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INTERVIEW

Japanese

Muvidat

2021年06月号掲載

Muvidat

メンバー:Uqui(Vo) MAH(Dr)

インタビュアー:山本 祥子

悲しいかな、ままならない日々はまだまだ続きそうだけれど、このとびきりのサマー・チューンを聴いている間は、真夏の陽射しや、海岸通りの潮風や、仲間たちの笑い声を思いきり感じられる。ロックでポップなサウンドに心躍らせ、口ずさめば、ちょっぴり勇気が湧いてくる。初の配信シングル「熱帯的シンドローム」は、Muvidatのふたりから2020年の夏を素通りしてしまった私たちへの、最っ高のプレゼントだ。

-コロナで制作が変わったという話をよく聞きますが、Muvidatはどうでしょう?

MAH:かなり変わったよ。うん。今、俺がレコーディングで録っているんだもん。

Uqui:MAHがエンジニアだよ。信じられないでしょ(笑)?

MAH:今回のギターとベースの録り、俺だから。

-初めて聞く話だけども、以前からエンジニアに関する勉強をしていたんですか?

Uqui:コロナ前からそんなにワーワー遊びに行ったりしてなかったけど、コロナ禍になって引き続きこもりすぎるっていうか。

-また、思っていたよりこもりすぎる時間が長いから。

Uqui:ねー。で、まぁやれることをやろうっていうことで、MAHは音楽ソフトを学び、私はiPadで絵を描く方法をYouTubeで勉強をし、この1年はもう覚えまくった感じだよね。

MAH:結果、「熱帯的シンドローム」が俺のエンジニア初作品です。家で録ったものを持ってエンジニアのUNAさんのところへ行って、Uquiさんのヴォーカルとドラムを録らせてもらって。だからエンジニアがふたりいる感じ。そしてバッチリいい曲ができました。

-まさしく。曲を聴いていると、充実した時間を過ごしていたんだなっていうことが伝わってきます。

MAH:裏テーマというか、Uquiさんと最近よく話してるのは、抗わないようにしようぜっていう。そういう流れがきてるんだから、流れに身を任せるじゃないけども、無理矢理やろうとしても無理だし。

-10年前までは比較的抗いがちだったような(笑)。

MAH:それがねー、全部失敗だったの。はははは(笑)。

Uqui:流れるままが一番。大変な問題が起こったぞってなっても、怒りや悲しみは飲み込んで、そこから何が始められるかを考えて悩んだほうが面白いし。頭ではわかってても、感情で動いてしまうのが人だけれども、まぁしゃあないしゃあないっていうふうになれた。これが年を重ねるということなんでしょうかね。

-そうしないと精神衛生上良くない、心が保てないことばっかりだったしね。

Uqui:そうかもしれない。ライヴが減ったことはとっても退屈だし、これは幻か!? みたいな気分にもなるけど、やっぱり現実で。今は無理なんだから、他の作戦を練ることしかできないもんね。

-私は自粛期間中、『Fog Lights』(2020年リリースの2ndミニ・アルバム)をずっと聴いていて。アルバム・インタビュー(※2020年6月号掲載)での言葉"みんなのモヤモヤや、ザワザワしているものを、ふたりで照らして霧を晴らすことができたらいいなっていう気持ち"を思い出しては、預言者かよ! って。

一同:あははははは(笑)。

-この1年、会いたいけど会えない人への想いをみんなが抱えて過ごしたわけじゃないですか。「聞こえる」(『Fog Lights』収録)はその寂しさにやさしく寄り添ってくれる曲だから。

Uqui:言われてみればそうだね。

MAH:Uquiさん、よくあるんだわ。こんな夢を見たよって話がリアルになったりするの。本人は覚えてないかもしれないけどね。そして、そんなUquiさんがうらやましくてさ。俺は一切夢を見ないから。気絶したみたいに、その時間の記憶だけがない感じで。

-なので「熱帯的シンドローム」に登場する"新時代なんだぜって身軽に行こう"もね、こうなったらいいなぁと思ってます。

Uqui:今年は"風の時代"とか言われてて、なんぞや? って思うじゃん。だけどこういうことなのかなって感じることがバチバチ起きて、すごくひらめいちゃうの。その瞬間にしか会えない人に会えて、そしたら気持ちが通じて、じゃあこうしようああしようみたいなアイディアが実現に向けて一気に進み出したり。で、離れるものに対しては、冒頭にも話した通り、抗わずに、これも未来のためなんだって穏やかに離れたり。とても不思議な1年の始まりを迎えたから、風は感じている。そしてビュンビュン乗っているなという実感もある。この曲はシンプルに、ドライブだったり、散歩だったり、みんなが夏を感じる場面で流れて、気持ちが高ぶったらいいなーっていうところから始まったんですよ。

-それはUqui自身も夏を感じたかったってことなのかしら?

Uqui:うん。きれいなものを見て、輝いてるものを感じて、何も気にせずワイワイする時間が一番欲しいものだし。今はパッと集まれるわけでもないから。仲間たちと車に乗り込んで密になって移動して、音楽をかけたらこの曲が流れてきて、みんなで大きな声で歌う。あぁ、楽しいなぁみたいな光景を勝手に思い描いて書きました。

-そうできたら最高だよね。考えたら去年は夏を感じないまま終わってしまったし。

Uqui:なんでこの曲を選んだかって、それだけなんだよね。一番夏らしいから。レコードで言うと、裏面っぽいイメージの曲ではあるけど、季節的に響いてほしいのはこの曲かも! っていうので選ばれた。

-他にも候補曲があったんですね。

Uqui:すごくいい曲がいっぱいある。もちろんこれもいい曲だけど。

MAH:俺ら出す順番を相当考えるよね。オラー! っていう曲は今じゃないと思うから。

Uqui:かといって、まだ不安定なこの世界の中で、癒しのメロディも違うし。

MAH:ちょうどいいのよ。ロックだけどロックすぎないし、何度聴いても飽きないするめ曲だしね。しばらくこれを聴いててねって気軽に手渡せる感じ。

-手渡すと言いつつ、イントロが聴こえてきた瞬間、熱風とともに土足で家に上がりこまれた気分です。

Uqui:得意だもんね。しかもMAHが家で作ったかたちとほぼ変わってないから。

MAH:ある程度できたら、大樹(音の旅crew/Ba)となおぴー(空想委員会の佐々木直也/Gt)に家に来てもらって。その時点でベースは入ってないからさ、なぜなら俺が作れないから(笑)。しかも大樹のベースは面白くて。あっ、そう弾くんだ、みたいな驚きが毎回あるし。逆にギターは、俺が考えたオブリをなおぴーがきっちり弾いてくれて、しかも褒めくれたりして。だからおいしいご飯を振る舞う。Uquiさんが生姜焼きを作ったりとか。

Uqui:チヂミを焼いたり、ニラ醤油を作ってね。

MAH:それを餃子にかけたりして。

Uqui:餃子はめちゃくちゃ焼いたなぁ。みんなが"まだいけます!"って言うから。

MAH:で、食うだけ食ってなおぴーは寝るっていう。完全なるリラックス・モード(笑)。

-とびきり幸せな時間ですよ。いいギターを弾いて、お腹いっぱい食べて、寝る。

MAH:基本的にメロディが降りてきた時点で、どういうサウンドになるかはもううっすらあるので、それを実際に探す旅が一番大変で。最初から普通のコードの1個上に乗っかってる状態で浮かんでるから、"サビに入れる音は何がいいかな?"っていうふうにはほとんど作ってない。

Uqui:だから単体で聴くと、なんでこれが出てきたんだろう? って思う。ギターのオブリは特に。でも混ざると、これしかないね、みたいな説得力を放つわけ。だからMAHは"なおぴー(空想委員会の佐々木直也/Gt)のニュアンスでいいよ"って言うんだけど、(佐々木)は"いや、これがいいっす"って一生懸命コピーしてて。

MAH:嬉しいよねー。

Uqui:でも覚えるのがすごく大変なくらい、珍しいオブリなんだよね。面白いなぁと思う。これはMAHさんの特徴かも。もちろん最終的にはなおぴー節になっていくのだけども。

-プロデューサー的な視線というか、曲を俯瞰で見て作るからなのかも。

MAH:それは前にエンジニアのUNAさんにも言われて。"MAH君はマスタリングのことを考えて作ってくれるよね"みたいな。けど俺はマスタリングのことを考えて作ってるわけじゃなくて、最後の完成形しか聴こえてないだけなの。どうやったらそうなるんだろうってひもといていくと、間を縫って変なオブリを入れることになるという(苦笑)。だから逆に完成したものをいじるのが苦手で。REI(REI MASTROGIOVANNI)とかはまったく別モノにできるじゃない。今回のリミックス(「熱帯的シンドローム -SPARKA + BISTRO FUNK REMIX-」)もさ。

-フッと思わず肩の力が抜けるような、気持ちのいいリミックスでした。

Uqui:今回もREIらしくてすごくいいよね。REIは素材があるほうが嬉しいっていうタイプだから。

MAH:諦め始めたもん、俺はプロデューサーに向いてないなって。この曲を違うアレンジにしてくださいとか言われても、木彫りの龍をどうにか熊にしてって言われているようなもんで、すっごくちっちゃい熊になっちゃう。ちっちゃい上に数もいっぱい、みたいな。

-クククク(笑)。MAHにとっては、最初の龍の姿が一番かっこいいんだな。

MAH:そうそうそう。龍のまんま、このまんまがいいと思うよって。

Uqui:途中経過を聴かせてくれるんだけど、"引き続き頑張りたまえ"としか言うことなくて。MAHから"全然自由にやって"って託されても、その時点でメロディも見えてるから崩したいと思わないし。たまにね、ちょっとこっちに行ってみていい? くらいなもんで。それにUqui節を出しちゃうと、もうUquiメロディになっちゃうの。

MAH:フェイクでUquiさんが特に出てくるよね。

Uqui:それがいいときもあるけど、"なんか聴いたことあるなぁ"みたいに思っちゃうから。MAHのフェイクのほうが私には新鮮。まぁそれも結局は自分のものになっていくんだけどね。