Japanese
BIGMAMA
2011.03.30 @SHIBUYA-AX
Writer 花塚 寿美礼
きっと誰もが一度は聴いたことがあるであろうクラシックの名曲とロックの出会い! そんなことをやってのけたコンセプト・アルバム『Roclassick』のツアーもここSHIBUYA-AXでグランドファイナルを迎えた。
ソールドアウトとなったこの公演に詰め掛けたファンでフロアはパンパン。ステージには絵画が飾られ、舞踏会に招待されたような優雅な空間となっていた。開演時間を10分ほど過ぎた頃、客電が落ちるとセキをきったように歓声があがった。ステージにメンバーが姿を現し、この日もハーフパンツ+ショートブーツの金井スタイルは健在のようだ。
早速、リアド偉武(Dr)がリズムを刻み、東出真緒(Violin)の優雅なヴァイオリンが鳴らされヴィヴァルディの「春」を基にした「走れエロス」で始まりを告げると、すぐにオーディエンスが前方に詰め掛ける! 早くもダイバーが続出の非常事態。しかしこれこそがBIGMAMAのライヴなのだ! 続いてベートーヴェンの「運命」をベースとした「虹を食べたアイリス」ではオーディエンスの軽快なハンドクラップが会場を包む。「Paper-craft」の強烈なギターリフが鳴らされると観客が跳ねる! リアドも挑発するようにドラムスティックを観客に向け、フロアの温度がまだまだ序盤にも関わらず沸点超えとなってしまったところで「Gum Eraser」を投下。
“Roclassickへようこそ! 最高の夜にしましょう!”と金井政人(Vo&Gt)が言うと、「テレーゼのため息」へ突入! すると客席はハンドクラップとダンシングの嵐! ヴァイオリンの弓を振り回す東出。「Sleeping Beauty」「Accelerate」「CPX」と畳み掛けると、ここまで飛ばしすぎでフロアでは靴の紛失が相次ぐ場面も。続くBIGMAMAのグッド・メロディが際立つ楽曲「英雄を抱いてマリアは眠る」ではどこからともなくフロアにサークルが出現する。
「ツルギが無い」では金井が「ここから先はこのツアー最速でお送りします!」とかなり高めのBPMで繰り出される。
MCでは、ここにいた観客全員の気持ちを代弁したようなフロアからの“たのしー!”という声に“ありがとう”と応える金井。そして“地震があってライヴをやるべきかやらないべきか散々迷ったあげく、自分達の音楽を信じていたのと、ここにいるみなさんに会いたかったんです。新しい曲を用意してます。聴いてください!”と続けられたのは新曲の「秘密」。続く「荒狂曲“シンセカイ”」では更に更に前に前へと詰め掛けるオーディエンス。フロアの中でも思い思いに音を楽しむコミュニティが出現したり、観客の熱量にも圧倒されるライヴだった。最後に「計算高いシンデレラ」をプレイし、ステージを後にした。
アンコールでは“さっきの新曲は実は名古屋でもやっていました。みんなに聴いて欲しくて作った曲です!”と放たれたのは、まだタイトル未定の新曲。初聴きにも関わらず思わず体を揺らしてしまうようなノリのいい曲だ。続いて「the cookie crumbles」へと繋ぎ、スパークする!!
ダブル・アンコールでは“僕らは前に、活動休止となった忘れもしない2006年9月24日にこのAXのステージに立っているんです。そのとき、一緒にやっているレーベルの人が“ここでお前らのワンマンが見たい”と言われて今日、それが出来てます!“とお涙ホロリなエピソードが明かされると会場からは割れんばかりの拍手が送られた。”そのときにやった曲、やっていいですか?“と披露されたのは「little cloud」!! 最後までフロアを興奮の渦に巻き込んでこのライヴは締めくくられた。BIGMAMAのクラシックとロック・サウンドの融合という実験にも似た試みはとてつもない化学変化を遂げ、こんなにもオーディエンスを笑顔にする。それが何よりの実験成功なのではないだろうか。
ヴィヴァルディ、ベートーヴェン、バッハ……
もしも、この偉大な音楽家たちがこの日のライヴを観ていたとしたら……
きっとフロアで踊り狂っていたに違いない!
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