Japanese
私立恵比寿中学
Skream! マガジン 2022年08月号掲載
2022.07.09 @LINE CUBE SHIBUYA
Writer 宮﨑 大樹 Photo by スターダストプロモーション
メジャー・デビュー10周年を迎えたエビ中(私立恵比寿中学)が、セルフ・タイトルの新体制初アルバム『私立恵比寿中学』を引っ提げ、3ヶ月にわたって全国を回った"私立恵比寿中学10th Anniversary Tour 2022~drawer~"。このツアーは、現体制初の春ツアーであり、柏木ひなたが12月に"転校"するため現体制最後の春ツアーでもある。グループにとって様々な意味を持つ、本ツアーのファイナルがLINE CUBE SHIBUYAで開催された。
開演前、西洋美術館のギャラリーを思わせる白を基調としたステージを、9色のメンバー・カラーのライトが照らしていた。"何色にも染めることができるし、染めてもらうこともできる"――本誌インタビュー(※2022年3月特別号掲載)で、エビ中をそう表現していた真山りかの言葉が思い出される。実際、この日のライヴはそんなエビ中の特性を体現したような出来栄えだった。
これから始まるライヴが彩り豊かなものになることを暗示するように、カラフルな衣装で登場したエビ中メンバーがこの日最初に披露したのは「全力☆ランナー」。爽やかに駆け抜けていく疾走感がありつつも、ピアノと歌唱が心を揺さぶる青春ナンバーだ。歌唱技術があり、且つ個性を弾けさせた歌声が素晴らしく、加えて2階席から観る9人のフォーメーションの美しさには目を奪われた。10年間歌い続けてきたメジャー・デビュー曲「仮契約のシンデレラ」では、先輩メンバー6人(真山りか、安本彩花、星名美怜、柏木ひなた、小林歌穂、中山莉子)の練度の高さを見せるとともに、昨年2021年に加入した3名(桜木心菜、小久保柚乃、風見和香)の目覚ましい成長も感じさせてくれる。
続いて「さよなら秘密基地」へ。始まりの曲から最新アルバム『私立恵比寿中学』収録曲に繋げる流れは思い切りの良さがあるように思えたが、10年前はまだ幼かった少女たちが、当時にはきっと歌えない、けれど成長した今だからこそできる感情表現で歌う「さよなら秘密基地」は、デビュー曲とのコントラストが良く映えていた。そんな「さよなら秘密基地」から「シュガーグレーズ」、「きゅるん」、「トキメキ的週末論」と4曲連続で最新アルバムからパフォーマンス。アイドルらしいポップでかわいらしい曲から、どこかノスタルジックな曲、クールでアーティスティックな曲まで歌いこなす。まさに"何色にも染めることができるし、染めてもらうこともできる"というエビ中の現在の真骨頂を発揮したセクションだったと言えるだろう。
なお今回のツアーでは、アルバム『私立恵比寿中学』収録の新曲が公演ごとに分けて披露されていたのだが、MCでは小久保が"今日はツアー・ファイナル。スペシャル・バージョンなので、(アルバムの曲を)全部やります"と、盛大にネタバレする場面もあった。それはそれでエビ中らしさであって、ほっこりしたファミリー(※エビ中ファン)も多かったことだろう。
柏木が歌唱で引っ張っていった「I'll be here」、マイク・スタンドを用いて大人なエビ中の歌声で魅了した「愛のレンタル」と続けてライヴ中盤戦へ。イントロが流れた瞬間にLINE CUBE SHIBUYAがざわつきだしたのは、「未確認中学生X」だ。アッパーなダンス・サウンドに乗せてエビ中とファミリーが一体となって踊り倒す。そんな光景を観ていたら、アゲ曲にもかかわらずなんだか目頭が熱くなる。メジャー・デビュー10周年という節目に行われたこのツアー。きっと人それぞれに思い入れが強い曲があるはずで、筆者のように、ふとこみ上げる瞬間がそれぞれにあったんじゃないだろうか。
情感たっぷりな歌唱を引き出す極上のポスト・ロック「春の嵐」を経て、ベース、キーボード、ドラム、ギター、4種の楽器に対応したスポットライトに触れると、その楽器の音色が流れ出すギミックが出現。真山、柏木、中山、風見の4人がパントマイムで笑いを誘う。それから4人で「でかどんでん」をパフォーマンスすると、小林、小久保のふたりはピアノ・バラードの「約束」を披露。今度は安本、星名、桜木がオープンカーに乗ってステージに登場し、夜のドライブの映像と共に「結ばれた想い」を届ける。エンターテイメント性溢れる演出が続いたが、その極めつけはお次の「夏だぜジョニー」だった。ギャルに扮した(でも、全然扮せていない)安本、星名、桜木が曲振りをすると、シャチフロートやスイカのビーチボールなど、夏らしさ全開のアイテムを持った他メンバーが合流する。柏木に至っては、宇宙人的な何かに抱えられてくるというシュールな姿で登場。こういったハチャメチャでワチャワチャなところもエビ中の魅力なのは間違いない。
するとここから"ハリー・ポッター"に出てくるような、喋る肖像画に扮したメンバー9人による寸劇が始まる。どうやら、絵画たちがいる私立恵比寿美術館(ステージ・セット)に泥棒が忍びこむという。そこで9枚の絵画が泥棒を撃退するため、歌で泥棒の足止めをして警察の到着を待つことに。そんなわけで、"泥棒が悔い改めるような、幸せになるような曲"という選曲で「ハッピーエンドとそれから」を披露した。温かで優しい歌声を聴いていると、心がほぐれ、洗われていく感覚になる。見事に"歌作戦"を成功させたエビ中は、「宇宙は砂時計」、「ナガレボシ」、「イエローライト」と、再びアルバム『私立恵比寿中学』から立て続けにパフォーマンスしていく。『私立恵比寿中学』収録曲はそれぞれ違うカラーを持っていて、曲が展開していくたびにLINE CUBE SHIBUYAがその曲の色で塗り重ねられていくようで、その光景はタイトルとして掲げた"drawer"という言葉に相応しかった。
「靴紐とファンファーレ」でクライマックスに向けて歩みだしたエビ中は、"嫌なことを全部ここに置いて帰ってください。私たちが歌で浄化させます"と真山が語り掛けてから「ポップコーントーン」、「イヤフォン・ライオット」と歌を繋いでいき、最後に「COLOR」を披露。希望を手渡すように、歌で想いを届けて本編はフィナーレを迎えた。
アンコールは、華やかでエネルギッシュ、だけれど青春の刹那性、儚さも滲み出るエビ中の新たな夏曲「青春ゾンビィィズ」の初披露でスタート。続いて「Anytime, Anywhere」でクラップを沸き起こして会場とステージを一体にすると、春から続いたツアーのラストを飾ったのは「手をつなごう」だった。"柏木ひなたと言えば"というイメージも強かったこの曲。"みなさんの温かさにいつも支えられてきています。本当にありがとうございます。このツアーも今日でファイナルとなりました。最後の最後までみんなで心をひとつに楽しんでいきましょう"(柏木)――そう語ってから、柏木の独唱がLINE CUBE SHIBUYAに響き渡り、楽器とメンバーの歌唱が交じり合っていく。そしてファミリーは、振付に合わせてペンライトを振ってこれに応える。メジャー・デビューを果たしてから10年間、片時も離れず手を繋いで歩いてきたエビ中とファミリーが、その絆をお互いに確かめ合うような時間だった。
アンコール終了後、ファンに感謝を伝えた9人は、後ろを向いて、一緒にツアーを回ってきたステージ・セットに深々と頭を下げる。そして頭を上げると、モニターには"ツアー完走おめでとう! 全国のエビ中ファミリー&スタッフ一同"の文字が。これにはメンバーも"ギャー!"と大騒ぎ。メンバー、ファン、スタッフ、それぞれの愛に溢れた一夜を象徴するサプライズ演出で、現体制最初で最後の春ツアーは完結を迎えたのだ。
[Setlist]
1. 全力☆ランナー
2. シンガロン・シンガソン
3. 仮契約のシンデレラ
4. さよなら秘密基地
5. シュガーグレーズ
6. きゅるん
7. トキメキ的週末論
8. I'll be here
9. 愛のレンタル
10. 未確認中学生X
11. 春の嵐
12. でかどんでん(ユニット:真山りか / 柏木ひなた / 中山莉子 / 風見和香)
13. 約束(ユニット:小林歌穂 / 小久保柚乃)
14. 結ばれた想い(ユニット:安本彩花 / 星名美怜 / 桜木心菜)
15. 夏だぜジョニー
16. ハッピーエンドとそれから
17. 宇宙は砂時計
18. ナガレボシ
19. イエローライト
20. 靴紐とファンファーレ
21. ポップコーントーン
22. イヤフォン・ライオット
23. COLOR
En1. 青春ゾンビィィズ
En2. Anytime, Anywhere
En3. 手をつなごう
- 1
LIVE INFO
- 2025.07.02
-
ヤングスキニー
キュウソネコカミ
SHE'S
Saucy Dog
Hump Back
Laura day romance × Billyrrom
Jean-Ken Johnny(MAN WITH A MISSION)/ 寺中友将(KEYTALK)/ 谷口 鮪(KANA-BOON)/ アユニ・D(PEDRO)
ドミコ
岡崎体育
- 2025.07.03
-
ヤングスキニー
キュウソネコカミ
斉藤和義
go!go!vanillas
蒼山幸子
kobore × プッシュプルポット × Brown Basket
PK shampoo
TenTwenty
Saucy Dog
ビレッジマンズストア
クジラ夜の街
KALMA
the dadadadys
神聖かまってちゃん
サカナクション
フィロソフィーのダンス×清 竜人25
岡崎体育
- 2025.07.04
-
Nothing's Carved In Stone
MAN WITH A MISSION
斉藤和義
ExWHYZ
GRAPEVINE
SAKANAMON
LOCAL CONNECT
the shes gone
ビレッジマンズストア
蒼山幸子
kobore × プッシュプルポット × Brown Basket
女王蜂
ザ・シスターズハイ
のうじょうりえ
DOLL PARTS
カナタタケヒロ(LEGO BIG MORL)
GANG PARADE
佐々木亮介(a flood of circle)
大原櫻子
緑黄色社会
ポルカドットスティングレイ
リーガルリリー
浅井健一
サカナクション
Mom
- 2025.07.05
-
Nothing's Carved In Stone
SAKANAMON
鶴
THE ORAL CIGARETTES / ヤングスキニー / 水曜日のカンパネラ ほか
reGretGirl
GLIM SPANKY
チリヌルヲワカ
キュウソネコカミ
ART-SCHOOL
コレサワ
[Alexandros]
フラワーカンパニーズ
shallm
go!go!vanillas
アーバンギャルド
ExWHYZ
FINLANDS
"見放題大阪2025"
GRAPEVINE
片平里菜
HY
SCOOBIE DO
the shes gone
怒髪天
荒谷翔大
the dadadadys
envy
サイダーガール
緑黄色社会
め組
Helsinki Lambda Club
androp
WtB
ASP
Conton Candy
The Slumbers
有村竜太朗
- 2025.07.06
-
PEDRO
Creepy Nuts
UVERworld
鶴
ビッケブランカ
sumika / Novelbright / Omoinotake ほか
荒谷翔大
reGretGirl
[Alexandros]
竹内アンナ
go!go!vanillas
ネクライトーキー
FIVE NEW OLD
DYGL × Newspeak × ANORAK!
片平里菜
PK shampoo
GLIM SPANKY
"見放題名古屋2025"
女王蜂
SCOOBIE DO
怒髪天
チリヌルヲワカ
ART-SCHOOL
Bimi
jizue
クレナズム
halca
HY
SIX LOUNGE
ドレスコーズ
LEGO BIG MORL
有村竜太朗
フラワーカンパニーズ
- 2025.07.07
-
ビレッジマンズストア
ナナヲアカリ
NakamuraEmi
浅井健一
- 2025.07.08
-
TENDOUJI
Hump Back
go!go!vanillas
ビレッジマンズストア
the dadadadys
kobore × プッシュプルポット × Brown Basket
銀杏BOYZ
- 2025.07.09
-
SHE'S
いきものがかり
Maki
山内総一郎(フジファブリック)
- 2025.07.10
-
TENDOUJI
Saucy Dog
礼賛
いきものがかり
浅井健一
ヤングスキニー
キュウソネコカミ
BBHF
the dadadadys
Hello Hello
GRAPEVINE
ザ・シスターズハイ
Organic Call
downy
四星球
- 2025.07.11
-
TenTwenty
女王蜂
TENDOUJI
なきごと
the shes gone
フレンズ
Saucy Dog
Laughing Hick
浅井健一
WtB
yutori
ビレッジマンズストア
古墳シスターズ
東京スカパラダイスオーケストラ
ヤングスキニー
キュウソネコカミ
のうじょうりえ
賽
ヤバイTシャツ屋さん × Perfume
wacci
KALMA
LITE / DO MAKE SAY THINK / HOTEL NEW TOKYO
GLIM SPANKY
Mirror,Mirror
reGretGirl
四星球
Rei
- 2025.07.12
-
大原櫻子
星野源
藤沢アユミ
FIVE NEW OLD
ASP
コレサワ
あれくん
ART-SCHOOL
SAKANAMON
女王蜂
LOCAL CONNECT
BLUE ENCOUNT
竹内アンナ
いゔどっと
PK shampoo
荒谷翔大
ACIDMAN
ズーカラデル
夜の本気ダンス × BRADIO × 8otto
チリヌルヲワカ
Homecomings
ブランデー戦記
[Alexandros]
鶴
SVEN(fox capture plan)
YUTORI-SEDAI
ビレッジマンズストア
GRAPEVINE
Nothing's Carved In Stone
ADAM at
WtB
Eve
有村竜太朗
Bimi
MAPA
安藤裕子
蒼山幸子
古墳シスターズ
斉藤和義
原因は自分にある。
怒髪天
渡會将士
マオ(シド)
- 2025.07.13
-
星野源
あれくん
SVEN(fox capture plan)
CYNHN × タイトル未定 × fishbowl
TenTwenty
板歯目
SAKANAMON
LOCAL CONNECT
FIVE NEW OLD
ASP
YOASOBI
BLUE ENCOUNT
コレサワ
鶴
"HELLO INDIE 2025"
なきごと
ズーカラデル
UNCHAIN
ART-SCHOOL
有村竜太朗
アルコサイト
[Alexandros]
寺口宣明(Ivy to Fraudulent Game)
チリヌルヲワカ
GRAPEVINE
Nothing's Carved In Stone
Homecomings
ADAM at
ブランデー戦記
Eve
神はサイコロを振らない
荒谷翔大
カミナリグモ
FUNNY THINK
ぜんぶ君のせいだ。
VOI SQUARE CAT
安藤裕子
古墳シスターズ
東京スカパラダイスオーケストラ
reGretGirl
斉藤和義
原因は自分にある。
トラケミスト
- 2025.07.14
-
Mirror,Mirror
- 2025.07.15
-
有村竜太朗
板歯目
BLUE ENCOUNT
桃色ドロシー
[Alexandros]
Mirror,Mirror
キミノオルフェ
羊文学
Saucy Dog
Ivy to Fraudulent Game
RELEASE INFO
- 2025.07.02
- 2025.07.03
- 2025.07.04
- 2025.07.05
- 2025.07.06
- 2025.07.07
- 2025.07.08
- 2025.07.09
- 2025.07.10
- 2025.07.11
- 2025.07.13
- 2025.07.15
- 2025.07.16
- 2025.07.18
- 2025.07.19
- 2025.07.20
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
音ノ乃のの
Skream! 2025年06月号