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INTERVIEW

Japanese

aint × BIGMAMA

2018年06月号掲載

aint × BIGMAMA

aint:ニシダコウキ(Vo/Gt)
BIGMAMA:金井 政人(Vo/Gt)
インタビュアー:山口 智男 Photo by 加藤 智裕

ニシダ:「Moondrop」は、今回のシングルに加えて、8月22日にリリースされる『灯』というミニ・アルバムにも入るんですけど、最後の最後にできた曲で。aintは今まで変拍子でのアプローチが多かったというか、変拍子じゃない曲が少なかったんですけど、変拍子じゃない曲でもaintの良さを出せるようになっていきたいと思いながら作った曲だったんです。メンバーに聴かせたときも、"これ、いいね"って、反応が良かったので、実は自信がありました。

金井:僕もいい曲だと思いました。簡単な話で、自分が関わった曲は一番好きでありたかったんです。それはエゴかもしれないけど、信念としてあって、ニシダ君が作ってきた曲を並べて聴いたとき、「Moondrop」が一番好きだと思うと同時に、"こうしたらもっと好きになるんだけど"っていう提案がいくつか見えたんですよ。それって普段、自分が曲を作るとき、最後の最後まで、それこそ歌入れの瞬間まで考えていることで、それをできるだけ投げ掛けてみようって。ただ、最終的なジャッジは――僕はボールを投げるだけで、それを振る振らないはバンドに任せようと思いました。どこで聴く人の耳を掴みたいかというか、1回聴いたとき何を覚えてほしいかとか、10回聴いたとき何をわかってほしいかとか、自分が思う、もっとこうしたら曲の柔軟性が上がるんじゃないかと思うところがたくさんあったので、それを投げ掛けたとき、いくつかは振ってくれたのかな。

ニシダ:いや、僕らとしては、ほぼほぼ振ってましたよ(笑)。

金井:そうだったね(笑)。いくつかって言ったのは、全部が全部じゃいけないというか、その(振るものと振らないものの)ジャッジはバンドにしてほしいと思ったからなんですけど。バンド・サウンドに関しては、今、バランスを取りにいくことって、すごく危ういというか、尖ったことをやった方がaintがかっこ良く見える時期だと思ったから、自分が丸くしてしまうことだけは絶対にやめようと思ってました。ただ、言葉に関しては、自分が10年歌詞を書いて、レコーディングしてきて、今だからこそわかることがたくさんあるので、それについて思ったことはたくさん言いましたね。歌詞に関しては、うるさかったと思います。

ニシダ:金井さんから"歌詞を一緒に書くのもありだと思うよ"って言われたときは、歌詞を直されちゃうんじゃないかってちょっと不安もあったんですけど。実際は、メロディに対して歌いにくいところを、歌詞の世界観を変えずに"もっとこうしたら歌いやすくなるよ"って、言葉の選び方についてアドバイスしていただいて、それプラス、サビのメロディをちょっと縮めたり、逆にAメロとBメロの最後の歌詞で、もともと1回だけだったところを繰り返しにしたことで印象的にしてもらったりして、すごく勉強になりました。それともうひとつ、うちはusako (Vo/Gt)って女の子のギターがいるんですけど、彼女のコーラスを加えることで主旋律が際立つようにアドバイスしてもらって。しかも、2番では金井さんも自らコーラスを入れてくれたんですよ。

金井:もともと100点の楽曲だったんですよ。それを120点にするぐらいの仕事だと思ってたので、"もうちょっとこうしてみたらどうかな?"とか、"こういうのも聴いてみたいな"とかっていうリクエストをする簡単な仕事だったと思います。仕事でもないっていうか、時折、表現者って余計なことをするきらいがあるんですけど、そこはシンプルな方がいい。このことは自分が曲作りするときにも跳ね返ってくるんですけど、サビの情報量というか、理解してもらうスピードって、自分が100だと思っていても、一発で100伝わることって難しい。それをどこまで熱量を保ちながら、簡単なものにできるか。もちろん、簡単=素晴らしいってわけじゃないけど、ロック・バンドに相応しいスピード感と情報量ってきっとあって、その最適なところを見つける手伝いができていたら、それが今回の仕事のキモだったのかなって思います。

-aintにはこれからどんなふうに頑張ってほしいですか?

金井:偉そうなことは言えないですけど、お互いに替えの利かないバンドでありたいですね。それは常々思います。ロック・バンドとして、かっこ良くあり続けながら生き長らえるなら、絶対替えの利かないバンドになることだと思うんですよ。唯一無二の存在になれば、需要とか、流行り廃りとかは関係なくなってくる。それが自分が思うバンドの理想像だし、そういうバンドがいたらかっこいいと思いますよ。

-「Moondrop」は多くの人に聴いてもらえるきっかけになる曲だと思うのですが、aintは今回のシングルをステップに、どんなふうに活動していきたいと考えていますか?

ニシダ:「Moondrop」は僕らの中ではキャッチーな曲なんですけど、カップリングの「明日が来るまで」は逆に僕らのバチバチした部分を詰め込んだ曲なんです。そんな対極にある2曲を聴いた人たちが、どっちのaintが好きなのか興味があります。だからって、好きという声が多い方に進んでいくわけではないんですけど、それも参考にしながら、できるだけ大勢の人に聴いてもらえるバンドになっていきたいです。とりあえずはシングルのリリース・ツアー(6月から7月にかけて開催する[aint TOWER RECORD生産限定single "Moondrop/明日が来るまで" release 『月灯りと廻るツアー』])に、ぜひ足を運んでいただければというのと、ミニ・アルバムがリリースされる8月22日には"UKFC on the Road 2018"の新木場STUDIO COAST公演で、ステージは違うんですけど、BIGMAMAと共演の機会があるので楽しみにしていただければと思っています。