日々のレッスンから頑張ったんです。"大学芸会"のリハーサルでは、お客さんがたくさん、上のほうまでいる光景を思い浮かべて本番の感じでやっていたんですけど、莉子ちゃんから"上を向いて踊れていて、いいね"と言われたのがすごく嬉しくて。今のリハーサルより、もっといいものを本番で見せたいと思ったし、そういうなかで、"大学芸会"ではパフォーマンス面で成長できました。

-小久保さんはどうでした?

小久保:4月に合宿でオーディションしてから、いろんなことがどんどん起きたんですけど、そのスピードが速すぎて。"大学芸会"までは8ヶ月経っているけど、2~3ヶ月くらいの体感というか、全部がすごく速かったです。起きたらすぐ次の日になっているというか。

安本:それは、よく寝れたんだな(笑)。

一同:(笑)

真山:歌もダンスもやったことがなかったもんね。

-それをよくあのクオリティまで持っていきましたよね。個人的には、桜木さんの大人っぽい声、小久保さんの特徴的な声、風見さんの少女性のある声と、3つの彩りが増えてエビ中の声がより多彩になったと思いました。そして、それがメジャー・デビュー10周年の7thアルバムにも反映されているように感じます。アルバムのテーマは"ファンのみんなと作り上げる"ということで、これについてはどう捉えていますか?

星名:ファンの方が毎度足を運んでくださらなかったら、こうしてメジャーで10年続けてくることは不可能だったし、どんなに大変なときでも足を運んでくださったファミリー(※エビ中ファン)のみなさんのことは、コロナ禍を一緒に乗り切った仲間だと思っていて。いつまでこういう状況が続くかわからないですけど、少し希望が見えてきている今、みなさんにも幸せな気持ちとか、もっと明るい気持ちを共有したかったんです。それで「Anytime, Anywhere」では、ファミリーの方から写真とか動画を募集して、リリック・ビデオを作りました。今までのエビ中は、そういう形でファンに届けることはなかったんです。"一緒に手を取り合っていく仲間"というのを今回は出したくて、リリック・ビデオでそういうことをやってみたいよね、とかみんなで考えたりしました。

-そういうテーマ性は、アルバムの楽曲にも表れているような気がします。子供から大人になって、その過程や人との繋がりを振り返ったり、これからを想いながら歌ったり、そういうテーマの楽曲が多いように感じました。

安本:この先のことをワクワク感じさせられるような曲が多いなぁと思って。今の自分に何が起こってるかというよりも、この先の未来に何が起きるのかという楽しさとか、幸せ感とか。特に「Anytime, Anywhere」はそれを感じる曲だと思うんです。ひと言で言うと幸福感という感じで。6人でやってきたアルバムとはまた違った、3人が入ったからこそ表現できる明るさだったり、ワクワク感だったりが出ていて、私たちもそれを楽しんでいます。

小林:今回のアルバムは多様性がひとつのテーマになっているんですけど、今までもいろんな曲に挑戦させていただいていて、前から"多様性していた"印象もあるんです。そう考えると、エビ中って昔から独特で、エビ中という道が今も続いているから、10年続くグループになれているんだなと実感しました。今までもいろんなジャンルを歌わせてもらっているけど、3人が入ってこういう曲に挑戦してみようみたいなものが集まって、さらにいろんな多様性が表れているから、完成が楽しみです。ワクワクしています。