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INTERVIEW

Japanese

Muvidat

2019年07月号掲載

Muvidat

Member:Uqui(Vo) MAH(Dr)

Interviewer:山本 祥子

2017年、全20公演のラスト・パーティーをもって無期限の活動休止に入ったSHAKALABBITS。その1年後、UquiとMAHが新たな一歩を踏み出したのもやはりライヴハウスだった。新プロジェクトの名前は"Muvidat"。そしてついに世に放たれる初のフル・アルバムも『Muvidat』だ。発表時に出されたUquiの解説によると、"「夢寐」は眠って夢を見る間、「脱兎」は非常に速いことのたとえで。夢の中...物語や音楽やライブの世界などに即効入れるイメージ。いつだって夢中になれるんだってことがバンドのテーマみたいなもの"ということらしい。アルバムについてはもちろん、バンドのこと、ちょっぴり変わったUquiの名前、始まりじゃないと訊けないこと、ゼロからの始まりじゃないから訊けること、いっぱい訊いた。

-「19 Years」のMVを観て、"みんな、ありがとう"から始まるバンドって素敵だなぁと思いながら、今日来ました。

Uqui&MAH:ありがとうございます。

-しかしUquiから"一昨日、MAHに「一緒にやってるのに私のソロである意味なくない?」っていう話をしたの"って聞いたのが1年前(※2018年6月号掲載のSHAKALABBITSのインタビュー)で。そこからの展開はまさに激動ですよね。

MAH:激しかったぁ。2人組になって、急にドラムも叩くことになったし。まぁ俺も叩かせてもらえるなら叩きたいけど、そこからはとにかく地味に地味に曲を作っていって。

Uqui:ライヴを決めちゃったんだよね。会場も押さえちゃって、それに向けて何がなんでもやるしかない! ってなって。と言いつつ、アメリカへフェスを観に行って。それはチケットの手配をうんと前に済ませていたから、偶然っちゃ偶然のタイミングなんだけれども。浴びるものを浴びたら気持ちが変わるかもしれないし、いろんな道が増える気がして、行って海外のライヴを観たら、"やっぱり行って良かったー"ってなって。ただレコーディングを始める段階になっても、バンド名はまだ決まっていなかったから、ほんっとにギリギリだったよね。

MAH:自分たちの力だけでは盤にできず、まずは配信で発表することにしたんだけど、そこで名前が必要になって"じゃあMuvidatで!"って。候補はいろいろあったんだけどね。

Uqui:"Muvidat"という名前は早い段階からふわっと出ていたんだけれども、いったん封印して広辞苑とか類義語辞典を捲ったり、ネットでも探したりしながら"どうする?"って言い合って寄り道をいっぱいして、一番しっくりくるのはやっぱり"Muvidat"だったっていう。

MAH:英語表記ってかっこいいから大好きなんだけど、我々は日本人だし言霊みたいなものを信じているところがあって。日本語として意味がちゃんとあって、それを英語表記にするのがいいねって話してたの。SHAKALABBITSは逆だったのね。英語で考えてから、それを日本語にしたら釈迦と兎だということで日本語表記も使っていたんだけどさ。

-そうやってバンド名を考える作業自体、ほぼ20年ぶりだったわけでしょ?

Uqui:そう。だからすごく緊張したし、こんなに決められないものなの!? っていうくらい無音の時間が流れた(笑)。

MAH:本当のところ、曲が出せてライヴができれば名前なんてどうでもよくて。名無しでいいなら名無しでいきたかったくらい。

-"かつてプリンスと呼ばれたアーティスト"みたいに?

Uqui&MAH:そうそうそうそう(笑)!

-しかしアルバムを聴いていると、"夢寐(読み:ムビ)"と"脱兎(読み:ダット)"という言葉に引き寄せられていくというか。

MAH:その言霊に引っ張られてる感はあるね。

Uqui:"こんにちは、Muvidatです"っていっぱい言ったもん。ライヴを想定して候補のバンド名を全部口に出してみて、一番しっくりきたのがMuvidatだったかもしれない。

-あと新プロジェクトって書いてありますが、音を聴いた瞬間こりゃバンドだなと。

MAH:うん。バンドだ。好きなもの作ろうとしたらこうなっちゃった。

Uqui:Muvidatだから曲も歌詞もガラッと変えなきゃみたいな気持ちは全然なかったし、無理だよなぁって。だから素直にできることを形にしたら、SHAKALABBITSの続きになったっていう感じ。実際、アルバムにはSHAKALABBITSのときに形にしなかった/できなかった曲も入ってて。このメロディ好きだな、ここのコード進行最高だよねっていうのを掘り起こして聴いてみて、今やりたい曲たちを作っていったの。

-そのフラット感がいいなぁと思っていて、さらにそれを「19 Years」って曲にして、前にプロローグはあるけども、アルバムの頭に置いたというのもSHAKALABBITSファン、音楽ファンに対する愛が溢れてるよなーって。

Uqui:別の役をやるわけではなく、相変わらずのUquiだし、MAHだし。ただ「19 Years」は実は最後にできた曲で。

MAH:夢中で曲を作ってたんだけど、ちょっと離れてたんだよ。SHAKALABBITS感とか、俺らの想いから。でもしっかり橋渡しをしておきたいなぁと思って。レコーディングするってなったときに、"この曲もやりたい。この曲がないと繋がらないと思う"って宣言して、最後に録らせてもらったの。ここで繋げないと感謝の意味にならない気がしたから。

Uqui:うん。アルバム『Her』(2017年リリースのSHAKALABBITSの8thフル・アルバム)の最後の曲「Stars」の続きの気持ちで私は書いていて。

--"抱えきれないほどの歌 ありがとう"(「Stars」)というフレーズを受けての"僕ら歌い続け 星たちが廻るのさ"(「19 Years」)かなって思ってて。けど資料を見たら、"えっ、MAHに書いたの?"って。

Uqui:最初はね、MAH君に対するありがとうからスタートしたんだけど、応援してくれてるみんなの顔がチラチラって光って見えてきて、同じだよなぁと思ったら、"そうだ、みんなに伝える歌なんだ!"って。だから言葉数は少ないんだけど、うわーって書いたの。

-この曲だけじゃなく、今回の歌詞は全体的に短いよね。そして断然シンプルになってる。

MAH:歌詞を書くUquiさんを横で見てると、この人はどんどんファンのみなさんを信じるようになってるなぁっていう感じがする。"いや、(全部言わなくても)わかるっしょ!"みたいな。

Uqui:ふふふふ(笑)。うん。"あのときのあのフレーズ"とかいうのも散りばめていて。言い方はあれだけど、今まで書いてきた言葉は私にとって本当に使いやすいんだよね。想いを込めたフレーズって、違う曲にハメてもすごくしっくりきて。逆に別の言葉を考えれば考えるほど、自分の出したいニュアンスから遠のいてしまう。だから、いろんな歌詞を書いてきて良かったなぁと思いながら新しい歌詞を生み出していたよね。