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INTERVIEW

Japanese

チャットモンチー

2018年06月号掲載

チャットモンチー

Member:橋本 絵莉子 福岡 晃子

Interviewer:石角 友香

-福岡さんはいかがですか? 最近、福岡さんにはトラックメーカー的なイメージが個人的にはあります。

福岡:もともと結構、エレクトロとかデジタルとか好きなんですけど、ライヴでメカット(メカットモンチー)をやってみて、初めてトラックメーカーの人のすごさを実感したんです。生楽器しかやったことなかったから、"こんなに緻密なんや"と。友達で打ち込みやってる人に"どうやったら打ち込みが上手くなるのか"って聞いたら、"好きな人の打ち込みをコピーしてみたらいいよ、そしたら意外と全然できないから。だから、それに近づくように練習してみたら、どうやって音ができてるかがわかるよ"って言われて、なるほどな、と思いました。バンドと一緒ですよね。打ち込みもやっぱ打ち込みの世界がすごい広がってて。そこに私はワクワクする感じで、"この人の音いいな"とかは自然とありましたね。

-今の20代前半の人とか、そういうのをさらっとやるじゃないですか。

福岡:ほんまに。"なんで?"と思いますよね。

-デジタル・ネイティヴってそういうことか! って思います。

福岡:はっきり言って"手グセ"とかいう世界はないですもんね。

橋本:"耳グセ"みたいのはないん? "この音好きやな"、"似るなぁ"とかを選ぶっていう。

福岡:うん、そうやな。だから結局、無限に音源があるから好きなのを選ぶのはわかるし、名前をメモってたりはします。音探すだけで1日終わっちゃう。

-1曲目からインストに近い曲でメカを象徴するようなオープニングなんですが、好きな音のセンスがわかります。

福岡:あ、そうですか(笑)。なんかちょっと曲足りんなと思って(笑)。

-それでインストのオープニング的なものを入れたと?

福岡:いきなり曲が始まったら、みんなびっくりするかもっていうのもあって、イントロみたいなものを作ろうかな、っていうノリで作ったっていう。

-最近のラップ・ミュージックやトラップ、エレクトロの潮流というか、そういったものが福岡さん自身のモードとして混ぜ合わさった感じなんですか?

福岡:私のモードというか、結局チャットモンチーっぽくなるのは、えっちゃんがあったかい音が好きっていうのもあって。それで、主にえっちゃんが生楽器担当だったんですけど、それと繋ぐっていうことを考えると、打ち込みだけど、優しい音にはなったかなと思います。打ち込みだということに気づかない人もいるかもしれないですね。打ち込みとバンドをそんなに聴き込んでない人には、差がわからない音もあるかもなと思いました。

-「たったさっきから3000年までの話」はリード曲ですね。橋本さんはお家のリビングが目に浮かぶような歌詞を書いてらっしゃいますが、どういう発想だったんですか?

橋本:実家に帰ったときに書いたんですけど、父親が椅子に座ってニュース番組を見てるところを見ながら、歌詞の破片ができました(笑)。

-お父さんだったんですね。最初、息子さんかなと思って。

橋本:父の姿に重ねてたんだと思います、息子の姿を。

-直接的なワードも多いけど、どこの家庭でも展開されてそうな情景でもありますね。歌詞からメロディができたんですか?

橋本:もとはギターでメロディをつけてたんですけど、歌で作っていくときに、サビで歌詞のない曲にしよっかなって。サビの一番盛り上がってるような部分はもう想像に任せます! みたいな曲にしようと思って、最初はそういう感じで作っていきました。

-内容はタイムリーでシリアスなようで温かいようで、不思議な曲ですね。

橋本:そうですね。でも、そうじゃなかったらいいなっていうような想いを込めました。 "そういうときもあったね"みたいになればいいなと思って。そういう願いが入ってます。

-福岡さんはこの曲を作るとき、どうやって形にしていきました?

福岡:何を大事にしたかな......。この曲ともう1曲ぐらいに関しては、えっちゃんのやりたいことがはっきりしてて、最後を派手にしたいみたいなのは最初からあった気がする。

橋本:ギターで作ってたけど、ギターって打ち込みにあんまり交ざりにくいやん。だから、鍵盤で弾いて考えていったような思い出がありますね。

-「the key」は非常にかっこ良くて個人的にはハイライトなんですけど。橋本さんのギターがかっこ良すぎてですね。

橋本:あ、アウトロですか?

-うん。Neil Youngか! みたいな。

橋本:すごい。あの、私の中ではTak Matsumotoだったんです。すみません(笑)。

一同:はははは!

橋本:すみません(笑)。でもね、最後に関しては、そういう"ギター、かっこいい!"みたいな人をイメージしながら弾きました。

-Tak Matsumotoってイメージしてこの曲聴いたら、いろんな要素がありすぎてびっくりすると思いますが。

橋本:そうですね(笑)。

福岡:最後にしか垣間見えない(笑)。

-これも橋本さんの歌詞があり、あとはどういう順番でできていきました?

橋本:これは......メカで最初に作った曲だよね。2年前くらいかな。

福岡:うん。結構前にできてた。この曲私も結構好きで、ライヴでやりたいと思ってたけど、頑なにえっちゃんがやろうとしなかったんですよね(笑)。

橋本:メカに変わってから最初にこの曲ができて"いいな"って言ってたんやけど、そのときは自信がなかった。みんなの前で、フェスでやる自信がなかったんですよね。

-すごく行間を読む感じの曲ですもんね。

橋本:そう。そのときは、それが青空の下にいる人たちに届くかどうかがとても不安でした。