Japanese
BOYS END SWING GIRL
2017年11月号掲載
Member:冨塚 大地(Vo/Gt)
Interviewer:蜂須賀 ちなみ
千葉県成田市の王道4ピース・バンド BOYS END SWING GIRLが、3rdミニ・アルバム『CLOCK』を完成させた。過去2枚のミニ・アルバムと本作のリリースをもって"青春3部作"と題したシリーズが終了。そのラストを飾る本作は、苦みや葛藤をも丁寧に描くようになった歌詞、そしてピアノやシンセサイザーなどの音色を取り入れつつ一段と飛躍力を増したバンド・サウンドが特徴的で、主人公の成長、そしてこのバンドがここまで歩んできた道程を感じさせるような内容になっている。青春を終えた彼らが見つけたものとは? メール・インタビューを通して冨塚大地に話を訊いた。
-前作(2017年4月リリースの2ndミニ・アルバム『TRANCE』)のリリースから約半年が経ちましたが、この期間はバンドにとってどのようなものでしたか?
自分たちのバンドと音楽に、ひたすら向き合った期間でした。歌詞もアレンジもライヴ・パフォーマンスも"今できる僕たちの100パーセントをどうやったら出し切れるのか、伝えられるのか"を見直して磨き上げられたと思います。
-前々作(2016年リリースの1stミニ・アルバム『KEEP ON ROLLING』)が"青春盤"、前作『TRANCE』が"進化盤(幕の内盤)"、今作はひと言で言うと何盤でしょうか?
名付けるなら"軌跡盤"かなぁ。先月(※2017年10月)で結成から7年経ったんですけど、その始まりから今まで、すべてを詰め込んだ作品になりました。「リレイズ」や「誰も知らない」からはロック要素が強かった初期のころの僕たちを感じられると思いますし、「サイダー」では透き通るポップを、「ストライド」では新しい僕たちの一歩を感じてもらえると思ってます。胸を張って最高傑作と言える1枚です。
-タイトル"CLOCK"の由来は?
地球にも人間にも植物にも、すべてのものに時間が流れているけれど、それぞれバラバラに動く時間を繋いでいるのは"時計"という大きな基準があるからなのだと、本で読んだことがあるんです。時計には"時間を知らせてくれる機械"だけじゃなくて、"時間を感じさせてくれる"という大きな意味もある。同じように、僕たちに流れている時間と聴いてくれる人たちに流れている時間、そのふたつを繋いでいく1枚になればいいなと思って名付けました。
-今作でもって"青春3部作"が完結したとのことですが。
僕にとって、この『KEEP ON ROLLING』、『TRANCE』、『CLOCK』は青春そのものなんです。『KEEP ON ROLLING』と『TRANCE』の曲を作っているときには、"大人になることへの憧れと不安"がずっとどこかにあったんですけど、24歳になったことで"憧れていたほど輝いていないけど、大人になるのも悪くないかもな"って思えたことが大きくて。それを納得できる形で音楽にできたのが『CLOCK』です。この1枚が完成したときに"やり遂げたな"という気持ちがありました。この3作には"痛々しくて、目を背けたくて、それでも愛おしい"僕たちの青春が詰まっています。19歳から24歳までの間にこうした曲たちを作れたこと、それを届けられることに心から感謝しています。
-今作は安産でしたか? 難産でしたか?
ある意味では安産で、一方では難産なのかな。個人的にはすごく楽しく制作できたんですよ。配信シングルとしてリリースした「ストライド」は構想段階からレコーディングまで1週間くらいしかなかったり、スケジュール的には大変な部分もあったはずなんですけど、それを忘れるくらいに自分含めバンドと向き合って制作できたので、つらいと感じることはなかったかな。やっぱり曲を作っている時間が一番好きですね。あっ、でも歌詞はものすごく悩みました。悩み続けて、自分ひとりだと、いいのか悪いのかもわからなくなってきちゃって。レコーディング前日の夜中に、高校時代の先生に半泣きで電話したりしてました。"こんな僕を叱ってください!"って(笑)。
-「ストライド」が特に顕著なのですが、普段みなさんが活動しているライヴハウスよりも広い会場を想定したサウンド・メイキングになっているように思えます。
小さなライヴハウスで、または部屋のCDプレーヤーで聴いたときでも、どデカい野外のステージから聴こえるような音を出せるバンドになれたら素敵ですよね。「ストライド」はそうした未来を見据えたうえでの1曲になったと思います。個人的にはそうしたサウンドに、泥臭い歌詞が乗っているのが対照的で気に入ってるんです。
-大きなスケールのサウンドを鳴らすうえで、気をつけていること、工夫していることなどがあれば教えてください。
今作ではほとんどの曲にピアノだったりシンセサイザーだったりが入っています。バンド・アレンジは"足し算"の感覚だったんですけど、そうしたサウンドが加わっていくなかで"引き算"が大切だなと思いました。ここはピアノを目立たせたいからリード・ギターはナシでいこうか、とか。今までは4つの楽器と歌しかなかったので、ほとんど全パートみんながフルで演奏していたんですよね。引き算の感覚を持ったことで、逆に弾くパートが目立ったり、ちょっとずつアレンジの深みを掴めた気がします。
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